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医療健康分野のビッグデータ活用の現状と課題
−ビッグデータが医療の概念を変える−
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民間からのアクセスについても仕組みとプロセスが整備されており、政府所有データの公開を目指すOpen Dataイニシアティブなどの制度も進めています。CPRDをリソースとした研究論文だけで1,000を超えているという報告があります[1]
 スウェーデンは日本と同様、国の医療保険制度が充実しており、政府主導でデータベース基盤が整備されています。レセプトデータベースのカバー率は100%、電子カルテ(Electronic Medical Record、EMR)も100%近くなっています。国民ID番号制度があり、EMR、レセプト、患者レジストリーなどの複数のデータベースが高い精度でリンクされています。デンマークでもさまざまな診療情報がほぼ100%電子化され、データベースが統合化されています。レセプトデータには100%民間もアクセスできます。これらスウェーデン、デンマークは国主導で診療情報全般の統一データベース化を進めた理想形です。
 また、ヨーロッパでも欧州医薬品庁(European Medicines Agency、EMA)が副作用検知システム(ENCePP、薬剤疫学およびPVファーマコビジランス・センターのヨーロッパネットワーク)のプロジェクトを進めています。

コホート研究、バイオバンク、患者レジストリー研究等でのビッグデータ活用

一方、健診や患者登録、コホート研究などのデータの分析から具体的な成果が得られつつあります。コホート研究においては最近ではゲノムデータを含めた患者さんや健常人のデータも集積され、健康リスクや疾患との要因分析が国の助成金などにより広く進められています。
 コホート研究は疫学の研究手段の1つであり、特定のヒト集団(コホート)を数十年単位の長期間にわたって追跡調査し、疾病と環境や遺伝の要因間の関係を明らかにするものです。大きく疾患関連コホート研究と健常者コホート研究に大別できます。近年のゲノム研究の技術革新により、ゲノム情報を組み込んだゲノムコホート研究が主流となっています。
 このゲノムコホート研究とバイオバンクの活用が疾患関連遺伝子(発症関連、予後関連、薬剤関連遺伝子など)の探求に大きく貢献しています。
 2011年8月に閣議決定された第4期科学技術基本計画で『革新的な予防法開発に向けたコホート研究の推進』が提唱され、2013年6月に閣議決定された『科学技術イノベーション総合戦略』でも「国際社会の先駆けとなる健康長寿社会の実現」が掲げられ、高品質のゲノムコホート研究やバイオリソースバンクの安定的運営が述べられています。
 また日本学術会議は2013年にゲノムコホート研究体制分科会を設け、7月に「100万人ゲノムコホート研究の実施に向けて」と題した提言を行っています。
 「疾病克服に向けたゲノム医療実現化プロジェクト」の政府策定に基づいて、すでにわが国の疾患バンク、ゲノムコホート研究、全国の大学、医療機関が密接に連携して、ゲノム情報を用いたオーダーメイド医療を実現するためのエビデンスを創出し、臨床応用に結び付ける取り組みがはじまっています。
 また、2015年2月から健康医療戦略推進会議のもとに設置される『ゲノム医療実現推進協議会』においても、コホート研究、バイオバンクについての今後の取り組みについての検討がされることが決まっています。

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