医薬品評価委員会 「2026年度 医薬品評価委員会・薬事委員会合同総会」を開催
2026年05月20日
2026年4月23日に野村コンファレンスプラザ日本橋(東京都中央区)にて「2026年度 医薬品評価委員会・薬事委員会合同総会」を開催しました。本合同総会はハイブリッド形式で開催され、厚生労働省、医薬品医療機器総合機構(PMDA)からの講師による特別講演が行われました。製薬協幹部、医薬品評価委員会および薬事委員会の約70名は会場にて、その他各委員会メンバーはオンラインにて参加となりました。
合同総会の開始に際して、製薬協副会長の手代木氏より挨拶がありました。冒頭、厚生労働省およびPMDAから最新の行政動向や業界への期待が示される意義ある場として本総会を開催できることへの謝意が述べられました。続いて、2025年度は薬機法改正をはじめ、品質・安全性確保、安定供給強化、創薬環境整備が進み、GCP改正(ICH E6[R3]対応)や治験エコシステム構築、eCTD v4.0導入など、医薬品開発・審査基盤が大きな転換期にあることが述べられました。薬事委員会については、ドラッグラグ・ロス解消や安定供給に向けた制度的な前進が評価され、今後の実運用として2026年度を見据えた実装重視の議論の重要性が指摘されました。医薬品評価委員会については、GCP RenovationやDX・AI、RWD活用による国際競争力向上への貢献が評価され、新体制下での産官学連携や患者市民参画の深化に期待が示されました。手代木氏の挨拶に続き、薬事委員会委員長の柏谷氏の開会の辞にて特別講演が開始されました。
大臣官房審議官の佐藤氏からは、「最近の医薬行政の動向」と題した講演がありました。医薬品医療機器等法改正により、品質保証責任者および安全管理責任者の法定化や、責任役員への変更命令を可能とすることで、企業ガバナンス強化を図る方針が示されました。医療用医薬品の安定供給に関しては、供給体制管理責任者の設置、出荷停止届出、増産要請、需給モニタリング等を法制化し、供給体制の確保を進める考えが示されました。さらに、条件付き承認制度の見直しやRWD活用の明確化により、希少疾患や重篤疾患患者への早期アクセスを推進する方針が述べられました。小児用医薬品については、開発計画策定の努力義務化や再審査期間延長を通じた開発促進が示されました。また、創薬分野では実用化支援基金や創薬クラスター支援など官民連携による創薬エコシステム整備の重要性が強調され、治験効率化に向けたSingle IRB原則化や治験情報提供の運用見直しを進める方針が示されました。
医薬品審査管理課長の紀平氏からは、「医薬品審査に関する最近の話題から」と題した講演がありました。医薬品医療機器等法改正により、医薬品等の品質・有効性・安全性確保の強化方針が示され、製造販売業者の責務明確化として医薬品品質保証責任者・安全管理責任者の法定化が説明されました。安定供給対策では、供給体制管理責任者の設置や出荷停止時の届出義務、需給状況のモニタリングなどの取組が示されました。条件付き承認制度では、臨床的有効性の合理的予測に基づき承認を行い、市販後条件として追加試験等を課す運用が明確化され、RWDの活用方針も示されました。小児用医薬品については、開発努力義務化や再審査期間延長によりドラッグロス解消を図る制度対応が説明されました。さらに、薬剤師確保困難時の例外的措置や供給不足時の迅速対応策が紹介され、審査実務に関しては、開発コンセプト、データパッケージ、臨床試験デザイン、評価項目、症例数、盲検化・無作為化、有効性・安全性評価の妥当性を総合的に確認する科学的評価の重要性が強調されました。特に希少疾患等では、臨床試験の実施可能性を踏まえ、柔軟な統計手法の早期検討の重要性が示されました。関連通知やPMDAメディナビを通じた情報共有の活用についても周知が行われました。
