品質委員会

基本方針

2026年度も引き続きGMP部会、製剤研究部会、ICH品質グループの三体制で活動する。活動にあたっては、諸団体および製薬協内の関係委員会及びプロジェクト等、品質委員会内外の連携を密接に保ちつつ、会員会社並びに当局を含む諸団体に有益な情報や諸課題の解決策を提供・発信する。
昨年度に改正された薬機法や、改正GMP省令については、課題への対応等、継続して対応していく。また、社会的に注目されている医薬品の安定供給の達成を、品質面から支援する。医薬品品質確保については、高いコンプライアンス意識をもとにクオリティーカルチャーの更なる醸成及び浸透策を考えていくとともに、革新的技術開発を視野にDXを中心に機械学習・AI等の新しい技術の応用等も検討を進める。

重点課題への取組み

各課題への2026年度の具体的取組みは以下の通りである。

1. GMP部会

1)新規プロジェクトの取り組み

昨今のGMPを取り巻く環境変化に対応し、イノベーションに立脚した新規医薬品の品質保証について、また、ICH 品質分野の更なる進展や品質に対する信頼回復も念頭に、取り組む活動の立案・運営を図る。

2)アジア製薬団体連携会議(APAC)等のアジア連携対応

アジア連携対応活動の一環として、アジアを中心とした各国査察官の査察技術の更なる醸成(人材育成)を図ることに加え、新薬をより早くアジア各国に提供するため、APACにおいてManufacturing, Quality Control and Supply分野における品質課題についてアジア関係諸国をリードし、関係諸国との連携強化を実現する。

3)海外ガイダンスウォッチャー活動、GMPガイドラインの翻訳活動による海外のGMPに関する規制動向把握と会員会社への伝達

米国FDA、EMA、WHO、中国(NMPA)、韓国(MFDS)、台湾(TFDA)、英国(MHRA)、Swissmedic、豪州(TGA)等の最新情報の検索、製薬協国際委員会、並びに各社からの個別情報等、会員会社に周知すべき情報を遅滞なく収集・配信する。国際委員会アジア部会とも連携し、中国、アセアン諸国等のGMP規制に関する調査・パブリックコメントにも取り組み、輸出や変更管理を行っている会員会社へ有益な情報を提供する。改訂が著しいEU、PIC/SおよびFDAのGMP/GDPの文書の改訂版の翻訳を必要に応じて実施し、GMPニュース等を活用し発信するとともに、プロジェクトで紹介した規制に対する各社の取り組み状況を共有する。

4)ICHのGMP関連課題への支援

ICH品質領域のガイドラインの検討やトレーニングマテリアルの翻訳等の活動を検討し、ICHプロジェクト関連の活動について、品質面からの支援を行い、ガイドラインの国内定着を図る。

5)連続生産プロジェクト

連続生産での品質課題について、海外及び国内での承認情報、PATモニタリング技術の情報、等を収集し、連続生産の導入に関する課題の根拠を取りまとめ、その内容を提案する。

6)クオリティーカルチャープロジェクト

多くの製薬企業は製造受託先(以下、CMO)との契約関係の下で医薬品の製造販売を行っている。高品質の医薬品を患者に安定的に供給するためには、CMO が製薬企業各社の考えるクオリティーカルチャーを理解し実践していただくことが不可欠であり、そのためには製薬企業と CMO との間に良好な信頼関係を構築することが重要である。そのうえで、心理的安全性を軸としたコミュニケーションのあり方や委受託関係の強化をテーマに検討を継続する。

7)商用生産DX推進TF

安定供給課題や人材不足への対応策として、AIやロボティクスを含むDX技術の商用生産への実装を推進し、強靭な生産・品質基盤の構築を目指し活動している。PIC/S Annex 22に関するAIガイドラインへの提言に向け、PMDAと連携し、製造・品質管理におけるAI活用のユースケースと課題を整理する。さらに、AMED研究への参画を通じ、AI適用時の留意点や承認申請資料の標準化を検討する。

8)医薬品医療機器法関連課題について、日薬連との連携による対応と提言

日薬連品質委員会との緊密な連携と日薬連のプロジェクトへの参画を行う。品質問題事案の再発防止に向けた検討、薬機法並びにGMP省令改正後および品質関連通知の対応、ニトロソアミンWTへの対応、PIC/S GMP関連通知等の改正等のプロジェクトに参画し、医薬品品質の一層の信頼性確保に加え、グローバル化の基盤となるGMPの充実を図る。今年度も引き続き、次期薬機法改正に向けた業界内での議論の中で、要望の提出等対応していく。

2. 製剤研究部会

1)プロジェクト活動

  • 製剤分野におけるデジタルツールの活用・実装プロジェクト

    デジタルツールを有効活用、実装することで、医薬品の品質及び開発力の向上(効率化、迅速化)を図る。今年度は、昨年取得したアンケート結果を踏まえた、LA/RPA導入プロセスの標準化の提案について検討する。また、技術移管でのデジタル技術実用化に関する検討を行う。

  • Lipid Nanoparticle (LNP) 製剤開発促進プロジェクト

    日本からのLNP製品の開発の加速化、海外への競争力強化を目的とし、以下のケーススタディについてmRNA-LNP製剤の模擬品質相談を行なう。今年度は、ケーススタディA/Bに関する調査報告書をまとめ、外部発表を行う。また、PMDAとの意見交換や情報共有の機会を探索し、実用化の促進に取り組む。
    ・ケーススタディA:パッシブターゲッティングLNP製剤の製造プロセス変更に対するコンパラビリティープロトコール
    ・ケーススタディB:Fabリガンドを結合したアクティブターゲッティングLNP製剤に臨床試験開始のための品質要件

