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国際比較にみる患者満足度と製薬産業のイメージ


国際比較にみる患者満足度と製薬産業のイメージ
日本製薬工業協会 医薬産業政策研究所 主任研究員 岩井高士 氏
解説講演(要旨)

 2006年10月25日(水)、東京・製薬協にて製薬協メディアフォーラムが多くのジャーナリストを迎え、『国際比較にみる患者満足度と製薬産業のイメージ』をテーマに開催されました。医療・医薬品に対する患者の満足度に関して、それはどのようなものなのか、影響を与える要因とは何か、先進諸外国と日本との違いはあるのか、このような患者満足度に関する分析と、患者サイドからみた製薬産業のイメージを理解することは、医療消費者である患者の求める医療や、製薬産業のあり方を検討する上で重要です。今フォーラムでは日米英独仏5カ国の医療消費者各500名を対象に調査された、患者満足度と製薬産業のイメージについて岩井高士主任研究員が解説しました。


●医療満足度についての調査結果
 今回の調査の方法は、日本を含む5カ国の医療諸費者の医療に対する満足度と医薬品に対する満足度、製薬産業のイメージについて、5カ国共通の質問票を用いています。調査期間は2006年3月~4月。対象は日本、米国、イギリス、ドイツ、フランスの都市部在住の医療消費者各500名です。具体的には医療従事者以外で過去5年以内に受診経験がある方です。方法はインターネットによる調査です。

 まず医療に対する満足度についての結果報告です。医療全般に対する満足度ということでは各国ともおおむね60~70%の割合で満足しているとの結果です。日本は50.0%と低いのですが、日本の場合「どちらでもない」という回答が非常に多くなっており、極端な回答を嫌うという国民性が影響している可能性があると分析しています。各国の回答結果を比較する際には、そういった国民性の違いを補正した上で比較しなくてはいけないと考えております。そこで生活全般の満足度というものを使い、医療全般の満足度に国民性の違いということを補正した値を比較するようにしました。

 医療満足度の項目ですが「医師の治療技術」には各国とも共通して満足しているとの回答が多くなっています。「医師との対話」も満足度は高く、欧米では「診察室でのプライバシーの保護」でも満足度は高くなっています。一方不満足のほうですが、各国共通で「診察室での待ち時間の長さ」が第1位です。それ以外の項目については、おおむね患者さんの経済的な負担に関する部分で不満との回答が多かったです。

 医療満足度の各国比較ですが、大体どの項目も満足している、不満足であるといった傾向は似通った結果になっています。一部医療の公平性や保険料負担といった部分でドイツが少し低い結果になっています。医療全般の満足度にどのような項目が影響を与えているのか、上位の要因を3つあげますと、「医師の治療技術」「医師との対話」「治療時の患者自身の意志尊重」ということが各国共通であげられています。

●医薬品に対する満足度と不満足度
 医薬品に対する満足度が医療満足度にどう影響するかを調べた結果ですが、多少の差はありますが、各国とも軒並み医薬品に対する満足度が、医療全般の満足度に非常に強い影響を与えることがわかりました。医薬品に対する満足度を高めることが医療全般に対する満足度を高めることにも、非常に大きく寄与すると言えます。

 医薬品に対する満足度で、満足、不満足が多かった項目をそれぞれ3つずつ国ごとにあげた結果では、満足のほうは「飲みやすさ」「品質」「効き目」といった医薬品の性能部分では各国とも満足度は高いという結果でした。一方不満足ですが、こちらは各国ともきれいに共通して「価格」が第1位です。そのほか日本では「処方時の患者の意志尊重」が18.4%ですが2番目に不満足の項目としてあがっています。

 個別の項目を比較しますと、大体どの国も満足度が高い項目、低い項目は同じような傾向を持っていますが、一部国ごとに結果がばらついているものもあります。例えば「処方薬について提供される情報」「最新の医薬品の服用」「医薬品選択時の患者自身の意思尊重」「処方薬の価格」こういったものに国ごとに少しばらつきがみられます。

 どういった項目が医薬品満足度に影響するのかを分析した結果ですが、各国とも「医薬品の効果に対する満足度」が、医薬品の総合的な満足度に非常に強く影響するということです。これはある意味当然の結果だと思います。ほかにも「製薬産業のイメージ」「医薬品選択時の患者意思の尊重に対する満足度」も各国であげられています。日本については「医薬品の安全性」がほかの国にない項目として、医薬品の総合的な満足度に影響するという結果でした。

●製薬産業のイメージについてとその要因
 2005年を除く97品目の臨床開発期間を承認条件の有無別に見ますと、「承認条件あり」では63.1ヶ月、「承認条件なし」では79.1ヶ月と承認条件のある品目の開発期間が短いことが分かりました。承認申請に利用された臨床試験の内容について見てみますと、国内試験のみによる品目よりも国内試験に加え海外試験データを利用した品目の方が承認条件を付される割合が高い傾向にあります。

 今回の調査対象品目の2006年4月時点での国内外における上市状況を見てみました。海外で先行上市されたものは99品目(74%)、日本のみ上市が28品目(21%)、日本で先行上市されたものは7品目(5%)でした。海外で先行上市された99品目について、承認条件の有無別に、世界初上市から日本での上市にどの程度タイムラグがあったかを調べたところ、「承認条件なし」では65.1ヶ月でしたが、「承認条件あり」では44.0ヶ月という結果でした。

●今後の展望と課題
 製薬産業のイメージに関してイメージが良かった項目としては「研究開発への投資」「産業としての将来性」があげられています。良くないイメージでどの国でもトップになったのは「利益志向」です。「国民患者の声に耳を傾けている」「情報開示に積極的」といった項目も良いイメージが強くないようです。

 「製薬産業は健康に貢献している」イメージは、アメリカで最も弱いという結果でした。また「医療品の情報を十分患者に提供している」イメージは、日本が最も弱いという結果でした。また産業として「革新性がある」では、情報提供と同じく日本以外の4国は、いずれもそういったイメージが強いという結果が出ています。しかし「利益志向である」という質問には逆に他の4カ国はいずれも利益志向であるというイメージが強いという結果になりました。

 今回調査の17項目の質問を4つの要因カテゴリーに分け、それぞれの要因カテゴリーと製薬産業のイメージとの因果関係を分析しました。4つの要因カテゴリーとは「産業としての将来性・革新性」「社会・健康への貢献」「情報開示と産業としての親しみ」「利益志向」です。これらの因果関係を数値化して分析し、各国別にみてみました。

 日本では「産業としての将来性・革新性」が直接的にイメージに影響する、また「情報開示と産業への親しみ」も総合的なイメージに非常に強く影響しています。アメリカも日本と同様ですが、さらに「利益志向」というマイナスイメージの影響が強いという結果になりました。以下イギリス、ドイツ、フランスと数値化して分析しました。大変大まかですが、製薬産業は「将来性」が高く「革新的」であるが「利益志向」である。しかし「利益志向」が医薬品満足度や製薬産業のイメージに強い影響力をもっていなかったことがわかりました。また日本に特徴的であったのが「安全性」が非常に強く医薬品満足度に影響しているということでした。


 以上が今回のフォーラムの要旨でした。フォーラムの後半は質疑応答が行われました。多くのジャーナリストから質問の手があがり、今回のテーマに対する関心の高さがうかがわれました。

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