医薬品評価委員会 ベイズ流試験デザインにおけるシミュレーションの利用法
データサイエンス部会
2025年10月
2020年にFDAより、「Interacting with the FDA on Complex Innovative Trial Designs for Drugs and Biological Products」が発出され、アダプティブデザイン、外部対照、マスタープロトコルなどの特殊な臨床試験デザインにおいてベイズ流の方法の活用が議論されています。日本においても、AMED医薬品等規制調和・評価研究事業で「希少疾患領域の臨床試験におけるベイズ流アプローチの適用に関する基本指針」がまとめられ、2024年6月に発出された「医薬品開発等におけるマスタープロトコル試験の活用に関する留意事項」でもベイズ流の解析方法について言及されており、その考え方が整備されてきています。
ベイズ流の解析を用いた試験では、途中の試験結果に基づく意思決定により試験に柔軟性を持たせたり、外部の情報を借用することで効率的な医薬品開発が可能となる場合がある一方、事前分布や意思決定の基準によっては誤った結論(erroneous conclusion)を導く可能性の増加があり得るため、試験実施前にその性能を慎重に評価する必要があります。そのため、ベイズ流試験デザインの性能を評価するためにはシミュレーションが重要な役割を持ちます。
本成果物では、臨床試験の統計解析担当者向けに、ベイズ流試験デザインの動作特性を測るためのシミュレーションの方法を検討し、担当者が必要な状況において適切なベイズ流試験を計画できることを目的とします。
日本製薬工業協会 医薬品評価委員会
データサイエンス部会 2024年度タスクフォース3-2