  • Established Condition (EC)/製造方法欄の記載検討プロジェクト

    ICH Q12の国内実装及びCMC開発・製造の視点からの現在の製造方法記載の課題等を踏まえて、製造方法記載(記載事項に対する変更区分を含む)のあり方を技術的視点から検討し提案する。今年度は、AMED化成品分科会との協議も交え、EC及び変更カテゴリー設定に係わる技術白書を完成させる。また、薬事委員会と連携し、本邦向けの変更ガイダンスや変更管理事案を検討する。

  • 外部委託諸課題解決プロジェクト

    開発後期の製剤製造アウトソーシング時のトラブル回避を目的とし、主に技術目線で検討して課題解決する。各社の経験から抽出された委託先選定~治験薬出荷における事例に基づき、今年度は、アンケート(日本製薬工業協会,日本CMO協会)結果をもとに成果物(チェックリスト、情報リスト)を最終化する。

  • 生物学的同等性プロジェクト

    ICH M13の発出に伴う現行GLへの影響を検討し、ICH M13の日本での実装化を図ることで、新薬開発におけるBE試験の負担軽減とともに、国内における医薬品開発の迅速化に貢献する。今年度は、M13の国内実装に向けた現行GLの改定内容を継続協議するとともに、現在検討中のM13B及び今後予定されるM13Cに対して、日米欧ガイドラインのギャップ分析等を行い提言する。

2)他団体との協業

  • 日本薬剤学会小児製剤FGとの連携

    部会内に小児製剤検討グループを設置。今年度は、「ミニタブレットの剤形の分類及び名称」に関して、製薬企業と医療従事者で共通認識が持てる文書化を目指す。

3. ICH品質グループ

1)活動中トピックスの継続的な議論と対応

ICH Q1/Q5(安定性試験)について、申請、変更時に実施する安定性試験ガイドライン改訂作業を引き続きサポートする。2026年度はパブコメ後の改訂後ガイドラインの最終化を目指す。
ICH M4Q(R1)(CTD-品質に関する文書の作成要領に関するガイドライン)について、申請書の国際デジタル化を目標としたSPQS(Structured Product Quality Submissions)の協議を開始、パブリックコメント後の改訂後ガイドラインの最終化を目指す。
ICH Q6(R1)(規格と試験法)について、安定性試験ガイドライン改訂と並行して、新規医薬品の規格試験法に関するガイドラインの協議を実施する。並行して議論されているICH Q3E(溶出物・抽出物)、ICH Q3C(残留溶媒)、ニトロソアミン関連の協議など、技術的な議論が焦点となることから、複数のガイドラインが協議される中、一貫した内容で協議が進められるようにコーディネイト及び専門家の意見集約などを通じて、サポートしていく。

2)新規トピックスに対する製薬協の意見発出

2025年より新たな議論が開始されたICH M18(バイオシミラー開発における有効性比較試験の有用性判断の枠組み)EWGの活動をサポートしていく。
また、製薬協の品質課題に関する人材発掘と育成も兼ねたサポートスタッフの登録も積極的に行っていく。平行して、新規トピックスの検討も、これまでのワーキングループ経験者などと連携して、提案、評価しながら進めていく。

3)ICHトレーニングマテリアルの作成

2024年度、2025年度にStep5に到達したICH Q13(連続生産)、Q2/Q14(分析法開発)、Q5A(生物医薬品の品質)のトレーニングマテリアルの完成と和訳等を通じて、国内の定着と浸透を図る。ICH Q9(R1)については、ガイドラインをベースとした外部機関との連携において、新旧WGメンバーを交えて約半年間のリスクマネジメントセミナーのサポートを実施する。

その他の課題と取組み

1. GMP部会

医薬品品質の一層の信頼性確保を図り、グローバル化の基盤となるGMPの充実を図るため、技術的および運用管理上(各種ガイドラインの具体的な運用含む)の課題について検討し、提言する。

  1. GMP事例研究会の開催(9月)
  2. GMP懇談会の開催(6月)
  3. GMPニュースの発行(年 2回 PDF版);GMPニュースに国内外のGMPに関する情報を掲載し、会員会社に提供する。
  4. 医薬業界・GM(D)P関連用語集について、新規用語追加等、随時メンテナンスを行う。
  5. EFPIAと行政査察に関する意見交換を継続する。
  6. 薬事委員会との連携強化を図る。まずは薬制部会と協働で区分適合性調査及び基準確認書の諸課題について対応する。

2. 製剤研究部会

各種研究班、外部プロジェクト等に参画し、業界としての提言を行うとともに、これらの提言がガイドライン等に適切に反映される活動も展開する。また、プロジェクト活動等を通じ、他団体とより一層の連携した活動を行う。

3. ICH品質グループ

2026-2027年度にStep 1から3に進むガイドラインの協議をサポートするため、製薬協内の委員会及び活動中の他のトピックスを跨いだ専門家の意見を集約し、ガイドライン協議にフィードバックする。2026年に開催される2つのICH対面会議を節目として、即時報告会などを通じて現状報告を行っていく。
Quality領域での新たなトピックスに関する議論が再開されることから、見直し、新たなトピックスの評価、提案に向けた、現状課題の抽出を行っていく。また、ICH品質領域の活動も、ICHガイドライン作成に限定されず、製薬協ICHプロジェクトメンバーとして、PIC/S、ICMRAなど、ICHガイドライン作成以外にも、ICHプロジェクトを代表して、国際団体との連携が強まっていることから、ICH創立団体の一角としてこれらの会合に参加していく。

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