トピックス 「フランス製薬工業協会(Leem)との定期会合」を開催

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製薬協国際委員会欧米部会では、欧米の政府・製薬団体と協調し、国際的課題の解決を図る活動の一環として、欧州製薬団体連合会(EFPIA)、英国製薬工業協会(ABPI)、フランス製薬工業協会(Leem)、ドイツ研究開発型製薬工業協会(vfa)との定期会合を毎年実施しています。2023年11月9日に、Leemとの定期会合が対面とオンラインのハイブリッド形式で開催され、活発な意見交換が行われました。

会場の様子 会場の様子

■Opening Remarks

General Manager, Leem Philippe Lamoureux 氏                                           

冒頭、Leem会長のPhilippe Lamoureux氏より、2023年末でLeem会長を退任することに伴い、これまでの製薬協との活動について感謝を伝えるとともに、日仏の交流をこれからも維持、拡大していくことが重要であると挨拶がありました。製薬協の中川祥子常務理事は、Lamoureux氏について、Leemと製薬協のつながりを強化してくれた大切な方であるとし、これまでの思い出を振り返りながら感謝の意を述べました。

■Current context in France and price cuts for pharmaceutical area

Leem Eric Baseilhac 氏                                                       

フランスで長年続く薬価抑制政策がもたらす現状を振り返るとともに、2024年の社会保障財政法案について紹介がありました。交渉の結果、2024年は薬価の値下げおよび払い戻し額ともに増加は免れたものの、EUで承認された医薬品のうち、3年以内にフランスで保険償還されているのは3分の1に過ぎないといった現状があり、ドラッグ・ラグ/ロスが深刻化しているという点で、日本と似た状況であることがわかりました。Leem側からは、医療費抑制対策の一環として医薬品の過剰処方を適正化する仕組みの提案等を実施しているとのことでした。

■Price & Reimbursement

Leem Laurent Petit 氏                                                       

主にフランスにおいて2021年度に導入されたEarly Access制度の概要として、制度の詳細、運用状況、課題等について説明がありました。ディスカッションでは、日本とフランスにおける医薬品アクセス全般について意見交換を実施し、フランスにおけるベンチャー企業の制度の運用状況や課題等、Leemより回答がありました。

■Current Status Over the NHI Drug Pricing System in Japan

製薬協 産業政策委員会 産業振興部会 飯田 宏樹 委員                                           

日本における製薬産業をめぐる現状と課題認識、「骨太方針2023」と製薬産業へのインパクト、2024年度薬価制度改革に関する中央社会保険医療協議会(中医協)の議論について紹介しました。ディスカッションでは、高齢化と社会保障費の問題、原薬調達上の課題等、両国に共通するトピックスを中心に活発な質疑応答が行われました。

■Stable supply of medicinal product

Leem Céline Kauv 氏                                                        

フランスにおける医薬品供給不足の現状と背景、そして、安定供給に関する2023年~2025年にわたるロードマップの概要についての紹介がありました。主に、重要医薬品リストの策定、一部の重要医薬品の国内製造支援、また各国単位ではなくEU全体で取り組むことの重要性が述べられました。

■Drug shortages in Japan

日本製薬団体連合会 安定確保委員会 本田 豊彦 氏                                            

日本の製薬業界を取り巻く環境、また、日本での供給不足の原因としては、医薬品の需要増加、製品の品質問題、原薬供給問題、ジェネリック医薬品産業の構造的な問題があることの説明がなされ、安定供給問題への日本製薬団体連合会(日薬連)の対応について報告がありました。質疑応答では、フランスにおいては、薬価が引き上げられた製品もあったことが明らかになりました。

■Patient engagement

Leem Rebecca Ammar
製薬協 患者団体連携推進委員会 三澤 賢治 委員長                                            

今回、Leemとは初めてPatient Engagement(患者参画)のテーマでの意見交換を実施しました。このセッションでは、Leem、製薬協双方から本テーマに関連する委員会の位置付けや目的、特に医療制度・医薬品開発においてどのように患者参画を進めるかについて、具体的な取り組みとともに紹介がなされました。製薬企業と患者団体、さらには他のステークホルダーの間で対話を行い、相互に理解を深め、共通課題の解決に向けて協働していくことの重要性について、双方から共感の声がありました。

■Closing Remarks

製薬協 国際委員会 欧米部会 三浦 慎一 部会長
General Manager, Leem Laurence Peyraut 氏                                            

製薬協国際委員会欧米部会の三浦慎一部会長より、「日仏共通の関心事項として、両国の最新情報等、有益な情報交換ができた。特に薬剤費削減については、各国の課題であるとともに、われわれが目指している患者さんのための持続的な創薬イノベーションを進めていくうえでも、共通の課題として一緒に考えていくべき事項である。引き続き、普段からお互いに連絡を取るようなことができるようにしていきたい」と総括がありました。LeemのLaurence Peyraut氏は、「前任のLamoureux氏と同様に、私も日仏交流を大切にしていきたい。2024年は、パリオリンピックが開催される年でもあり、ぜひともみなさんをパリに招待したい」と述べました。

今回の2国間定期会合も相互に理解を深めることができ、各セッションにおいても活発な意見交換が行われた非常に有意義な会合となりました。

集合写真 集合写真

(国際委員会 欧米部会 欧州グループ フランスチーム リーダー 溝渕 正浩

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