くすりの情報Q&A Q15.病院や医院で処方してもらうくすりと、薬局・薬店で自分で買えるくすりでは、違いがありますか。

回答

病院や医院でもらうくすりは、医師の診断のもと、医師が処方箋(しょほうせん)を出して、薬剤師が調剤したくすりです。これを医療用医薬品と呼びます。これに対して薬局・薬店で自分で買えるくすりを一般用医薬品、またはOTC医薬品と呼びます。

解説

医療用医薬品と一般用医薬品では、どこが違うのでしょうか。

医療用医薬品の第一の目的は、病気に有効であること、つまりよく効くことです。そのため、使われる有効成分の種類も多く、効き目を強くしてあります。たとえば、抗がん薬のように、副作用があることを承知のうえで、あえて効き目を優先させるものもあります。また、さまざまな病気や症状の治療に対応できるよう、非常に多くのくすりがあるので、医師がそれぞれの患者さんの症状に合わせて、くすりを選ぶことができます。

かぜを例にとると、熱があるなら解熱(げねつ)薬を、咳(せき)が出るのであれば鎮咳(ちんがい)薬を、というように、症状に合わせて個別にくすりが処方されています。患者さんにとっては、症状に合った、的確なくすりを処方してもらうことができるわけです。

一方の一般用医薬品の場合は、第一に安全性が重視されています。お年寄りから子供まで、あるいは大柄(おおがら)な人から小柄(こがら)な人まで、どういう人が使用するかわからないので、安全であることが最優先されます。そのため、くすりの有効成分の含有量は、医療用医薬品に比べると少なめになっているものが多く、病気の初期や軽症の段階で使用するようつくられています。

また、患者さん自身や家族の方が病気の症状を判断する場合が多いので、一般用医薬品はあらかじめできるだけ多くの症状に対応できるようにつくられているものが多くなっています。

かぜの症状である熱・咳・たん・のどの痛み・くしゃみ・鼻水・頭痛・関節の痛みまでを網羅(もうら)した総合感冒薬(かんぼうやく)は、その典型です。

最近では、セルフ・ケアやセルフ・メディケーション、つまり自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てするという考え方から、医療用医薬品のうち十分に安全性と使用実績が確認されているものを、一般用医薬品に転用して販売されるようになりました。これを一般に「スイッチOTC」といいます。

一般用医薬品はリスクの程度に応じて第1類・第2類・第3類の3つのグループに分類されています。リスクが特に高い第1類の一般用医薬品(H2ブロッカー含有(がんゆう)薬、一部の毛髪用薬など)は、くすりを買おうとする人に対し、薬剤師が情報提供することが義務づけられています。

第2類(主なかぜ薬、解熱鎮(ちんつう)痛薬、胃腸鎮痛鎮けい薬など)と第3類(ビタミンB・C含有保健薬、主な整腸薬、消化薬など)の一般用医薬品は、薬剤師だけでなく、所定の試験に合格した登録販売者でも販売ができ、許可を受けた店舗をもっているスーパーやコンビニエンスストアでも販売されています。

図表・コラム

15|医療用医薬品と一般用医薬品の違い

MINIコラム 要指導医薬品

薬事法の改正により、2014年6月に施行が予定されている「医薬品・医療機器等法」(正式名称:「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」)では、要指導医薬品という新しい分類ができる予定です。他の一般用医薬品とは性質が異なる医療用医薬品からのスイッチ直後品目と劇薬を要指導医薬品として指定し、ネット販売を不可とする見込みです。

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