広報委員会
多田委員長インタビュー
専門性が高く、その全体像や社会への貢献が一般に伝わりにくい——。製薬産業は、そのような「分かりにくさ」という課題を抱えています。この壁を乗り越え、特に未来を担う若年層をはじめとする幅広いステークホルダーに業界への正しい理解を深めてもらうことが、広報委員会に課せられた重要な使命です。SNSでの発信強化から中高生向けの企画まで、未来の発展の種をまく多角的なコミュニケーション戦略について、広報委員会の多田毅委員長に伺いました。
産業への理解を広め深め「共創」を生み出す
若年層へも製薬産業の社会的意義を発信
若年層へのアプローチと情報発信の工夫で未来への種まきを
広報委員会の使命は、製薬協そして製薬産業が、どのような取り組みを通じて社会に貢献しているのかを、あらゆるステークホルダーの方々に正しく理解・認知していただくことです。
最大の課題は、専門用語が多く全体像が掴みづらい製薬産業のことを、いかに「分かりやすく伝えるか」という点に尽きます。特に、普段あまり医療に接する機会の少ない若年層に、この業界の社会的意義をどう伝えていくかは大きな挑戦です。
しかし、この課題を乗り越え、製薬産業を広く深く理解していただくことで、「この産業を応援しよう」「自分も何か貢献できるかもしれない」という意識が生まれると信じています。その意識こそが、将来の製薬産業を支える人材や、業界の活性化につながる土壌となるのです。
そのために、私たちはメディアとの関係を構築する「メディアリレーション部会」と、WebサイトやSNSを担う「オウンドメディア推進部会」の2つの体制で、戦略的な情報発信に取り組んでいます。
若年層への啓発の具体的な取り組みとして、小中学生向けには、科学技術館の体験型展示「くすりの部屋 - クスリウム」を今年リニューアルしました。中高生向けには、「イノベーティブな製薬業界」をテーマにしたコピーライティングコンテストを開催するという新たな取り組みを行います。大学生向けには、就活イベントで研究者の仕事の魅力を伝える動画を配信するなど、各世代に合わせたアプローチを展開しています。
もちろん、より幅広い層への情報発信も強化しています。公式X(旧Twitter)アカウントはフォロワーが5,000人を超え、会長自身の言葉で呟く「#宮柱のひとりごと」といった親しみやすいコンテンツも好評です。また、テキスト中心だったニューズレターを、より読みやすいコンテンツへとリニューアルする準備も進めています。
どのような情報であれ、私たちが発信する上で最も大切にしているのは「ファクトとエビデンス」です。サイエンスに関する情報を扱う以上、間違いのない確かな情報を、分かりやすい言葉で発信する。そして、地道に、誠実に、あらゆるチャネルを通じて伝え続ける基本姿勢を貫くことで、「製薬協からの情報は確かだ」という信頼を築いていきたいと考えています。
『共創』を生み出し、産業の未来を拓く
製薬協が掲げる『産業ビジョン2035』の実現には、Co-creation(共創)が欠かせません。私たち広報委員会にとっての共創とは、単なるコラボレーションに留まらず、国民の皆様やメディアの方々と「共に製薬産業の新しいイメージを作り上げていく」ことだと捉えています。
共創は、まず業界内から始まります。先日、製薬協の歴史で初めて、全委員会の委員長と部長が一堂に会するミーティングが実現しました。この対話を通じて、委員会同士が連携すれば、より大きな成果を生み出せるという確信と、新しいアイデアが数多く生まれました。私たち広報委員会も、各委員会の活動を分かりやすく社会に伝えるハブとなることで、この共創を促進していきます。
また、会長が主張するように、製薬産業が抱える課題を解決するには、国民の皆様の理解を得て、世論を醸成していく必要があります。私たちの役割は、政策の細部を伝えることではありません。製薬産業が何をしようとしているのか、それが国民の皆様の生活にどう関係するのかという本質を、易しい言葉で伝え、対話のきっかけを作ることです。
幸い、製薬産業を志す若者は今も多くいます。しかし、将来の少子化を考えれば、決して楽観はできません。だからこそ、私たちは小学生から大学生まで、幅広い世代に製薬産業の面白さや社会へのインパクトを伝え、興味を持ってくれる層を厚くしていく必要があります。
広報委員会には現在69名が参加しています。一人ひとりが当事者意識を持って積極的に活動に参加できるような風土を作り、製薬産業の未来を拓くコミュニケーションを、これからも力強く推進していきます。
【広報委員会 サイト】
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