医薬品評価委員会 有害事象調査に用いる電子詳細調査票(製薬協電子モデル)
ファーマコビジランス部会
2024年2月
製薬企業が医療従事者からの副作用・感染症報告を受けた際に行う詳細調査では、紙媒体の調査票を用いて記入いただく調査方法が主流となっておりますが、昨今の感染症等による医療機関への訪問規制や医療従事者や製薬企業の双方の負担軽減にも対応するため、詳細調査票の電子化が望まれております。しかしながら、製造販売後調査や臨床試験のようにEDCシステムを導入することは維持管理のコストや、運用の課題により容易ではなく、多くの企業において進んでおりません。
そこで製薬協医薬品評価委員会ファーマコビジランス部会継続課題対応チーム2(製薬協PV部会KT2)では、コストを抑えて電子的に詳細調査を行う方法として、PDFフォームの電子詳細調査票(製薬協電子モデル(PDF))を開発し、広く公開することといたしました。製薬協電子モデル(PDF)の調査項目および様式は、製薬協ホームページにて公開した紙の「副作用調査に用いる詳細調査票」(製薬協モデル(紙))を元として開発しました。主な特徴は以下の通りです。
- 「入力チェック機能」の導入(再調査回数の減少を期待)
- 「ロック機能」の導入(非改ざん性の担保を期待)
- ICH E2Dの重篤性区分の導入(E2B(R3)に対応)
製薬協電子モデル(PDF)を導入することにより、医療従事者とのやり取りにおいて手交や郵送以外の電子的な情報の授受が可能となり、情報収集から評価までのスピード向上および円滑な詳細調査の実現が期待されます。また、将来的には電子カルテから必要な情報を抽出できる仕組みなど、医療従事者における利便性が向上する仕組みを構築することで、より詳細調査への協力が得られる環境が実現できると考えられます。
製薬協PV部会KT2としては、2026年3月までの2年間で電子モデルの啓発活動を予定しております。項目や仕様を標準化した製薬協電子モデル(PDF)を企業に広く活用いただくことで、詳細調査にかかる医療従事者の負担を軽減し、また、詳細調査への協力が得られやすくなるものと考えますので、詳細調査の電子化に向け、ご協力の程、お願い申し上げます。