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リスクに基づくモニタリング(RBM)の
導入上の課題と留意点
 第2回〈最終回〉
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そもそも、100%SDVはなんのために実施しているのでしょうか。エラーを完全に排除したいからでしょうか、それともCRFの記載に漠然とした不安を抱いているからでしょうか。たとえ100%SDVを行ったとしても前者の目的を達するのは不可能です。いたずらに完璧を目指すのはリソースの「浪費」にほかなりません。一方、後者のようにCRFの記載事項全般に不安を感じるようであれば、まず施設の品質管理プロセスを見直す必要があります。
 施設内の品質管理プロセスが確立しているとは、CRFデータに限っていえば、施設内の情報の流れが再現できるような記録が残されているということです。たとえば、有害事象では、治験コーディネイター(Clinical Research Coordinator、CRC)が被験者から聴取した自覚症状の記録や臨床検査の結果が判断材料の1つになりますが、医師がCRCの記録や検査伝票を確認したことが記録に残っていれば、自覚症状+臨床検査値+医師の所見→病名の診断→有害事象という情報の流れを追うことができます。
 こうしたプロセスが確立されておらず、医師の確認記録がない場合、自覚症状や検査結果とCRFに記載されている有害事象との関連がつかめません。こうした施設では有害事象のCRFへの記載漏れが生じているかもしれません。また、同日の血圧値の記載が2つあっても、片方は通常測定者になっている看護師の記録であり、片方はたまたま看護師の測定値に疑念を抱いた医師の測定値であることが記録されていれば、CRFに記載されたデータの妥当性判断が容易になります。このような原データからCRFデータへの流れを再現できるプロセスが確立していることが重要です。
 SDVすべき項目の特定はSDVの効率ともかかわってきますが、あまり区分けを細かくしすぎないのがポイントです。たとえば、バイタルサインの中で、血圧は100%SDVだが脈拍はみなくて良いというのはかえって煩雑になってしまいます。このように関連する項目間ではSDVの割合を同じにしたほうが良いでしょう。ただし、同じ併用薬の中でもハイリスクのものとローリスクのものがあるのであれば、ハイリスクのものは併用の有無をYes/No Questionの形でCRFに記載してもらうといった違いをつけることでSDV時の区別が容易になると思います。
 リスクに基づいたReduced SDVが単なるSampling SDVと混同されることがありますが、RBMの場合、治験中は常にPDCAのサイクルが回っています。たとえば、ハイリスクということで100%SDVの対象になった項目(Plan)だが、試験を開始してみたら(Do)、エラーが発生しないことがSDVによりわかった(Check)、つまりリスクがそれほど高くないことが再評価されたので、SDVの割合を20%に変更する(Action)というように、その時点のリスクに応じてモニタリング計画で規定された頻度に変更します。最初に設定したSDVの割合を最後まで変更しないというものではありません。SDVの割合を変化させるとはいえ、5%刻みでというような運用は現実的ではありませんので、中位リスク項目のSDV割合の段階は少数に絞り込んだほうが良いでしょう。ただし、割合をどう設定するかはスポンサーが決定すべきです。

図3 工程の理解:データはどのように収集されるのか?

図3 工程の理解:データはどのように収集されるのか?
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