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偽造医薬品の現状と対策に向けた産官学の取り組み

偽造医薬品の現状と対策に向けた産官学の取り組み
金沢大学 医薬保健研究域薬学系 国際保健薬学研究室 教授 木村 和子 氏
厚生労働省 医薬食品局 監視指導・麻薬対策課 監視指導室長 稲川 武宣 氏
日本製薬工業協会 品質委員会 副委員長・武田薬品工業株式会社 猪狩 康孝 氏

「日本には、偽造医薬品はない」というのは、もはや過去の話。偽造医薬品の脅威は世界的に増大しており、その流通量は750億ドルと、わが国の薬剤費に匹敵する規模にまで達しているといわれています。

製薬協広報委員会は、この問題を取り上げ、「偽造医薬品の現状と対策に向けた産官学の取り組み」をテーマに、2014年2月17日、東京日本橋サンスカイルーム会議室において、報道関係者約30名を招き、「製薬協メディアフォーラム」を開催しました。その概要は次の通りです。

偽造品と正規品

偽造品と正規品


●はじめに

 製薬協広報委員会コミュニケーション推進部会 尾張副部会長より、 偽造医薬品から身を守るためには、産官学に加え、メディアの協力が欠かせないという本フォーラムの開催趣旨が伝えられ、産官学それぞれの立場から講演がありました。

講演I 「偽造医薬品ーアカデミアからの警鐘」
      金沢大学 医薬保健研究域薬学系 国際保健薬学研究室 教授
      木村 和子 (きむら かずこ) 氏

講演II 「偽造医薬品に対する厚生労働省の取り組み」
      厚生労働省 医薬食品局 監視指導・麻薬対策課 監視指導室長
      稲川 武宣 (いながわ たけのぶ) 氏

講演III 「偽造医薬品に対する製薬企業の取り組み」
      日本製薬工業協会 品質委員会 副委員長・武田薬品工業株式会社
      猪狩 康孝 (いがり やすたか) 氏


●講演I 「偽造医薬品ーアカデミアからの敬称」
金沢大学 医薬保健研究域薬学系 国際保健薬学研究室 教授 木村 和子 氏

金沢大学 医薬保健研究域薬学系 国際保健薬学研究室 教授 木村 和子 (きむら かずこ) 氏

 はじめに、偽造医薬品における典型例ということで、無成分(中身は澱粉)や異成分(成分不明)、含量が異なるもの、偽表示(綴りが間違っている、製造月=有効期限、ロット番号に該当がない)といった具体的な事例が紹介されました。なお、会場では、製薬協会員会社の提供による正規品と偽造品の比較展示も行われました。
  続いて、偽造医薬品の背景には、犯罪組織の資金源としての役割があり、麻薬、武器取引に比べ隠匿、密輸が簡単であり、偽造医薬品の製造には巨額な投資も必要なく、ビジネスとして参入がしやすいこと、加えて、通商取引の規制緩和や、医薬品まがいの天然製品や栄養サプリの氾濫、とりわけ、インターネットの普及により市場アクセスが容易になったことが、偽造医薬品問題に拍車を掛けているとの解説がありました。
  健康への悪影響については、文献にて調査可能な範囲でもかなりの被害者数と高い死亡割合となっており、氷山の一角である点が強調されました。また、医薬品を個人輸入する消費者特性は、実際に副作用が発現してはじめて安全性への疑問を感じて購入を控えることから、強力な教育啓発の必要性が指摘され、欧州や米国における対策の進展状況が紹介されました。
 最後に、製薬協の取り組みとして、偽造医薬品の取り締まり強化に向けた共同声明や、実態調査、公開講演会開催等に係る報告があり、製薬企業が有効で安全な医薬品を安定して届けるために、偽造医薬品の脅威への対策を強化する必要性があるとまとめられました。

