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CIOMS ワーキング・グループ Ⅵ 報告書 第4章より

「臨床試験における安全性データの収集と管理」の紹介 第3回〈最終回〉
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 CIOMS ワーキング・グループ Ⅵ の推奨:

試験における個別症例の安全性報告は、可能な限り完全に文書化されるべきである。
個々の症例は、必要に応じて入念に追跡が行われるべきである。
医師が用いた有害事象名の報告語は、関連するすべてのデータベースに保持されなければならない。
医師が用いた有害事象名の報告語が臨床的に正確でないか、コード化に用いる標準の医学用語辞書に一致しないと考えられるときには、医師に事象の説明を求める努力をするべきである。もし合意に至らない状況が続くのであれば、スポンサーの判断で有害事象用語をコード化できる。しかし、医師の報告語と異なることがわかるようにしておくべきであり、なぜ異なるかの理由は文書化されるべきである。
報告語が一貫して正確にコード化されていることを確実なものとするため、コード化された用語は、医学と用語辞書の両方の知識をもち理解している担当者によってレビューされるべきである。
有害事象データの主要な解析は、スポンサーによって注意深く適切にコード化された医師の報告語や診断名に基づいて行われるべきである。追加の解析として、スポンサーが医師の報告語を修正した用語があるなら、それらを用いた解析も実施することができる。しかし、これらの解析の相違点は説明されなければならない。

以下ではこれらの原則を詳細に説明する。

1. 有害事象の臨床的記述

肝機能検査値異常、肝炎、肝細胞傷害、肝壊死、さまざまな症候群など、医薬品研究で広く用いられている用語について普遍的に受け入れられている基準や定義は存在しない。有害事象が不適切な用語や誤った用語に分類されることがないように常に注意するべきである。このような状況は、事象が医師の専門領域外の器官に影響を及ぼす場合にしばしば深刻な問題となる。事例として、ある抗生剤の開発プログラムにおいて次の5例があった。1例目は、「肝機能検査異常」あるいは「肝炎」と報告されたが、関連する臨床検査値の異常が何も報告されない例があった。2例目は、黄疸が発現している患者を説明すべき状況で「肝機能検査値上昇」を報告語とする例。3例目は、あるいは黄疸や脳症を伴わない「急性肝不全」の報告例。4例目は、無顆粒球症の患者についての「白血球減少症」の報告例。5例目は、造血系細胞で何ら減少が報告されない「再生不良性貧血」の報告例である。症状・兆候に加えて、関連する臨床検査値が利用可能な場合には、それらを報告された事象の臨床的評価の一環として用いるべきである。
 ほかに起こりがちな例は皮膚反応であり、単に「発疹」と報告され、詳細な説明や特徴づけがされない場合が多い。発疹の重症度は過大評価されることも過小評価されることもある。良性麻疹様発疹を「多形性紅斑」とする報告、スティーブンス・ジョンソン症候群を示唆し得る軽度の兆候がある患者を単なる「発疹」とする報告などである。
 不適切な臨床的診断は、真の安全性の問題の存在を覆い隠してしまう可能性がある。CIOMSは、多くの種類の有害事象、特に重篤な有害事象についての診断基準を公表しており、スポンサーがこのような問題に対する基準を作成するための助けとなり得る[1]
 個別症例安全性報告(Individual Case Safety Report、ICSR)は、臨床医学とコード化について広い専門的知識をもつよう訓練された担当者をスポンサーが配して、分類・評価が行われなければならない。後でスポンサーが安全性評価を行う際に必要となるすべての情報が得られるように、医師に対して、臨床的に重要な事象が自分の専門領域外で発生した場合に専門家の意見を聞くことを推奨するべきである。
 たとえば、抗生剤に関連する行動変化、鬱病や統合失調症で治療を受けている患者に発現した心臓系の症状、全身療法に伴う持続性の発疹である。スポンサーは肝障害、骨髄抑制、不整脈など重要な事象の解析に必要となる詳細な情報を収集するために、診断基準に基づく質問表を利用することも考えるべきである。

mark [1]
Reporting Adverse Drug Reactions: Definitions of Terms and Criteria for their Use, Edited by Z. Bankowski, et al., Council of International Organizations of Medical Sciences, Geneva, 1999. 本報告書は、利用しやすいようにCD-ROMで提供される。
[訳者注]
現在はPDFファイルが公表されている。以下のURL参照。
http://www.cioms.ch/publications/reporting_adverse_drug.pdf
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