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さらなる個別化医療用医薬品の開発に向けて
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オンターゲット由来の個別化医療用医薬品では、国内開発の初期から対象集団を予測因子で限定(Enrich)してしまう傾向 が見られました。一方、オフターゲット由来の個別化医療用医薬品においても、予測因子が明らかとなった後はEnrichして 開発されています。また、ターゲットの判断基準となるその因子の閾値について、開発段階で詳細に検討している事例は確 認されませんでした。このため、オンターゲット・オフターゲットのいずれの場合もターゲット外の症例における有効性および安全性の情報が十分に得られていないと考えられます。また、Enrichされた集団では有効性が検証されているものの、試 験対象集団より幅広い集団で有益であるかどうかの検討は十分にできていない可能性も考えられました。もしも治療対象集 団が最適な対象集団よりも狭く設定されてしまっていた場合には、その対象から外れた患者や製薬企業において、その損失 は少なくないと考えます。
 近年、規制当局は予測因子(疾患関連遺伝子やバイオマーカー等)が明示的であるオンターゲット由来の個別化医療用医 薬品の開発においても、ターゲット外の症例(この場合、疾患関連遺伝子陰性例あるいはバイオマーカー陰性例)における 有効性および安全性の確認を求めています。治療対象の適正化の取り組みは急務です[4]
 多くの個別化医療用医薬品では定量的な予測因子と有効性・安全性の間には何らかの相関関係があると考えられ、その場 合、予測因子が高値(あるいは、低値)である集団で、より大きなベネフィットあるいはリスクの軽減が期待できます。また、 これに該当しない症例ではベネフィットが相対的に低い、あるいは高リスクであることも想定されます。このような理由から 現状では、ターゲット外の症例の臨床試験への組み入れは慎重になっていると考えられます。しかし、臨床試験で評価する 対象患者を限定しすぎると予測因子の妥当性を正しく評価することは困難となります。このような対象患者の設定を行うこと は、一部の陰性患者の治療機会を失くしているかもしれないということも認識しなければなりません。オンターゲット、オフ ターゲットのどちらであっても早々にEnrichするのではなく、なるべく広い範囲の患者を組み入れて、因子とベネフィットの 関連を十分に検討した上で最終的に最適な治療対象集団を定めるという開発戦略に転換すべきであると考えます。







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コンパニオン診断薬等及び関連する医薬品の承認申請に係る留意事項 質疑応答集(Q&A)





ターゲットを見出すための課題

現在市販されている個別化医療用医薬品は、オンターゲット由来のものが多く、オフターゲット由来の個別化医療用医薬 品は稀です。この理由として、オフターゲット由来の場合は予測因子を見出すことが困難であることは先に述べましたが、さ らにそうした臨床的に有益な情報を見出すための技術(図1)がいまだ十分に普及していないことも原因の1つと考えられま す。
 レトロスペクティブな解析により予測因子の探索および評価をするためには、既存の臨床試験の保存試料は重要な情報源 になりますが、保存試料が劣化あるいは消耗してしまった場合には一般に再生することは不可能です。そのため、臨床試験 で得られるバイオマーカー検討に用いる試料については、適切な維持管理を行うことを事前に規定しておく必要があります。 また、レトロスペクティブな解析から抽出した予測因子の候補を検証するためには、別途、プロスペクティブに臨床試験を 実施する必要があります。しかし、新たな臨床試験を実施することは、費用の問題に加え、効果が低い、あるいはリスクが 高いと考えられる対照群の設定が難しいという倫理的な問題が生じる可能性も出てきます。また企業が自ら対象患者を限定 するようなアクションを選択しにくいという点も、オフターゲット薬の予測因子の検討が進まない要因の1つになっているの かもしれません。

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