トピックス 「第22回 製薬協フォーラム」を開催

印刷用PDF

「製薬協フォーラム」は、医薬品産業に深い関係をもつ各界の代表者と会員会社の代表が一堂に会し、忌憚のない意見交換を行うことによって、医薬品産業に対する理解を深めることを目的に毎年1回開催しています。2023年は11月30日に経団連会館カンファレンス(東京都千代田区)にて「第22回 製薬協フォーラム」を開催しました。今回は、東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授の柳川範之氏に講演をお願いしました。

会場の様子 会場の様子

第一部 講演会

東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授の柳川範之氏による「技術革新とこれからの経済構造」の講演内容について、その概要を以下に記載します。

世界経済は大きな構造変化に直面しており、国際政治情勢は不安定化し、その結果としてグローバル化の変容も見られます。また、環境問題をはじめとして、持続可能性・社会課題への関心は世界的にも高まっています。これらの要因は、世界全体の政治・社会・経済情勢を大きく揺さぶっています。それに加えて、デジタル技術やAIの発展等、技術革新の影響は大きく、経済構造や社会構造を変化させつつあります。

日本では生成AIの発展やデジタルトランスフォーメーション(DX)に関心が集まっていますが、DXは単なるIT導入ではありません。今の技術革新の結果、大きな組織変革・価値観の変革は不可避であり、デジタル化がもたらす構造変化は、社会全体での意思決定構造の変化や国・地方自治体の役割分担、そして企業の組織構造の変化と多岐にわたります。

東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授 柳川 範之 氏 東京大学大学院経済学研究科・経済学部
教授 柳川 範之 氏

変革の方向性としては、産業構造が崩れてきて、産業間の垣根が低くなり、新しい産業間連携が生まれて、さらに新しい産業が生まれてきます。業界を超えたサービスやビジネスが出てきていることをどう捉えて、どう考えるかということが大切になります。

また、このような構造変化は、結局のところ社会全体のあり方を大きく変えていくものであり、日本企業の枠組みを根底から揺さぶるもので、一企業だけでなく、経済全体で発想を転換する必要があります。今、政策的に議論されている働き方改革や人的資本投資、あるいは金融市場改革の議論等も、これらの変化と無関係ではありません。

現代の技術革新の特徴は、変化のスピードが速いこと、そして技術変革の中身が、規制側にわかりにくいことです。そうなると、規制側が適切な規制やルールを設定するのが極めて困難になるうえに、変化のスピードに法律や制度の改正が追いつかないという問題が発生します。変化に対して速く適切に、どのように制度をアジャストさせていくかが大きな課題となります。また、環境変化に対して、適切に能力を発揮できるようなリスキリングや人材の企業間移動もより重要な点になってきます。さらにいえば、グローバル化の変容に合わせて、国際的な連携に官民協働してどう取り組んでいくかもポイントとなります。

人を資本として捉えて、長期的なものとしてしっかり人的資本投資を行っていく必要があります。人的資本は個人に帰属するものであり、会社中心ではなく、個人中心で人的資本を考え、将来像やキャリアプランを従業員に提示して、モチベーションを高めることが重要です。

第二部 懇談会

懇談会では、製薬協の上野裕明会長の主催者挨拶に続き、厚生労働省を代表して厚生労働副大臣の濵地雅一氏、公益社団法人日本医師会を代表して常任理事の黒瀬巌氏、公益社団法人日本薬剤師会を代表して会長の山本信夫氏、患者団体を代表して一般社団法人日本難病・疾病団体協議会常務理事の辻邦夫氏から来賓挨拶がありました。

日本製薬団体連合会会長の岡田安史氏の乾杯の発声で開宴となり、その後、多くの国会議員から期待と激励の言葉を頂戴しました。満員の会場は多くの参加者の熱気があふれ、懇談の輪が会場いっぱいに広がりました。終宴にあたっての製薬協の古田未来乃副会長による挨拶の後も歓談が続き、大盛会のうちに「第22回 製薬協フォーラム」を無事終了することができました。

日本製薬団体連合会 会長 岡田 安史 氏 日本製薬団体連合会 会長 岡田 安史 氏

製薬協 上野 裕明 会長 製薬協 上野 裕明 会長


(事務局長 猪口 時男

このページをシェア

TOP