トピックス 「2023年度 医薬品評価委員会・薬事委員会合同総会」を開催

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2023年4月26日に室町三井ホール&カンファレンス3階ホール(東京都中央区)にて「2023年度 医薬品評価委員会・薬事委員会合同総会」を開催しました。本総会では、厚生労働省、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)から講師を招き特別講演を行いました。新型コロナウイルスの感染拡大を考慮し、2022年度に続き、今回も製薬協幹部、医薬品評価委員会および薬事委員会の幹部約40名は会場にて参加、その他各委員会メンバーはオンラインでの参加となりました。

合同総会は製薬協の手代木功副会長の開会の辞で始まりました。特別講演では、厚生労働省医薬・生活衛生局から山本史氏、吉田易範氏、中山智紀氏、佐藤大作氏、PMDAの宇津忍氏の計5名から講演があり、医薬品の安定供給の課題、パンデミックを踏まえた薬事規制の変化や法令遵守に対する取り組み、また、プログラム医療機器や再生医療製品の承認審査体制やレギュラトリーサイエンスにおける取り組み等、製薬産業と行政当局が検討しなければならない課題について、改めて確認する会となりました。

製薬協 手代木 功 副会長

最近の医薬行政の動向について

厚生労働省 医薬・生活衛生局 大臣官房審議官(医薬担当) 山本 史 氏                   

はじめに、少子化・「超」高齢化、グローバル化、科学技術の進歩等、わたしたちを取り巻く環境について説明がありました。コロナ禍のもとでの3年間の振り返り、安定供給・品質問題、製薬産業を取り巻く環境の変化、医療DXの方向性、海外規制当局との連携、薬剤耐性(AMR)、イノベーション、危機管理等の既存課題等、非常に多岐にわたる話がありました。

最後に、コロナ禍のもとで医療の現場や社会活動はどうであったかを振り返り、これからどうなり、なにを目指していくべきか、医薬品や医療技術の重要性を再認識しつつ、この3年余で気づいたこと、経験したことを最大限に活かしながら、これからの活動を進化させていく機会とすべきであると締めくくりました。

山本 史 氏

医薬品の承認審査、臨床研究・治験等をめぐる最近の話題について

厚生労働省 医薬・生活衛生局 医薬品審査管理課長 吉田 易範 氏                       

承認審査関連の最近の取り組みおよび新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対応について話がありました。冒頭に最近の承認状況について紹介があった後、臨床研究で得られた情報を薬事申請に利活用できる仕組み、治験や製造販売後臨床試験における電磁的方法による説明・同意取得時の留意事項、申請・届出オンライン化、経口中絶薬・緊急避妊薬関連、有識者検討会の動き等について説明がありました。また、これまでのCOVID-19の治療薬およびワクチンの承認・開発状況の話の後、本感染症が2023年5月8日に5類に移行した後の取り扱いについて説明がありました。

吉田 易範 氏

医療機器審査管理業務と企業に期待するもの

厚生労働省 医薬・生活衛生局 医療機器審査管理課長 中山 智紀 氏                     

世界に先駆けて、日本で早期に革新的医療機器の実用化を目指す制度として、先駆的医療機器指定制度が創設されたことの紹介の後、これまでに指定された品目についての説明がありました。

次に、改良が見込まれる医療機器について、継続した改良を可能とする承認審査制度として変更計画確認手続制度(IDATEN)、医療ニーズの高い医療機器の早期導入に関する検討の進め方、および革新的医療機器等国際標準獲得推進事業についての説明がありました。

中山 智紀 氏

さらに、プログラム医療機器の分類と規制、プログラム医療機器の該当性の考え方について述べた後、承認実績に基づくプログラム医療機器の全体像、行動変容を促す治療補助アプリの承認状況(禁煙治療補助システム、不眠障害用プログラム)およびプログラム医療機器実用化促進パッケージ戦略(DASH for SaMD)についての説明がありました。再生医療等製品や体外診断用医薬品であるCOVID-19に係る検査キットについても説明がありました。

監視指導業務の動向と企業に期待するもの

厚生労働省 医薬・生活衛生局 監視指導・麻薬対策課長 佐藤 大作 氏                    

「いつでもガバナンス、どこまでもコンプライアンス」のスライドから始まり、近年の行政処分事例の違反内容の傾向、ビジネスモデルに特徴的な課題に関する現状分析、それら事例から見えたGMP/GQPにおける課題について具体的な説明がありました。

また、各社の法令遵守体制については、体制の運用が適切に行えているか、企業風土が醸成されているかについて再確認がありました。そして、品質事案を踏まえて品質確保に関してこれまでに取られてきた対応や規制の強化について、また、今後の規制強化の展望について説明がありました。

佐藤 大作 氏

PMDAの最近の取り組みについて
~レギュラトリーサイエンスに基づく挑戦~

独立行政法人 医薬品医療機器総合機構 理事(技術総括・安全等担当) 宇津 忍 氏              

はじめにPMDAでのレギュラトリーサイエンスの推進について説明がありました。次にIT技術への対応として、申請・届出オンラインの進捗・現状、リアルワールドデータ(RWD)/リアルワールドエビデンス(RWE)の承認審査への活用、オンライン治験について説明がありました。また、課題の状況と対応として、申請電子データのPMDAでの利用の現状、カルタヘナ法に基づく確認審査、患者参画への取り組み(PMDAと患者会の間での安全性情報の収集と提供)について説明がありました。

宇津 忍 氏

最後に、国際対応として、安全性情報管理におけるAI活用についてTransCelerate※1と意見交換を行っていること、規制当局と企業間や規制当局間の情報共有のためのクラウドベースプラットフォームであるAccumulusに検討段階から参画していることについて説明がありました。

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    TransCelerate BioPharma Inc.:革新的な新治療法の研究開発の迅速化/簡素化によって、全世界の人々の健康を向上させることを目指す非営利組織。

最後に製薬協薬事委員会の柏谷祐司委員長による閉会の辞をもって、約800名が参加し2時間半にわたった合同総会が終了しました。

(薬事委員会 田上 雅之山本 善一中西 顕伸中山 能雄

製薬協 薬事委員会
柏谷 祐司 委員長

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