開催初日にメディア取材会を開催
「病いと生きる。希望と生きる。写真展」~まだ見ぬ答えを、生み出す未来へ~

「病いと生きる。希望と生きる。写真展」の初日となる2023年12月12日(火)にメディア取材会を開催しました。取材会には11社11名の記者にご参加いただき、冒頭、日本製薬工業協会(以下、製薬協)の上野 裕明会長から今回の開催趣旨などの説明がありました。続いて、本写真展にポートレートとメッセージでご協力いただいたがん研有明病院の古川 孝広氏、一般社団法人CancerXの半澤 絵里奈氏、がん経験から立ち上げたブランド「MAEÈ」を運営されている株式会社encyclo代表取締役の水田 悠子氏 の3名にご挨拶いただいた後、本写真展のポートレートを撮影した写真家のハービー・山口氏もゲストにお迎えして、昨今の医薬・医療領域における課題や、写真展や未来に向けた思いなどをテーマに、トークセッションを行いました。

登壇者:左から、ハービー・山口氏、半澤 絵里奈氏、水田 悠子氏、古川 孝広氏、上野 裕明氏

以下、メディア取材会での登壇者の皆さんのコメントをご紹介します。 

日本製薬工業協会 上野 裕明 会長

治療とは、医療従事者の皆さんや病気を支える方のサポートによって行われますが、何よりも重要なのは、患者さん一人ひとりの抱える病気に対する思いや悩みに、どうやって気づき、応えることができるかだと思います。この写真展では、患者さんのみならず、治療に関わる多くの皆さんの思いや姿をまずは知っていただくことが重要だと考えます。そして、病い、治療、さらにはサポートというものの大切さが広く皆さんに伝わることを祈念しております。

がん研有明病院 先端医療開発科
がん早期臨床開発部 部長 古川 孝広 氏

私は常々、日本での新薬開発がもっと早くできないかと思っておりました。日本臨床腫瘍学会(JSMO)の会員でもある腫瘍内科医が日本ではまだ少なく、薬剤開発を担う腫瘍内科医が増えれば、薬剤開発の可能性がさらに広がると考えています。今回の写真展のテーマにJSMOからも協力できることが多々あるのではないかと思っています。

CancerX 共同代表理事・共同発起人 半澤 絵里奈 氏

私たちCancerXは、がんと言われても動揺しない社会のデザインを目指して日々活動をしており、カンファレンス事業なども行なっています。今回、このような写真展に協力させていただき、大変感謝しております。

CancerX 所属 がん経験から立ち上げたブランド「MAEÈ」運営
株式会社encyclo 代表取締役 水田 悠子 氏

今回、子宮頸がん経験者として参加しました。私は治療の影響で、リンパ浮腫という生涯むくみ続けてしまう後遺症を発症しました。この経験を活かし、同じ症状に悩む方々が治療後も人生を楽しめるようにしたい、という気持ちでこの会社を立ち上げています。

写真家 ハービー・山口 氏

撮影をして思ったことは、ひとつのことに向かって生きている方はすごくいい表情をするということ。カメラマンとしてひしひしと感じました。今回、必死に生きている方、目的を持って生きている方の美しい表情を残すことができたと思っています。今後も、その人の存在感、生きている価値を撮影できればと思っています。

トークセッション

ご挨拶の後、本写真展についてのトークセッションを行いました。今回の撮影にご参加いただいた皆様は、医療の現場で活動されていたり、患者さんやご家族を支える活動をされていたりとさまざまですが、古川氏、半澤氏、水田氏にご自身の活動を紹介していただきながら、現状の課題等について語っていただきました。



古川氏
「私は“第Ⅰ相臨床試験”という抗がん剤の最初の段階の試験をおこなっています。新薬を初めて患者さんに投与する試験は専門の経験がないと実施が難しい試験で、アメリカで第Ⅰ相臨床試験を通ったものを、日本で活用するということが多くなります。それゆえ日本は新薬開発がどうしても遅れてしまうという課題があります。腫瘍内科として新薬開発に貢献することは重要な社会的責任でもあり、専門知識や経験の積めるトレーニング施設を使って、より多くの若者に経験を積んで頂き、新薬がより早く開発できる環境づくりを行っています」

