くすりの情報Q&A Q34.くすりを開発するうえで重要とされる「治験(ちけん)」とはなんですか。

回答

くすりができる最終段階で、患者さんの協力を得ておこなわれる臨床試験が治験です。くすりの有効性や安全性が、治験によって最終的に確認されます。

解説

1つのくすりは、9~17年もの長い研究開発期間を経(へ)て誕生します。その間、さまざまな試験によって、成分の性質や作用の仕方、毒性の有無と程度などが確認されます。

そして最終段階では、初めに健康な人で安全性を試験し、その後実際にその病気にかかっている患者さんたちを対象として、有効性や安全性についての確認がおこなわれます。これを治験といいます。

たとえば、糖尿病の治療薬を開発するためには、糖尿病の患者さんたちのボランティアによる協力を得て、くすりとしての効果はあるのか、安全に使用することができるのか、使いやすい形になっているのか、といった点を試験します。

くすりは、かならず治験を経て有効性と安全性が確認されたうえで、承認されます。いま私たちが利用しているすべてのくすりは、たくさんの患者さんたちのボランティアによってできあがったものです。

治験は病院などの医療機関で、担当医師や看護師、薬剤師と、治験をサポートする治験コーディネーターによっておこなわれます。

治験を実施するにあたっては、患者さんの安全が最優先されます。医師などによる安全管理や相談の体制が整えられ、また副作用などの症状がみられたときには、すぐに適切な処置がとれる体制のもとで進められます。

そして製薬企業は、安全の確保と人権保護のために法令化された「医薬品の臨床試験の実施の基準(GCP)」に基づいて、治験を計画し、情報の収集や管理面を担当します。

このように治験は、患者さんと医療機関、そして製薬企業が一体となって進められます。

治験は、3段階にわかれています。

第1相(フェーズI)試験では、少数の健康な人を対象に、副作用などの安全性について確認します。

次の段階の第2相(フェーズII)試験では、少数の患者さんを対象に、有効で安全な用量や用法などを確認します。

そして最後の第3相(フェーズIII)試験では、多数の患者さんを対象に、有効性と安全性について既存の標準薬などとの比較をおこないます。

  • 治験コーディネーター
    患者さんと医師、さらに製薬企業との連絡役となり、治験の円滑な運営をサポートする専門的スタッフ。看護師や薬剤師など、看護やくすりの知識をもつ人が治験コーディネーターとなるケースが多くみられます。

図表・コラム

34|治験の進め方

治験の進め方 出典:製薬協「治験 あなたの疑問にお答えします」より引用。

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