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さらなる個別化医療用医薬品の開発に向けて
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医薬品評価委員会データサイエンス部会

土綿 慎一(推進委員)、山本 英晴(推進委員)、
天野 靖浩、杉原 匡周、谷口 隆司、松本 喜彦、吉田 祐樹、淀 康秀

本稿では、これまでに開発された個別化医療に対応した医薬品(個別化医療用医薬品)に対する調査結果に基づき、タ スクフォースからの提言を示します。

はじめに

 生活習慣病のような患者数が多い疾患領域をターゲットとし、大型新薬(ブロックバスター)を創出する従来の医薬品開発 ビジネスモデルはすでに終焉を迎えつつあります[1]。その背景には、大型新薬が標的とする疾患関連因子が枯渇傾向に あること、生活習慣病などの治療薬がすでに高い満足度を得ていること、そのために新薬として承認されるハードルが高くなってい ることが考えられます。そこで、従来の患者数が多い疾患を対象とした医薬品の開発から個々人の体質や病態に合わせた 薬剤治療への開発目標の転換と、自社研究所での手探りのシーズの探索から、大学やベンチャー企業をも積極的に利用した 理論に基づいた合理的な創薬への転換が計られています[2]
 近年、有効性、安全性、費用対効果の面からオーダーメイド医療、個別化医療の重要性が医療イノベーション会議など、 さまざまなところで話題となっています。その関心度の高さは、アメリカのオバマ大統領が2015年1月20日の一般教書演説 で“Precision Medicine Initiative”という政策を掲げたことからもうかがえます[3]。個別化医療の目的は、個々の患者に対 する治療効果の最大化と副作用の最小化です。従来の医療では、薬剤の投与後に反応を確認しながら試行錯誤的に個々の 患者に対する治療の最適化をしてきました。しかし、昨今の科学技術の発展により、一部の疾患では特定の治療が有効か否かをあらかじめ判定することができ得る時代になりつつあります。そのような状況下で製薬企業は遺伝的特性や環境要因、 疾患の状態など、どのような患者に、より効果が高く、安全なのかという情報も含めて医薬品(以下、個別化医療用医薬品) を開発することで、社会のニーズに対応していく必要があります。

mark [1]
創薬におけるオープンイノベーション ー外部連携による研究資源の活用ー 、財団法人ヒューマンサイエンス振興財団(http://www.jhsf.or.jp/paper/report/report_no78.pdf
mark [2]
バイオ医薬品関連政策の視点 -我が国における創薬事業の発展に向けて-、経済産業省生物化学産業課(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000032ord-att/2r98520000032owe_1.pdf
mark [3]
The Precision Medicine Initiative(https://www.whitehouse.gov/precision-medicine

個別化医療用医薬品の開発

個別化医療用医薬品とは表1のような情報に基づき「適切な患者に、適切なくすりを、適切な用量かつ適切なタイミング で投与できる医薬品」と説明されます。通常の医薬品との違いは、そのような個別化を行うための情報が得られているか否 かだけであり、すべての医薬品はそのような情報を得ることで個別化医療用医薬品になり得ます。

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