トピックス 「ドイツ研究開発型製薬工業協会(vfa)との定期会合」を開催

印刷用PDF

製薬協国際委員会欧米部会では、欧米の政府・製薬団体と協調し、国際的課題の解決を図る活動の一環として、欧州製薬団体連合会(EFPIA)、英国製薬工業協会(ABPI)、フランス製薬工業協会(Leem)、ドイツ研究開発型製薬工業協会(vfa)との定期会合を毎年実施しています。今般、vfaとの定期会合が2023年11月8日に対面とオンラインのハイブリッド形式で開催され、双方合わせて約40名が参加し活発な意見交換を行いました。

会場の様子 会場の様子

はじめに

冒頭、vfaのInternational AffairsのSenior ManagerであるHarald Zimmer氏の挨拶から会がスタートしました。会合開催の喜びと、日独が持つ課題に対し、考え方、価値観が非常に似通っている両国だからこその意見交換の重要性が述べられました。

その後のセッションでは、vfaからはEU一般医薬品法の改正の概況とデジタルヘルスについて発表がありました。製薬協からは、Patient Engagement(患者参画)における取り組みについて紹介しました。各セッションに加え、Pricing & Reimbursement、医療技術評価(HTA)、安定供給のテーマにおいて、vfaと製薬協の双方から質疑応答が行われ、それぞれのトピックスについて意見交換を実施しました。

■Hot Topics

Revision of the EU general pharmaceuticals legislation

Manager International Policy, vfa Tanya Herfurth 氏                                         

2023年4月に発表されたEU一般医薬品法の改正案について概要の説明があり、官僚主義の削減とプロセスの効率化、データ独占期間の短縮化、アンメット・メディカル・ニーズに対するドイツ政府の見解が述べられました。

その後のディスカッションでは、vfaとEFPIAでどのような連携が行われているか、またvfaはドイツ政府の省庁に対してどのようなアドボカシー活動を行っているか質問がありました。vfaからは、EFPIAとの間で改正案に対するワーキンググループが組織化され、定期的に意見交換をしていることや、日ごろから欧州理事会、環境省、経済省といったステークホルダーとも緊密に連携することで、建設的なディスカッションができる体制を構築しているとの回答がありました。

■Pricing & Reimbursement, HTA, Discussion of questions from JPMA

GKV-FinStG updates

Manager HTA / Real World Evidence, vfa Paul Bussilliat
Manager Reimbursement Policy, vfa Eike Melchior 氏                                        

2022年11月に制定されたドイツの法律である公的医療保険中央連合会財政安定化法(GKV-FinStG)の影響分析・評価や、今後必要な制度見直しの方向性、vfaのアクションについて説明がありました。患者さんの医薬品アクセスに支障が出る可能性や、製薬産業拠点としてのドイツの魅力低下等、ネガティブな影響可能性について懸念が共有されました。当法律による影響は中長期に及ぶため、今後も分析と議論を継続していく必要があると述べました。

■Stable Supply

ALBVVG overview

Head Health Policy, vfa Sven Prietzel
Manager Innovation Policy, vfa Torsten Bathmann 氏                                        

ジェネリック医薬品不足を防ぎ供給を改善するための法律(ALBVVG)の概要について説明がありました。vfaとしては、医薬品の供給改善のために、サプライチェーンの多様化の一環として早期警告システムの導入を進めています。

早期警告システムは、医薬品の不足を早期に検知し、効率的に対応することを目的としています。これにより、患者さんへの影響を最小限に抑えることができます。また、ジェネリック医薬品と特許医薬品の問題を個別に捉えるのではなく、製薬業界全体の視点で考える必要があるという話もありました。

■Stable Supply

Economic security legislation

製薬協 産業政策委員会 経済安全保障タスクフォース 吉田 力 リーダー                                   

日本の経済安全保障推進法の制定経緯や概要について説明がありました。特定重要物資として抗菌薬が指定されたことや、サプライチェーンの強化のためにはEUやアメリカといった重要なパートナーと力を合わせなければならないこと等を述べました。

ディスカッションでは、本法案への業界のかかわりや、インパクト評価の実施の有無等について質問があり、製薬協としてパブリックコメントを発出していることや、業界への影響度合いに係る評価を実施していることを回答しました。

■Stable Supply

Current situation of drug shortage

日本製薬団体連合会 安定確保委員会 大條 正 氏                                             

主に日本における後発医薬品の供給不足の原因や現状について説明がありました。供給問題のきっかけとなった後発医薬品企業の不祥事、後発品産業が抱える構造的な課題等について紹介しました。

ディスカッションでは、一部の企業に生産が集中することになる原因、原薬の海外依存度、後発品の使用促進と供給問題の関係等について質問があり、日本製薬団体連合会(日薬連)より回答しました。

■Patient Engagement

JPMA Activities and Guidelines on working with Patient Organizations

製薬協 患者団体連携推進委員会 三澤 賢治 委員長                                            

患者団体との連携に関する活動について、製薬協からの発表とディスカッションを行いました。製薬協からは患者団体連携推進委員会の活動目的や具体的な取り組みについて紹介し、vfaからは患者団体との関係性のあり方や、歴史的背景等についての質問があり、製薬協から回答を行いました。

■Digital Health

DVG/DigiG overview, actual usage of DiGA, industrial interest on the development of DiGA

Head Health Policy, vfa Sven Prietzel 氏                                               

ドイツの医療現場のデジタル化の現状や、医療のデジタル化の加速に関する法律(DigiG)およびヘルスデータの利活用に関する法律(GDNG)の概要等について説明がありました。

ディスカッションでは、ドイツで医療のデジタル化が進んでいない理由や、DiGA(デジタルヘルスアプリ)に対する医療関係者の受け入れ度合い等について質問し、DiGAを使用する側が二の足を踏んでいることや、医療全般でも新しい取り組みに消極的な傾向があることが回答されました。vfaからは、日本におけるデジタルヘルス関連の制度について質問があり、ドイツを参考とした2段階承認のシステム等が検討されていることを回答しました。

終わりに

vfaのZimmer氏からは、前回同様に興味深く有益なセッションであったとのコメントとともに、会合の開催に携わった方々への謝意が述べられました。

製薬協国際委員会の中垣寿副委員長は、両団体は持続可能なヘルスケアシステムに取り組み患者さんのアクセスを向上させるという共通の目的を持っているため、今後も協力し合い情報交換を続けていくことが重要であると述べました。

集合写真 集合写真

(国際委員会 欧米部会 欧州グループ ドイツチーム リーダー 長井 政人

このページをシェア

TOP