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日本における新医薬品の開発期間-臨床開発期間と審査機関の動向-


日本における新医薬品の開発期間-臨床開発期間と審査機関の動向-
日本製薬工業協会 医薬産業政策研究所 主任研究員 石橋太郎 氏
解説講演(要旨)

 2009年9月10日、製薬協会議室(東京)において、「製薬協メディアフォーラム」が開催されました。
今回は、日本製薬工業協会・医薬産業政策研究所の石橋太郎主任研究員による「日本における新医薬品の開発期間―臨床開発期間と審査期間の動向―」をテーマとした講演が行われました。会場には、多数のメディアが参集し、本会終了後は活発な質疑応答が行われ、本テーマに対する関心の高さを実感しました。
以下に、講演要旨を紹介します。


●本研究にあたって


医薬産業政策研究所 石橋太郎主任研究員

 石橋主任研究員は、新薬の申請企業に対して、東京大学大学院薬学系研究科所属の小野俊介先生と共同で、「臨床開発及び承認審査に関するアンケート調査」を継続的に実施し、データの集積、分析を行っています。国内における新薬開発の実績や効率化に向けた課題や解決策を検討するうえにおいて、開発(臨床開発および承認審査)に要した期間は重要な指標の一つだと考えているからです。 本フォーラムに先立って小野先生から、本研究の趣旨としては、(1)製薬企業の日本向け開発戦略策定のための具体的な材料の提案と、(2)規制の健全な運用、健全な審査体制構築のためのエビデンスを提示し、これらをコンセプトに研究を実施しているとの説明がありました。加えて、製薬企業が資料を提供し、具体的に分析したデータは海外でも例がなく、本研究は、各企業における新薬開発計画のメルクマールになると提唱しました。そのうえで、製薬産業界が当該データを持つのは強みであり、厚生労働省の事前評価制度や検討中の審査タイムラインを実効性のあるものにするための評価に活用できると提言がありました。なお、今回の講演内容については、リサーチペーパーとして近日中に発表が予定されています。

●臨床開発期間


東京大学 小野俊介先生

 臨床開発期間(初回治験計画届提出日から承認申請日まで)の推移は、NME(新分子化合物)とNME以外とをあわせた全体像では、2000年が79.6ヵ月(中央値;以下同様)、医薬品医療機器総合機構(PMDA)が設立された翌年の2005年が54.2ヵ月、2008年が44.6ヵ月へと着実に短縮しています。さらに、外国臨床データの利用と臨床開発期間との関係を検討した結果、NMEでは、承認申請資料に外国臨床データを添付した品目で有意に臨床開発期間は短かったとしています(t検定:p<0.01)。

●承認審査期間
承認審査期間(承認申請日から承認日まで)の推移は、NMEとNME以外とをあわせた全体像では、2006年以降短縮に向かい、2008年では19.0ヵ月へと、2005年の24.0ヵ月と比べて、5ヵ月間短縮しています。しかしながら、2008年の通常審査品目の承認審査期間を、厚生労働省が掲げる2011年度の目標値に当てはめた持ち時間で検討した結果、42品目中、申請者、行政側双方の目標達成域に入る品目数はわずか4品目(9.5%)でした。さらに、承認審査期間を審査プロセスごとで検討すると、「追加照会事項の入手」「専門協議」に時間を要し、大半は「企業の順番待ちによる待ち時間」で時間を費やしていることがわかりました。今後、PMDAにかかわる審査員の増員や審査チーム数の拡大で、企業における待ち時間の短縮は期待されるところですが、これに並行して審査プロセスごとの短縮化あるいは業務の平準化や透明化の改善が必要であると提起し、さらなる対応策が重要と提言しました。

●開発期間と品目特性の関係
 臨床開発期間と承認審査期間をあわせて開発期間と位置づけていますが、臨床開発期間や承認審査期間の中で、どのような因子が開発期間の長さに影響を与えているかについて検討がありました。注目する点は、申請前相談を実施した品目では、承認審査期間が6.2ヵ月へと短縮しているが、臨床開発期間では10.7ヵ月に長引いており、開発期間としては4.4ヵ月長くなっているという分析結果です。また、外資系製薬企業の開発期間では、国内製薬企業の開発期間に比べて約5ヵ月長くなっているという結果でしたが、この点については質疑応答の中で、海外本社との照会事項のやり取りで回答に時間がかかったためではないかと考察しています。新薬の承認審査期間は、申請前相談の実施、外国フェーズ2~3データの利用、優先審査品目、承認条件ありなどの特性によって有意に短縮していると分析しています。

●承認審査期間に関するパフォーマンスの評価
 2008年に承認された78品目の申請企業に対して、承認審査期間に関するPMDAのパフォーマンス(遂行・成果)について、100点満点で採点をアンケートしたところ(回答率98.7%)、「100点~80点」が前年調査の4.4%から18.6%へ、「79点~65点」が前年35.6%から60.5%へと評価が上昇し、65点以上の評価が全体の8割を占めています。

●まとめ
 最後に、本講演会のまとめとして、2008年に承認された品目のうち、臨床開発に要した期間は、NMEで78.4ヵ月(6.5年)、NME以外では32.1ヵ月(2.7年)、承認審査に要した期間については、NMEで19.1ヵ月(1.6年)、NME以外では18.4ヵ月(1.5年)であったことが報告されました。臨床開発期間では、開発戦略の多様化を反映して変動やばらつきが大きいと分析し、承認審査期間では、全般的に短縮傾向にあり申請者の評価も向上しているが、2011年度の目標値との間にはいまだ大きな差があるとしています。また、承認審査期間の目標達成には、PMDA職員の増員ならびに治験相談の拡充を行うなどの事前評価制度等への施策を講じることや、他方では、審査の進捗管理の強化等を着実に実行する、申請者も治験相談を活用する、質の高い申請資料を提出する、照会事項に対する回答等を迅速に対応する、個々の企業内の手順や体制の見直しを考慮するなどの、申請者、行政双方における手順や体制の見直しが必要であると提起しています。そして結びとして、国民の新薬へのアクセス向上に向け、今後も行政、医療従事者、産業が協同し、その成果が臨床開発期間、承認審査期間の短縮として現れることを期待し ていますと総括し、フォーラムを終了しました。


以上が今回のフォーラムの要旨でした。

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