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「第8回コンプライアンス研修会」を開催
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そして、現在は社会や環境など世界が激変しているのですが、そもそも人間が介在しないところに科学技術は存在せず、科学技術の 専門家や組織の意思決定が社会や環境に多大な影響を与えてしまう可能性が常にあるので、その意思決定の責任が問 われていると述べました。

科学者・技術者の倫理

次に、社会集団の行動規範は倫理であり、「ある社会集団における行為の善悪や正・不正などの価値に関する判断を下すための規範体系」として技術者が考えなければならないのは、職業上で所属する組織の一員としての価値と行動規範(企業倫理)と技術者集団の一員としての価値と行動規範(技術者倫理)であり、それらの価値観が最も重要であると述べました。また、「価値」とは「人類の利益のため」であるものの、最近は科学技術の発展に伴い、新しい価値が常に作り出されているので、技術者や組織は専門能力に裏付けられた新しい価値判断やバランスをもった新しい行動設計が要求されてきていると説明しました。
 一方、20世紀後半から、科学コミュニティではProprietary(営利的・機密的)、Loca(l 地域的)、Authoritarian(権威主義的)、Commissioned(請負性)、Exper(t 細分化された専門性)をPLACE(J. Zimanの出来高払い的エトス)として重視するようになったのですが、現実的には、研究の成果を出さなければならない、細分化されすぎて共同研究者の仕事すらわからないという場合もあり、科学における不正行為は稀ではなくなってきていることにも言及しました。
 このような変化の原因として、近年の社会構造の変化とその複雑化という構造的問題を挙げ、具体的には、競争が激化すると研究費の獲得競争から計画書や報告書の誇大表現が発生したり、共同研究が増加して各組織の思惑が絡んで研究が歪められてしまったり、画像処理などの情報処理技術の進化によってPCでのデータ不正加工も容易になったりする、といった事例を挙げ、その誘惑が増しているという問題に触れました。
 これらの問題以外に、日本における最大の問題は今まで科学者を「指導できていなかった」こと、すなわち「科学の価値を指導しなかった」ことが原因であると述べ、それを解決するために「科学者の行動規範」が作成されたことを説明しました。
 続いて、この「科学者の行動規範」では、「研究倫理プログラム」の早期作成を求めているが、前述の経緯がその要求の背景にあることを説明しました。

企業の社会的責任と倫理プログラム

研究倫理プログラムの要素は、(1)各機関の倫理要綱・行動指針などの策定と周知徹底、(2)倫理プログラムの策定・運用とトップのコミットメント・リーダーシップおよび常設専門部署・制度の確立、(3)倫理教育の必要性、(4)研究グループの留意点(自由、公平、透明性、公開性の担保された関係、倫理に関するコミュニケーションなど)、(5)「科学者の行動規範」の遵守を周知徹底、(6)疑義申し立て制度・調査制度の確立・運用、(7)コンプライアンス・利益相反ルール、(8)自己点検システムの確立、であると説明しました。また一方で、ISO26000では、企業や組織が社会的責任を果たすことの最終目的を「持続可能な発展への組織の貢献を最大化する」こととしていると述べました。次に、これを具体的にどう運用するかが課題であり、倫理プログラムのような創造型の仕事を行う場合には、細かいルールを設定して監査を行い、社内通報窓口を作るような「法令遵守型」より、価値・原則・許容範囲を明確化してその教育研修を行い、通報ではなく社内相談窓口を設けて、責任を伴った権限移譲を行うような「価値共有型」が適していると説明しました。

「幸せ」についての科学的検討

「幸せ」について、「国民の幸福度」を調査した結果では、日本は国民の満足度で調査国中90位と低順位であったと説明しました。また、幸せを感じる個人的な要素は異なるが、Martin Seligman氏が取り上げた幸せを構成する5つの要素ThePERMA Mode(l 2011)では、(1)P:Positive Emotion、(2)E:Engagement、(3)R:Positive Relationship、(4)M:Meaning、(5)A:Accomplishment / Achievementとなっていること、そしてこの5つの要素の中では、自分よりも大きなものへ貢献することによって得られる幸福感である(4)M:Meaningが最も長続きするとされていることを説明しました。
 ポジティブ心理学の観点では、技術者倫理の基本である「公衆の安全、健康、福利(welfare/well-being)の最優先」は、自分よりも大きなもののために仕事をして貢献できる個人の幸せ(Meaningful life)であり、最も大きなしかも長続きする「幸せ」であること、すなわち、倫理的に仕事をすることが社会に福利をもたらし、同時に自分自身も「幸せ」になれ、所属する組織も「幸せ」になれると述べました。

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