イベント・メディア向け情報イベント・メディア向け情報

「アジアの製薬産業の最新事情について」
~成長するアジア市場の現状と医療制度~


「アジアの製薬産業の最新事情について」
~成長するアジア市場の現状と医療制度~
国際委員会 委員長 土屋裕 氏
国際委員会 アジア部会 部会長 益田公司 氏
解説講演(要旨)

2012年4月17日、製薬協において、メディアフォーラムが開催されました。製薬協国際委員会委員長の土屋裕氏による「製薬協国際委員会のアジア各国との連携について」の講演、そして製薬協国際委員会アジア部会長の益田公司氏による「アジア製薬産業の最新事情について ~東アジアを中心に~」の講演が行われ、多くの記者の方々の参加がありました。講演の要旨は以下の通りです。


●講演1 製薬協国際委員会のアジア各国との連携について
国際委員会 委員長 土屋 裕 氏

国際委員会 委員長 土屋 裕 氏
国際委員会 委員長
土屋 裕 氏

製薬協国際委員会の概要
 製薬協国際委員会は「欧米部会」、「アジア部会」、「IFPMA・国際協力部会」の3つの部会で構成されています。欧米部会では英国・フランス・ドイツなどの欧州の製薬団体との定期会合や、製薬業界においても新興国市場として注目を集めている、ロシアやブラジルについての研究資料作成に取り組んでいます。アジア部会では中国・韓国・台湾それぞれの製薬団体との定期会合を通じて、問題点を明確にすることや、アジアにおけるさまざまなハーモナイゼーションに取り組んでいます。 そしてIFPMA・国際協力部会では偽造医薬品対策プロジェクトの実施に取り組んでいます。

アジアを中心とした製薬協の国際協力事業
 製薬協の国際協力事業については、比較的アジアを対象とした活動が多くなっています。偽造医薬品対策ではカンボジア保健省に協力しており、2011年度からはフィリピンも対象となりました。その他には、カンボジア保健省への品質保証の技術指導専門家派遣、カンボジアやタイの保健省からの研修受け入れ、さらにはJICA(国際協力事業団)が行っている必須医薬品製造品質管理研修や薬事行政官研修への協力も行っています。

アジア製薬団体連携会議
 製薬協では、アジアの製薬団体に呼びかけて、2012年3月に初めて各団体が一堂に会する「アジア製薬団体連携会議」 (APCPA:Asia PartnershipConference of Pharmaceutical Association)のホスト国を務めました。APCPAでは、「革新的な医薬品をアジアの人々に速やかに届ける」ことをミッションとすること、各国の課題を共有し、APCPAとしての提言を発信するための基盤を構築すること、各協会が解決策を政府等のステークホルダーに提言すること、そして今後も定期的に継続開催するとともに、規制・許認可関係と創薬連携の2つのテーマについてワーキンググループを作ることに合意しました。

●講演2 アジア製薬産業の最新事情について
~東アジアを中心に~

国際委員会 アジア部会 部会長 益田 公司 氏

国際委員会 アジア部会 部会長 益田 公司 氏
国際委員会 アジア部会 部会長
益田 公司 氏

製薬産業を巡る環境動向
 アジア各国においても、「医薬品産業育成」、「臨床開発における国際協調」そして「構造改革とルールの見直し」についての取り組みが進んでいます。医薬品産業育成の例としては、中国におけるバイオクラスター※1があり、中央政府に加えて地方政府も独自にバイオクラスターを設立しています。また中国や台湾におけるGMP※2改正など、将来的には自国で製造した医薬品を輸出することを目指した動きもみられます。臨床開発についてはすでに2000年代の半ばからアジア地域での連携が推進されています。医薬品産業育成を行う一方で、中国の医薬衛生改革、韓国の新薬価算定ルール、台湾の健保制度改正など、医療費を抑制するための構造改革の動きも顕著になっています。アジアでは先進諸国に比べて自国の医薬品産業が未成熟であり、医療費への割り当て財源が限られているため、産業育成と医療費抑制のバランスをどのように取っていくか、という点については困難さが伴うと考えられます。

製薬企業の社会的責務
 製薬企業には「医薬品提供」、「適正使用推進」、「秩序遵守」など、人々の生命と健康に直接かかわる産業として、企業活動を行ううえでの社会的責務があると考えています。製薬協 国際委員会 アジア部会ではこれらの社会的責務をどう果たしていくかを、現地の方々と一緒になって考えることが重要な活動の一部となっています。

各種統計数字にみられるアジアの特徴
 医薬品産業に関する各種統計数字を、OECD (経済協力開発機構)加盟国の数字と比較するとアジアの製薬産業の置かれている環境が浮き彫りになってきます。

・ 医療費総支出/GDP
 突出している米国を除くと、多くの国が8%~10%超となっていますが、日本や韓国はそれよりも低く、国際水準には達していません。

・ 医療費総支出における公費負担割合
 公的保険カバーが限定的な米国を除くと、多くの国では70%~80%となっていますが、日本を除くアジアはかなり低い水準にあり、自己負担の割合が高くなっています。

・ 薬剤費支出/医療費総支出
 OECD加盟国の多くはおよそ10%超~20%の範囲にありますが、ここ10年余り、比率がかなり下がってきた韓国でも25%超、そして中国では50%を超えているといわれています。

アジアの人口高齢化
 いうまでもなく、アジアには中国そしてインドが含まれており、人口増加率も高いため、全世界人口に占める比率は今後も高くなることは間違いありません。さらに、今後、日本以外の中国、インド、インドネシア、韓国などにおいても高齢化が急速に進んでいくと予想されます。その観点から、日本が、国民皆保険制度を維持しながら、他の国より相当早く進んでいる高齢化に対してどのように対処していくか、について海外から注目されています。

中国・韓国・台湾の状況
 現在、中国・韓国・台湾において、それぞれ進行中で注目すべき点を紹介します。中国では、医薬衛生改革が進行中であり、医薬品を取り扱うことによる利益に依存している病院経営の状況を変えようとするとともに、医療や企業活動の倫理性・透明性向上に取り組んでいます。また医薬品産業育成策の他にも、諸規制の国際基準化、知的財産権の保護や偽造薬の追放を推進しています。さらにこれまで進められてきた外資企業優遇策の撤廃も進められています。
 韓国では、廉価購入に対するインセンティブや政策的薬価引き下げによる医療費抑制策が実施されています。一方で、製薬産業育成国家ビジョンのもと、国家主導の新薬開発支援、国際臨床試験や医療ツーリズムの推進が行われています。またアジア諸国のICH※3基準導入支援や許認可プロセス(事務手続き部分)の簡略化などの国際協調にも取り組んでいます。
 台湾でも医療費抑制策の実 施、医療関連産業の育成、国際協調の推進など、同様の取り組みが推進されています。


※1) バイオクラスター…バイオテクノロジー関連の企業や機関(大学、企画団体、業界団体)などが地理的に集中し、競争、協力している地域。
※2) GMP…Good Manufacturing Practice、医薬品の製造管理および品質管理に関する基準。
※3) ICH…International Conference on Harmonisation of Technical Requirements for Registration of Pharmaceuticals for Human Use、医薬品許認可のため の技術要件の調和に関する国際会議。


以上が今回のフォーラムの要旨でした。

このページのトップへ

  • キャンペーン
  • 製薬協ニューズレター メールマガジン登録はこちらから
  • くすり研究所
  • 治験について
  • グローバルヘルス
  • Stop AMR 薬剤耐性に対する製薬協の取り組み
  • APAC
  • くすりの情報Q&A
  • 製薬協のテレビCM