医薬品評価委員会 Estimandの治験実施計画書への実装

データサイエンス部会

2023年3月

ICH E9(R1)『Addendum on Estimands and Sensitivity Analysis in Clinical Trials to The Guideline on Statistical Principles for Clinical Trials』はICH調和ガイドラインとして最終合意され,今後日本でもステップ5として発出されることが想定されています。このICH E9(R1)で定義・導入された「estimand」は,試験の目的と対応する試験デザインや解析方法を繋ぐフレームワークとして提示されています。このフレームワークを用いて,試験の計画段階で関心のある臨床的疑問に応じて,推定したい治療効果を各ステークホルダーと事前に合意し,それを正確に規定した文書により臨床試験を実施することが今後重要になります。

本報告書の前半パートでは臨床試験に携わるすべての方を対象に,estimandの概要を解説した上で Training Materialにあるthinking processに則ってestimandの設定及び考慮事項を整理しました。また治験実施計画書におけるestimandの記載方針を提言し,仮想事例を用いて治験実施計画書への具体的な記載内容を提示しています。後半パートではさらにestimandへの理解を深めたい方を対象に,関連すると考えられる文献を紹介し,estimandに関する考慮事項について各著者の見識を整理しています。本成果物がestimandの設定および治験実施計画書への実装において,一助となれば幸いです。

2023年3月発行
日本製薬工業協会 医薬品評価委員会
データサイエンス部会2022年度 継続タスクフォース4

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