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医療消費者と医師とのコミュニケーション


医療消費者と医師とのコミュニケーション
―意識調査からみた患者満足度に関する分析―
日本製薬工業協会 医薬産業政策研究所 主任研究員 野林晴彦 氏
リサーチペーパー・シリーズ№29
「医療消費者と医師とのコミュニケーション」の解説講演(要旨)

 2005年7月20日(水)(大阪・ホテルグランヴィア大阪)、21日(木)、(東京・経団連会館)にて製薬協メディアフォーラムが『医療消費者と医師とのコミュニケーション』をテーマに、多くのジャーナリストを迎え開催されました。

 本テーマは、製薬協・医薬産業政策研究所が7月下旬に発行したリサーチペーパー・シリーズ№29にまとめられており、その解説と質疑応答が今回の内容でした。患者中心の医療が叫ばれている中、医師と医療消費者である患者さんとのコミュニケーションは大変重要であると言われています。今回、このコミュニケーションに焦点をあて、医師と医療消費者双方の立場から、各々がどのように考えているのかが調査分析されました。

 本テーマは名古屋大学・山内一信教授、多摩大学・真野俊樹教授、明治大学・塚原康博教授および藤澤弘美子先生との共同研究で、医療消費者1,131名、病院医師1,101名へアンケートを実施し、両者の認識の違いを明確にし、よりよいコミュニケーションとより高い患者満足度を求め、患者中心の医療を実現する要因を考察したものです。


●医療消費者と医師との認識の違い
 この調査では、まず医療消費者と医師との認識の違いが明らかとなりました。医療消費者と医師のアンケート結果を比較すると、「患者中心の医療の現状」に対しては、「ある程度実践している」という医師に対し、医療消費者は「まだ十分ではない」と考えていることが分かりました。また、医師自身は「患者の意志を尊重し、患者のことを考えた態度で接し、説明能力も高い」と思っているのに対し、医療消費者はそのようには認識していませんでした。一方、医療消費者は医療に積極的に関与したいと思っていますが、医師はそのようには考えていないようです。さらに、医療消費者は、医療や薬の知識が少ないと思っているようですが、医師は医療消費者の知識はさらに少ないと考えていることも明らかになりました。また、医師から患者への病気や薬の情報提供について聞いてみると、医療消費者はまだ十分でないと思っているのに対し、医師は情報を伝えていると考えているようです。

●患者中心の医療の要因とそれを実現するための要因
 次に「患者中心の医療」を、「患者満足度」「患者と医師との対話(コミュニケーション)」「患者と医師との信頼関係構築」の3つから構成されると考え、医療消費者のアンケート結果を統計分析することにより、この3者の関係性を調べました。その結果、患者と医師との対話が、患者満足度に影響を与えていることがわかりました。また同時に、患者と医師との対話は、両者の信頼関係の構築につながり、さらに患者満足度につながっていることも明らかとなりました。

 さらに、患者中心の医療の実現に影響を与える要因を、医療消費者アンケートおよび医師アンケートの結果をもとに統計的に分析いたしました。その結果、患者中心の医療に対しては、「医師の考え方」「医師の患者に対する態度」「医師のスキル(説明能力)」「診察環境」および「患者の知識」といった要因が影響を与えることが明らかとなりました。医療消費者と医師との違いに注目しますと、医師は患者へのわかりやすい説明や、質問への丁寧な回答といった「医師のスキル(説明能力)」ではなく、医師が実際に患者中心の医療を実現しようとしているか、患者の意思を尊重しているか、といった「医師の考え方」を重視しているようです。

●患者満足度を高める要因
 この分析は明治大学の藤澤先生が担当されました。まず回帰分析という手法を使って、アンケートから患者満足度のための要因を探ると、医師・医療消費者ともに重要と考えているのは、「医師と患者の信頼関係の構築」「医師は患者の悩みや相談に十分に対応」「インフォームド・チョイスの実施」「医師から患者への病気の情報の十分な提供」であることが明らかになりました。さらに医療消費者は、「医師の説明に納得し治療を受けている」「診察時間が十分」といった要因を重要と考え、医師は「患者との十分な対話」「患者が医師の説明を十分に理解」「患者の薬の効果の知識」「患者に治療方法を分かりやすく説明」といった要因を重要だと考えていることが分かりました。

 次にアンケートの質問「満足できる診察」「満足できない診察」についての自由回答から、文中のキーワードを抽出し分析を行いました。その結果、患者満足度を高める要因として、医師・医療消費者ともに「説明」を最重視していること、また医療消費者は「待ち時間」を重視していることが明らかとなりました。さらに医師と医療消費者を比較すると、医療消費者は「薬」を医師は「検査」をそれぞれ重視していることが分かりました。

●療方法と薬剤選択の意思決定における医師と医療消費者の意識の違い
 ここでは、治療方法と薬剤選択の意思決定について、医師および医療消費者に理想と現実を質問した結果を分析しました。まず、医療消費者の約8割が、治療方法と薬剤選択の意思決定の理想と現実にギャップを感じていることが明らかとなりました。一方では、医師の半数以上がギャップはなく、理想どおりに実践できていると感じているようです。

次に治療方法の意思決定についてみてみると、医師自身は患者の主体性を尊重していると認識していますが、医療消費者は理想とはほど遠く、医師主導で決定されていると捉えています。また薬剤選択においても、医師はある程度患者の主体性を尊重していると考えていますが、医療消費者は、意思決定は医師主導で行なわれていると感じており、両者の現実の認識に違いがあることが分かりました。

 以上が当日の解説の要旨でした。野林主任研究員の解説に対して、多くのジャーナリ
ストから質問の手が上がり、データの分析の手法や背景、視点に対しての質問や指摘などの質疑応答が繰り広げられ、盛会のうちに終了しました。

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