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治験・臨床研究の最近の話題


治験・臨床研究の最近の話題
医薬品評価委員会 委員長 稲垣治 氏
医薬品評価委員会 データサイエンス部会 部会長 小宮山靖 氏
解説講演(要旨)

製薬協広報委員会は2012年6月26日、製薬協医薬品評価委員会委員長 稲垣治氏、医薬品評価委員会 データサイエンス部会部会長 小宮山靖氏によるメディアフォーラムを開催しました。
「治験・臨床研究の最近の話題」をテーマに、日本の治験・臨床試験の状況、活性化のための基盤整備事業を始め、2012年よりスタートした「臨床研究・治験活性化5か年計画2012」への期待や、日本の治験が改善されつつある状況と、世界最先端の総合的な医療データベースの早急な構築及び活用の実現に向けての現況について、幅広い内容の紹介があり、多くの記者の方々の参加がありました。講演の要旨は以下の通りです。


●講演1 臨床研究・治験活性化について
医薬品評価委員会 委員長 稲垣 治 氏

医薬品評価委員会 委員長 稲垣 治 氏
医薬品評価委員会 委員長
稲垣 治 氏

背景―治験と臨床研究
 国内の治験の状況については、「新たな治験活性化5ヵ年計画」(2007年度から2011年度)の間に医薬品治験届出数は伸び続け、治験の手続きや治験のデータ固定期間は短縮されました。一方、症例集積・実施率の変化はありません。症例単価推移については、2007年の1症例あたり平均単価229万円に対して、2011年では平均177万円と下がっていますが、欧米諸国に比べて高止まりの状況にあります。実施症例数ゼロの医療機関に支払った治験費用(総額)の平均は、2008年約285万円に対して2011年約316万円と増加しており、最高に支払った治験費用(総額)は、2008年で約1,983万円、2011年では約1,121万円と高額です。医療機関の経費は症例数ゼロでもかかりますが、高額の負担は問題です。

臨床研究活性化に対する期待
 2012年よりスタートした「臨床研究・治験活性化5か年計画2012」には、9年間の活性化計画を踏まえて、症例集積性の向上、治験手続きの効率化、医師等の人材育成及び確保などや、日本発の革新的な医薬品・医療機器等創出に向けた取り組みに対して期待しています。
 臨床研究の活性化に対する期待としては、新規創薬標的(より確からしい創薬シーズ)や新規の臨床評価法・予後の予見性の高いバイオマーカーなどにより、海外との臨床研究の差別化になり、海外から日本に早期の治験を呼び込む起爆剤の役割を期待しています。


会場風景

●講演2 世界最先端の総合的な医療データベースの早急な構築及び活性の実現に向けて
医薬品評価委員会 データサイエンス部会 部会長 小宮山 靖 氏

医薬品評価委員会 データサイエンス部会 部会長 小宮山 靖 氏
医薬品評価委員会 データサイエンス部会 部会長
小宮山 靖 氏

医療情報データベースの種類
 世界の医療情報データベース(DB)は、欧米先進国を中心に数多くあり、疫学・薬剤疫学的研究に役立てられています。たとえば、世界で最も尊重されている「General PracticeResearch DB(英国)」では、英国の人口の数十パーセントのデータを用いて多くの研究が行われています。日本では、久山町研究(九州)や日本ナースヘルス研究(群馬)がありますが、研究グループのみデータへのアクセスが可能です。医療情報データベースの種類は、(1)会計請求記録タイプ(レセプト由来)(2)診療記録タイプ(診療記録由来)(3)研究・調査由来データベース(自発報告データベース)があり、データ由来によりそれぞれ特徴があります。会計請求記録タイプとしては、健康保険レセプト(日本医療データセンター等)や入院レセプト(DPCデータベース等)や調剤レセプト(医療情報総合研究所等)などがあり、診療記録タイプとしては、メディカル・データ・ビジョン(MDV)やコンバージェンス・シーティー・ジャパンなどがあります。しかし、このデータベースは十分に利用されてきたとは言い難いのです。日本では運営主体が企業になっているのに対して、世界では、国や自治体が運営しており、利用者への間口が広がっている点も異なっています。しかしそのような状況が変わりつつあります。日本でも世界に類を見ない大規模なレセプトデータベースを用いて、安全性シグナルを検出するためのプロジェクトが2011年度より独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)でスタートしました。名前は、「MIHARIプロジェクト」です。このプロジェクトでは、医薬品と副作用の組み合わせに関する発現割合等の調査や処方実態調査や安全対策処置の効果調査などナショナルデータベース(1.2億人/年)を活用して実施します。

SS-MIXの利用可能性
 医療情報データベース基盤整備事業として、データベース拠点を全国10ヵ所の大学病院、グループ病院等に構築し、2015年に1,000万人規模以上のデータ利用可能を目指しています。そこで、技術的基盤として、各医療機関の診療情報(電子カルテ)を共通形式のデータとして掃き出す仕組みが必要になります。それが「SS-MIX(Standard Structured MedicalInformation Exchange)」であり、日本が独自に開発した秘密兵器です。この基盤整備は「SS-MIX」の利用を前提に進められています。「SS-MIX」は個々の医療機関にある診療情報を病院の外に掃き出し、なおかつサーバーに蓄えて医療情報の2次利用を可能にするインターフェイスです。これにより、医療機関の地域連携や患者へのわかりやすい診療情報の提供に役立てることができ、副作用自発報告、特定疾患等のデータベースなどへの公益性の高い利用も可能になります。

医療情報のIT立国を目指して
 現在、日本で構築が進められている医療情報データベースは、大病院の医療情報データが対象であり、クリニック等のプライマリ・ケアの情報がなければ、真に有用な医療情報データベースにはなりません。クリニック等で電子カルテを導入する場合に、「SS‒MIX」導入には多額の初期投資がかかるので、クラウド化が可能ならば、初期投資が大幅に軽減できるかもしれません。これができれば、日本は世界の先頭に立てる可能性が出てきます。近未来において、遺伝子情報やバイオマーカー等、大量の情報を電子データで交換する場合の不可欠なインフラ(SS‒MIX)を設えることこそ、将来にわたって価値を与えることになります。


以上が今回のフォーラムの要旨でした。

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