●講演II 「偽造医薬品に対する厚生労働省の取り組み」
厚生労働省 医薬食品局 監視指導・麻薬対策課 監視指導室長 稲川 武宣 氏

厚生労働省 医薬食品局 監視指導・麻薬対策課 監視指導室長 稲川 武宣 (いながわ たけのぶ) 氏

 厚生労働省としては、インターネットの普及等入手手段の多様化によって、偽造医薬品をめぐる環境が一変しており、危機感をもって臨んでいるが、特に、2014年6月12日からスタートする一般用医薬品のインターネット販売制度に関し、「この制度の成否は、いかに悪質な業者、製品を排除できるかどうかにかかっているといっても過言ではない」との問題認識が示されました。
  行政の取り組みとして、薬事法および薬剤師法の一部改正によるインターネット販売に対する新たな法的枠組みの構築、厚生労働省のウェブサイトへの「個人輸入において注意すべき医薬品等」の掲載、個人輸入に関する消費者の実態調査、さらには、「あやしいヤクブツ連絡ネット」事業の実施、偽販売サイト・偽造医薬品に対するインターネットパトロール事業の実施、無許可サイトの公表といった具体策が示されました。
  最後に、(1)インターネット監視を、より系統的かつ網羅的に実施するための行政の体制整備、(2)海外規制当局、ドメインの登録管理をつかさどる海外レジストラとの連携強化、(3)個人輸入の監視強化、特に注意する医薬品、いわゆる「一錠リスト」の追加を今後の課題として掲げ、「産学民官」一体となった取り組みの必要性を訴えるとともに、近々、関係者が一堂に会する会議体を立ち上げ、国民運動的な取り組みにしていきたいとの構想が明らかにされました。

●講演III 「偽造医薬品に対する製薬企業の取り組み」
日本製薬工業協会 品質委員会 副委員長・武田薬品工業株式会社 猪狩 康孝 氏

日本製薬工業協会 品質委員会 副委員長・武田薬品工業株式会社 猪狩 康孝 (いがり やすたか) 氏

 昨今、正規品に極めて類似した外観の偽造医薬品が登場しており、正規品であれば治療できたはずの治療機会の損失や、健康被害の発生、製薬企業への経済的悪影響による新薬開発遅延等、製薬企業の本来の使命が果たせなくなることが危惧されています。
 製薬企業ができる対策として、対象製品のリスクに応じた偽造防止技術の導入、偽造防止に積極的に取り組んでいる姿勢を公表することによる偽造業者への牽制強化、企業間の連携による偽造医薬品取り締まりへの協力、流通経路のセキュリティ確保等が挙げられました。また、啓発活動として、企業ホームページやCSRレポートの活用やED治療薬を製造販売している4社共同によるポスター作製・配布、ホームページ運営の取り組み等が紹介されました。
 最後に、製薬協の取り組みとして、偽造医薬品の取り締まり強化に向けた共同声明や、実態調査、公開講演会開催等に係る報告があり、製薬企業が有効で安全な医薬品を安定して届けるために、偽造医薬品の脅威への対策を強化する必要性があるとまとめられました。

●ディスカッション

 講演に引き続いて、製薬協国際委員会 井上委員をコーディネーターに招き、3名の演者とのディスカッションが行われました。偽造医薬品になりやすい薬剤・製品領域、厚生労働省が国民に訴求していくポイント、一般生活者向けアドバイスについて議論が交わされ、最後に、演者からのワンメッセージということで、次のフレーズで締めくくられました。
「偽造医薬品はあなたのそばにある(木村氏)」、「一人ひとりがこの問題を共有し、一人ひとりが主体性をもって取り組める状況づくりが必要(稲川氏)」、「日本だけ大丈夫というのは過去形。企業はグローバルで考えないといけない。対岸の火事ではない(猪狩氏)」。

ディスカッション

●終わりに

 製薬協広報委員会 河村副委員長より、講演者ならびに参加者へ謝辞を述べるとともに、これからも、広報委員会の活動を通して、取材活動の一助となる情報提供を行っていきたいとの挨拶があり、フォーラムは幕を閉じました。


以上が今回のフォーラムの要旨でした。

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