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「第7回 環境技術研修会」を開催
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国内外の取り組みの現状

この問題に対処すべく、アメリカ、ヨーロッパでは医薬品の環境リスク評価に関するガイドラインにより、新規医薬品の承認申請の際に環境リスク評価のデータを提出することが義務化されています。これらの指針は、必ずしも完璧な科学的根拠に基づくものではありませんが、環境保護対策が手遅れとなってしまわないよう、まずはスタートし、必要に応じ見直しを行うという考え方に基づくものです。アメリカ、ヨーロッパの行政がこのような柔軟な姿勢で積極的に対処していることは注目に値します。加えてアメリカ、ヨーロッパでは、義務化された環境リスク評価の実施だけでは不十分であるとの判断から、これを補うべく、不要医薬品の回収による環境負荷低減に行政が積極的に関与し、業界やNGOなどもこれに協力しています。
 わが国においては、アメリカ、ヨーロッパと同様な環境リスク評価ガイドラインの策定を目指し、2005年に厚生労働省研究班が発足していますが、10年以上経過した現在でもガイドライン策定には至っていません。ようやく2015年12月に基本理念(案)が示されパブリックコメント募集が行われたという現状であり、化学物質の総合的な管理と有効かつ安全な利用に向けた世界的な潮流の中で、日本の対応だけが置き去りにされてしまっている観が否めません。
 国連環境計画(UNEP)の国際的な化学物質管理のための戦略的アプローチ(SAICM)推進のための議論においても本課題を重要優先課題として扱うべきとの判断がなされ、もはや医薬品であることを理由に特別扱いすることが許されない状況になりつつある現状の中で、わが国の今後の対応が注目されています。

今後の課題

医療用医薬品の市場規模は年々着実に成長しており、日本国内での販売額も2013年度には10兆円を超えました。国際的視野で医薬品の使用状況をみると、わが国の総人口は世界全体のわずか約2%に過ぎないにもかかわらず、売り上げ高ベースでみた医薬品使用量は全体の約12%にも上り(2013年厚労省公開資料)、これを人口が密集した狭隘な国土で使用しているという現状にあります。すなわち、わが国は医薬品の環境負荷が極めて大きな国であることを認識しなければなりません。医薬品の恩恵を最も享受している国として、医薬品の環境への影響の問題に、率先して取り組む必要があるのではないでしょうか。
 私たちの生活にとって医薬品がなくてはならない存在であることはいうまでもありませんが、環境に対する影響を心配することなく安心して使用することができるよう、社会全体で最も賢明な対応を模索する必要があります。間違っても、医療上必要な医薬品の使用が不条理に制限されてしまうようなことは避けなければなりません。そのためには、リスク評価・管理の責任を行政だけに任せるのではなく、すべてのステークホルダーがそれぞれの立場において果たすべき役割を理解し、責任を分担・共有してゆく必要があると考えられます。
 製薬業界が今後の課題への対応として期待されることは、規制当局からの指示を待ち従順に対応するという従来然としたやり方にとどまるのではなく、化学物質の有効/安全利用や環境保全といったグローバルな課題をめぐる国際的潮流を先読みし、「より環境に配慮した製薬」に積極的に取り組み、結果的に生態系だけでなくビジネスの“sustainability” にも資するような展開を、自らの手で切り拓く努力が望まれているのではないかと考えられます。

安達宏之氏

■講演2

「ISO14001改正と環境法最新動向」

有限会社 洛思社 代表取締役/環境経営部門チーフディレクター 安達 宏之

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ISO14001改訂のポイント

1996年に発行されたEMS(環境マネジメントシステム)の国際規格であるISO14001は、2004年改訂を経て、今回の2015年改訂に至っています。2004年改訂は小幅な修正にとどまっており、マイナーチェンジだといえますが、今回の改訂は、新たな考え方と要求事項が追加されるとともに、その構成も大幅に変更されました。

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