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製薬企業によるIFRS(国際会計基準)任意適用
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日本基準とIFRS間の相違点に関し、一般によく知られている典型的な違いは、日本基準が規則主義であるのに対し、IFRSは原則主義であるため、会計処理上、当該社の裁量に委ねられる範囲が広い点です。具体的には、決算報告書の財務諸表の表示の相違(経常損益、特別損益の有無など)、のれん代償却方法、減価償却方法、研究開発費の費用処理方法の相違、などの点が挙げられます。
 製薬協では、かねてより会員会社のうち、一部上場各社の決算報告の調査に基づいた製薬産業の業績動向の対外発表を行ってきました。上述したように、近年、IFRS適用会社数が増えつつあることから、その影響について調査することとしました。
  2013年度期末時の決算短信よりIFRSを適用した会社の多くが、2015年度3月期第1四半期決算短信以降、IFRSに基づく開示に一本化する方針で、その後は両基準による財務指標の比較が困難になることが想定されます。これらのIFRS適用会社は、2015年3月期決算時に移行措置として両基準に基づく財務諸表を開示していますので、「平成26年3月期決算の概要と平成27年3月期業績見込み」(製薬協ウェブサイト掲載)の対象となった東証一部上場27社が公表した決算短信・決算補足資料・有価証券報告書に基づいて、IFRSへの移行による会計上の影響について検討を行いました。以下にその結果を報告します。

対象会社の内訳

対象とした全27社を表1に示しました。2014年3月末時点で、IFRS適用会社は、27社中5社で、日本基準採用会社は、22社でした。なお、日本基準採用22社中3社が、今後、IFRSを任意適用することを公表しています。

表1 検討対象会社一覧
IFRS任意適用会社
日本基準採用会社
アステラス製薬
あすか製薬
塩野義製薬
日本ケミファ
小野薬品工業
エーザイ(IFRS適用予定)
生化学工業
日本新薬
第一三共
大塚ホールディングス
ゼリア新薬工業
久光製薬
武田薬品工業
科研製薬
大正製薬ホールディングス
扶桑薬品工業
中外製薬
キッセイ薬品工業
大日本住友製薬
持田製薬
協和発酵キリン
田辺三菱製薬(IFRS適用予定)
わかもと製薬
キョーリン製薬
ホールディングス
テルモ
参天製薬(IFRS適用予定)
鳥居薬品

注 : 50音順、2014年3月末時点

IFRS適用会社の影響度

決算報告書の財務諸表から、日本基準とIFRS間で表記が共通である主要財務指標のうち、売上高、営業利益、当期純利益、販売費および一般管理費の一部をなす研究開発費それぞれについて、全27社の日本基準に基づく合計額に対するIFRS適用会社5社の日本基準での合計額の比率を求めることにより、これら5社の影響度を調べました。その結果、表2に示すように、IFRS適用5社の売上高は全体の46%、営業利益では43%、当期純利益と研究開発費に関してはそれぞれ39%と50%を占めており、これら5社の全体の集計値に対する影響度が高いことがわかりました。さらに今後IFRSの適用を予定している3社を加えた計8社の各指標に対する比率を模擬的に試算したところ、それぞれが51%から64%の範囲に含まれ、IFRS適用会社の業績が全体に及ぼす影響は、いっそう無視し得ないものとなっていくことがわかりました。

表2 IFRS適用会社の比率

(単位 : 億円)
集計対象会社
売上高
営業利益
当期純利益
研究開発費
27社
98,145
12,885
8,099
15,770
IFRS採用5社
45,463
(46%)
5,536
(43%)
3,183
(39%)
7,963
(50%)
IFRS採用8社
(含予定社)
57,081
(58%)
7,112
(55%)
4,138
(51%)
10,162
(64%)

注 : 研究開発費に関しては非開示の1社(IFRS適用会社)を除く
(出所 : 各社決算短信、決算補足資料、有価証券報告書)

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