医薬品評価委員会 2026年4月16日開催 ワークショップ「"知りたい"に応えるレイサマリーとは?~患者・規制・実務の視点から、みんなで考えよう!~」
2026年05月28日
日本製薬工業協会 医薬品評価委員会では、医薬品開発への患者・市民参画(PPI/E)推進の一環として、臨床試験結果を一般向けにわかりやすくまとめた要約である臨床試験結果のレイサマリーに関するワークショップを2026年4月16日に対面形式で開催しました。23社の加盟会社から、参加者・オブザーバーあわせて総勢43名が参加しました。本ワークショップは、臨床試験結果のレイサマリーの作成・共有を推進するとともに、より意義のある臨床試験結果のレイサマリーにしていくためにできることを検討するために企画されました。
第1部:講演
講演1では、臨床試験の国際指針であるGCPを見直す取り組みであるGCP Renovationの動向を踏まえ、臨床試験結果をレイサマリーとして共有することの意義について説明されました。ICH E8(R1)およびE6(R3)(臨床試験の計画[E8]と実施・品質管理[E6]の考え方を定めた国際指針の改訂版)の根幹に患者・市民参画(PPI/E)の考え方が組み込まれ、試験参加者がエビデンス創出に共に関わる「パートナー」と位置づけられていることが示されました。また、臨床試験結果をレイサマリーとして共有することはパートナーに対する重要なフィードバックであり、それを通じて試験参加者が研究への貢献を実感できること、さらに一般の人や社会での臨床試験に対する理解・信頼にもつながりうることが示されました。あわせて、レイサマリーの作成を形式的な業務として捉えるのではなく、その目的を深く理解し、マインドセットを変えていくことの重要性が提言されました。
講演2では、2026年3月に発出された「治験等に係る情報提供の取扱いについて」(令和8年3月30日付 医薬監麻発0330第1号)および関連Q&Aをもとに、臨床試験結果のレイサマリーを作成・共有する際に考慮すべき医薬品の広告に関する規制等について説明されました。新通知により、「参加者募集のための情報提供」および「参加者募集以外を目的とした情報提供」の枠組みが明確化されました。「参加者募集以外を目的とした情報提供」では、一定の要件を満たす場合には、臨床試験結果のレイサマリーを含む情報提供は広告に該当しないことが示されました。これにより、新しい規制を正しく理解して遵守することでレイサマリーの作成・公開が可能であることが改めて整理されました。あわせて、企業ウェブサイトで公開する際の表紙ページの設計や記載内容等、実務上の具体的な留意点や、関連ガイドラインを参考に作成する重要性が紹介されました。
第2部:インタビューセッション
第2部では、特定非営利活動法人GISTERS理事長の西舘澄人さんを迎え、「治験参加者を含む患者・市民にとってのレイサマリーの意義・有用性・課題」をテーマに、インタビュー形式で意見を伺いました。臨床試験参加者を含む患者および患者家族の立場から、臨床試験結果について知りたいと感じる情報の内容についてコメントをいただくとともに、臨床試験参加者およびその家族にとってのレイサマリーの意味・価値について、以下のような具体的な意見が共有されました。
- 臨床試験参加者は企業にとってのパートナーであること
- レイサマリーは患者一人ひとりの未来や人生の選択につながる重要な資料であること
- ネガティブな結果であっても結果を知りたいと考えていること
- 患者本人だけでなく家族と一緒に理解・共有できる資料であること
また、こうした価値を実現していくためには、各製薬企業が個別に対応するのではなく、共通の課題として協力し合いながら、わかりやすく信頼される情報提供のあり方を検討してほしいとのメッセージをいただきました。
第3部:グループディスカッション
第3部では、参加者が5名程度のグループに分かれ、講演およびインタビューセッションの内容を踏まえたグループディスカッションを実施しました。参加者それぞれが感じた点を共有した上で、自身の立場で何ができるかについて議論し、「次の一歩」として各自が行動宣言を作成しました。
レイサマリーの作成・共有を進めるという観点では、その意義や価値を社内に伝えること、同じ志を持つ仲間を巻き込むこと、まずはレイサマリーを形にすることなどが挙げられました。一方、患者・市民にとって真に有益なものとしていくという観点では、社内外での協働や、わかりやすく信頼されるレイサマリーとして実装・定着させていくことなど、それぞれの立場に応じた行動宣言が作成されました。
事後アンケートでは、本ワークショップをきっかけに、臨床試験結果のレイサマリー作成・共有の取り組みをもっと進めたいと思ったという回答が多く寄せられました。
当日の講義、インタビューセッション、グループディスカッションでの議論と参加者の想いを踏まえて、医薬品評価委員会でも臨床試験結果のレイサマリーを含めたPPI/E推進に引き続き取り組んで参ります。
当日の発表資料を以下に掲載しています。
