2015年6月10日、3ヵ月ぶりに中央社会保険医療協議会 薬価専門部会(以下、薬価専門部会)が開催され、次期薬価制度改革に向けての議論がはじまりました。また、6月30日には経済財政諮問会議が取りまとめた「経済財政運営と改革の基本方針2015」が閣議決定され、来年度予算編成に向けての議論が本格化することになりました。
一方で、中期的な政策課題として、政府は2020年度の基礎的財政収支の黒字化を目指していますが、経済再生が順調に推移したとしても現時点で9.4兆円の赤字額(6.2兆円という試算も)が埋められていないという課題にどのように対処していくのか。さらには2025年にいわゆる団塊の世代が75歳以上に到達することを前提とした社会保障制度改革の道筋をどうつけていくのか。こうした2つの大きなターゲットイヤーを5年後・10年後に控え、医薬品産業を取り巻く環境は今後劇的に変化し、まさにパラダイムシフトが起きようとしているといっても過言ではないと思います。
このような状況を踏まえ、本稿では、次期薬価制度改革における主要テーマにつき、業界としての考え方を、私見を交えながら論述していきたいと思います。
加茂谷 佳明 (日本製薬団体連合会 保険薬価研究委員会 委員長)