医薬品評価委員会 解釈のための因果推論~因果媒介分析編~

データサイエンス部会

2024年6月

日本製薬工業協会医薬品評価委員会データサイエンス部会がこれまでに公開したestimandに対する理解が深まることを期待して作成された因果推論に関連する成果物では,関心のある治療とアウトカムとの因果関係の評価を目的とした因果推論の考え方を示していました.それらは多くの臨床研究の主要な関心事である一方,臨床研究で得られたデータの解釈を深めるためにその因果関係のメカニズムや経路,治療とアウトカムの関係の間にある変数(媒介変数)の影響にも興味がある場合があります.薬剤開発の文脈では,薬力学マーカーや代替評価指標が媒介変数として考えられます.そのような媒介変数の影響を考察するためには,媒介分析と呼ばれる因果推論の考え方が必要となります.

そこで我々日本製薬工業協会医薬品評価委員会データサイエンス部会2023年度タスクフォース3-1では,結果の解釈に役立つ手法の一つとして,因果媒介分析に関する成果物を作成しました.1章では,活用場面の具体例とともに媒介分析の動機を説明し,臨床担当者と統計担当者それぞれに媒介分析実施時に求められる役割と検討すべきことを紹介しています.また2章以降では,想定読者を統計担当者に設定し,因果媒介分析における基本的事項の整理,アウトカムの種類に応じた推定方法,感度分析手法,数値例及び解析コードの紹介をしています.

本成果物が,臨床担当者や統計担当者が因果媒介分析を実装する際の計画・解析・結果解釈の一助となれば幸いです.

日本製薬工業協会 医薬品評価委員会
データサイエンス部会2023年度タスクフォース3-1

解釈のための因果推論~因果媒介分析編~

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