半澤氏「医療の発展によりがん治療を経て、日常生活に戻る方々が増えてくると、その先の生活をどうするかも大きな課題です。ご家族や周りの方がどのようにサポートするか、一緒に働いていくかなども含めたディスカッションができるように、多様な人が参加できるプラットフォーム構築を目指しています」

水田氏「がんや病気を経験すると、様々な症状に悩まされますが、実はその経験はヘルスケア領域のエキスパートとしてプラスに働くこともある と思っています。 長く付き合う疾患では、先生方と二人三脚で、日々良い状態になるよう心掛けるので、実は罹患前よりも健康的な生活を送っている方も多いのです。 MAEÈでは、そういった経験や知見を社会全体の財産と捉え、病気の方だけでなく、一般の方の健康も前進させるような商品を開発しています」


続いて、ご自身も病気を長く患った経験から、一貫して「生きる希望を撮る」をテーマに活動されているゲストの写真家ハービー・山口氏に、今回の写真を撮影するに当たり、どのような想いを抱きながら撮影に挑まれたのかとお伺いしました。

ハービー氏「今回撮影して、使命を持った方の表情は美しいと思ったのが正直な感想です。私は生後2ヶ月でカリエスに罹り、いじめにあうなどつらい少年期を過ごしました。しかし、10代の後半に、担当医から”もう大丈夫”と言われた時に、人生で初めて生きる希望を感じ、それを写真のテーマにしようと思い、現在に至っています。」

撮影に協力いただいた古川氏、半澤氏、水田氏に、それぞれ撮影時のエピソードをお伺いすると、古川氏は「自分でないみたいに、素敵に撮っていただきました」と少し照れながらコメントされました。半澤氏は「ダンスを専門にやっていたので、踊っているところを撮影してもらいました」と話し、水田氏の撮影については、ハービー氏から「水田さんは目をキラッとさせた表情が素敵だったので、未来を見つめるイメージにしました」と思いを語っていただきました。

そして、さまざまな立場から病いと向き合っている方々、これから写真展にご来場くださる皆様に向けてメッセージをいただきました。

最初にハービー・山口氏から「医療従事者や、サポートを行う方々は、神に近い存在だと思っています。生きている限り希望を持って、明日よりもっといい世界を作っていきたいという思いは一生続けていきたいと思います」というメッセージに、古川氏は「私たちの病院に来てくれる患者さんの不安を少しでも取り除けるように、サポートしていきたい、そして新しい治療を提供したいと言う思いがあります。患者さんが少しでも笑顔になってくれるようにしたいです」、半澤氏は「私も含めて被写体になった皆さんは、目指している方向は一緒ですが、立場や価値観、生き方が違う、それぞれの存在がハービーさんの写真によってすごく強く肯定されたと思います。この写真展を通して、この人とは考え方が近いとか、こういう活動もあるんだということを多くの方に知っていただければと思います」、水田氏は「病いを得ても、その人らしい生き方やユニークさは失われず、ハッとするようなきらめく瞬間をハービーさんが切り取ってくれたと皆さんの写真を見て思いました。それぞれの立場は異なりますが、彩りあふれたカラフルな世界がこのモノクロの写真展に溢れています。ぜひ実際に足を運んでください」と、今回の写真展への期待や、それぞれの分野での発展を望んでのコメントがありました。

最後に、製薬協の上野会長より、閉会挨拶として「(今回の展示会のタイトルでもある)“病いと生きる。希望と生きる。”とは、薬や医療従事者だけではない、世の中の理解があって初めて達成できるのだと強く感じました。私たち製薬企業は、新薬の研究開発を通じて、皆さまの笑顔に少しでも貢献できるように、これからも邁進して参りたいと思います」と語り、イベントを締めくくりました。

医療が発展した現在でも、治療法が見つかっていない、有効な薬が開発されていない、治療に伴う負担がある、などの「アンメット・メディカル・ニーズ」や、「ドラッグ・ラグ/ロス」と呼ばれる海外で承認されている薬が日本で承認されていない、または開発自体が行なわれていないといった課題が存在します。製薬協では、このような課題を広く世の中に伝えることで、その解消に向けた理解者を増やしていきたいと考えています。

以上

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