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革新的新薬開発のためのプラットホーム


革新的新薬開発のためのプラットホーム
―IFPMA(国際製薬団体連合会)の提言―
IFPMA 理事長  Dr.ハーベイ・E・ベール 氏
IFPMA(国際製薬団体連合会)Dr.ハーベイ・E・ベール理事長をお迎えして開催

2005年2月22日(火)、東京・製薬協にてメディアフォーラム『革新的新薬開発のためのプラットホーム』を、多くのジャーナリストを迎え開催いたしました。講師としてIFPMA(国際製薬団体連合会)Dr.ハーベイ・E・ベール理事長をお招きしました。

ベール氏は1989年から米国研究製薬工業協会の国際部門で上級副会長を務められ、それ以前は87年まで12年間にわたり合衆国通商代表部に奉職されていました。86年度のDistinguished Service Award(米国の行政官に与えられる最高の栄誉である功労賞)をロナルド・レーガン大統領から授与されています。

ベール氏はIFPMAの現職に就かれる前は、ジョージタウン大学の非常勤教授として、大学院で知的財産権と技術戦略について教鞭をとられており、米国メリーランド大学では経済学博士号を取得されています。国際貿易政策、知的所有権、投資政策、製薬産業など多くのテーマで多数の論文を発表されています。


●4つの政策でイノベーションを
ベール氏は製薬業界の革新には4つの政策が基になっており、テーブルの4本の脚と同様、どれが欠けても倒れてしまうと言われました。その4つとはきちんとした医療制度の存在、効率的な市場の存在(十分なインセンティブがなければ革新的な医療は育たない、投資として見る必要がある)、知的財産権の保護、十分かつ効率的な規制制度です。新薬の開発コストは製造コストよりずっと大きく、価値のある特許取得品はきちんと保護され、また人々のベネフィットをきちんと評価できる規制制度が必要だと説明されました。

 なぜこのようなプラットホームが必要であるのかは、業界に対するさまざまな誤解の一つに「革新はコストが上がる」ということがあるが、革新によって病気になるコスト、死亡によるコストなどが下がることが見逃されていると指摘されました。つまり新薬は価格だけを考えるのではなく、健康であることが経済発展につながるという、社会全体のベネフィットを見なければならないということです。

誤解は間違った結論を引き出し、政府が介入し価格を統制し、知財の保護を緩やかにしますが、産業にとっても患者にとっても危険であると主張されました。

●なぜ革新を続けなければならないのか
多くの基礎研究に政府は資金を出しますが、その多くは疾患のディスカバリーであるとベール氏は言います。その発見をどのように薬剤にするのかは製薬業界が持っている専門知識であり、この部分は非常にリスクが高く政府はやりたくないのではと思っているとのことです。製薬企業は製薬のR&D、特にDにおいて最も専門的な知識、能力を持っていることを知ってほしいと言います。

 予防と治療と治癒があり、例えばエイズは予防薬も治癒薬もなく治療薬があるのみで、しかも次第に薬剤に対して耐性を持って来ると説明されました。そして現在の治療薬ではコントロールできないウイルスも出現したり、予防薬もない、治療薬もない、治癒薬もないという病気も現われてきているので、革新を続けていかなければならないとその必要を説きました。

 PIPとは研究、ディスカバリー、知財の保護、薬剤の開発、動物実験、治験の1層、2層、3層が行なわれ登録が行なわれ、当局が認可を決定したら上市され、よく売れればそのお金はまたR&Dに使われる。このサイクルであるが、認可された薬剤の3分の1しか投資の見返りが得られないのが現実であるとベール氏は言われました。

●革新は公衆衛生に対する投資と考える
過去30年間医薬品の売上は増加し、それに対して例えば心疾患の死亡率はどんどん下がっていることを説明されました。また発展途上国の乳児死亡率が劇的に下がったことは、ワクチン投与プログラムによるものと解説。そして例として消化管潰瘍は70年代以前には入院・手術であったが、現在は投薬で治癒できるようになったなど、手術率の低下をグラフで説明、薬品のベネフィットを確認されました。

 ベール氏は新薬の開発コストは治験に一番かかると説明し、エイズ、がん、アルツハイマー病など昔より難しい疾患に取り組んでいると言われました。現代の科学は非常に複雑になり、規制上の要件も大きくなり、価格統制や知財を大切にしない国があることなど難しい課題があるが、成功するチャンスも広がっていると言います。良い医療システムを作るチャンスは、医薬品のデリバリーの効率化、インターネットなどでの情報の広がりなどであり、患者さんの医療の関わりも深くなってきて前向きの展開であると話されました。ゲノミクス、エレクトロニクス、化学、バイオテクノロジーなどの分野が融合し、知財もこれらの分野全てにまたがって技術革新をしているので、医療技術のためには知財の保護がどうしても必要であるとのことです。

革新的な医薬品のためのマーケットが必要であり、イノベーションはコストではなく公衆衛生に対する投資だと考える必要があるとベール氏は論じます。また手術、入院などと比べて医薬品の価値はどれだけあるのかをリアリスティックに評価する必要があるとも言われました。規制当局の政策は大事であり、これを間違えると新薬を作り出す能力がその国からなくなることもあるとドイツを例に解説されました。

 ベール氏は何度も、革新的な医療・医薬品というのは公衆衛生におけるリソースとして考えなければいけない、ということを言われました。医療費とGDPの関係もコストとして規制をするのか、投資として見るのかが問題であり、規制当局の最終的な意思決定いかんによって、患者さんの得られる医療の質、得られるアウトカムが決まってしまうのであると結論づけられました。


本講演の最後にはジャーナリスト各氏より活発な質疑応答が行なわれ、ベール氏はそのひとつひとつに詳細に答えられました。予定時間を大きく過ぎましたが、革新的新薬開発のためのプラットホームに必要な環境について、分かりやすく理解できた実りある講演でした。政との関係も比較しながら問題点を指摘されるなど、有意義な討論が展開され、盛会のうちに終了しました。

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