医療機器審査管理課長の野村氏からは、「プログラム医療機器(SaMD)を巡る動向」と題した講演がありました。プログラム医療機器(SaMD)について、定義や対象範囲、承認件数の推移など現状の全体像が示され、リスク分類は能動型医療機器のクラス分類を原則とし、医療機器該当性判断では疾病への寄与度や不具合時の影響を重視する考え方が説明されました。PMDAでは、組織改編や専門チーム編成、相談区分新設、サブスクリプション型相談導入などにより、SaMD向け相談・審査体制を強化し、迅速化を図る方針が示されました。早期実用化支援として、二段階承認やIDATEN、優先審査等の活用に加え、販売方法の明確化や資金支援などの取組が紹介されました。AIを用いたSaMDでは、従来型AIとアダプティブAIにおける評価・変更手続き上の課題が整理され、生成AIの医療利用についても新たな評価手法と市販後監視の重要性が指摘されました。さらに、国際展開支援やサイバーセキュリティ対策強化、承認情報の公開充実を通じた透明性向上の方針が述べられました。
医薬安全対策課長の安川氏からは、「医薬品の安全対策にかかる最近の話題」と題した講演がありました。令和8年以降の薬機法改正により、感染症定期報告の見直しや指定濫用防止医薬品の指定、外国既知重篤報告の不要化、製品データベース構築など複数の制度変更が予定されていることが示されました。品質・安全性確保の強化として、品質保証責任者・安全管理責任者の法定化や、責任役員への監督権限強化が示され、RMPの法定化により、上市後を通じた継続的かつ機動的な安全対策が求められることが説明されました。製造販売後調査については、必要性を踏まえたメリハリある運用や全例調査基準の整理、リスク最小化策の評価手法整備が進められているとされました。また、商品コードと連動する製品データベース構築による回収・トレーサビリティ強化や、併用薬・ニトロソアミン対応の考え方が示されました。さらに、副作用報告遅延への対応として教育や体制整備の重要性が強調され、法改正後も制度を実効的に機能させるため、企業における安全管理体制の再構築が不可欠であると述べられました。
研究開発政策課長の長谷川氏からは、「研究開発政策業務の展望と企業に期待するもの」と題した講演がありました。我が国の創薬力強化と臨床試験・治験の国際競争力向上が重要課題であることが示されました。世界的に臨床試験は増加し、特にアジアでの実施拡大が進む一方、日本ではFIH試験への参画減少や米国完結型開発の増加、ベンチャー主導の創薬比率の低さが、ドラッグラグ・ロスの要因として指摘されました。これを踏まえ、創薬エコシステム構築に向け、人材・資金・国際連携の強化、FIH体制整備やSingle IRB化、DCT推進、新規モダリティ対応の基盤整備が必要とされました。あわせて、規制見直しや小児・希少疾患医薬品開発促進、PMDA国際化を通じた迅速な医薬品提供の方針が示されました。さらに、AI活用やデータ標準化、人材育成、PPI推進による治験効率化、臨床研究中核病院の評価見直し、全ゲノム解析推進、再生医療やAI活用における制度整備と課題への対応が示されました。
PMDA執行役員の飯村氏からは、「PMDA業務と企業に期待するもの」と題した講演がありました。PMDAは審査期間の大幅短縮を達成し、世界最速水準の審査を維持しており、令和6年度の調査では、我が国のドラッグ・ラグの主因は審査ではなく開発ラグの拡大にあること、特にベンチャー発医薬品や希少疾患・小児用医薬品でドラッグロスが顕著であることが示されました。これを受け、希少疾病用医薬品の指定要件明確化・早期化や、小児用医薬品開発計画の確認制度導入など、制度面での対応方針が示されました。あわせて、小児・希少疾病用医薬品向け相談センター設置、手数料補助、優先審査、治験エコシステム推進など具体的支援策が紹介されました。さらに、海外先行開発品については、日本人第I相試験を原則不要とする考え方の整理や、海外拠点設置・国際学会での相談を通じた開発参画促進が進められていること、加えてイノベーション対応としてEarly consideration、NAMs活用、AI導入等による審査・相談の質と効率向上に取り組んでいることが説明されました。
最後に新たに医薬品評価委員会委員長に就任された北川峰丈委員長による閉会の辞をもって、約500名が参加し2時間40分に亘った合同総会が終了しました。
(医薬品評価委員会 副委員長 清水義隆)
