コード・コンプライアンス
推進委員会
大内委員長インタビュー

コード・コンプライアンス推進委員会は、会員会社が関連法令および製薬協コード・オブ・プラクティス(COP)を遵守し、高い倫理観のもとで社会的責任を果たすことを使命として掲げています。2019年の「医療用医薬品の販売情報提供ガイドライン」以降、情報提供の担い手は多様化しています。同委員会は、プロモーションの定義見直しを含むCOPの浸透を課題とし、信頼の醸成・維持を基盤に「製薬協 産業ビジョン2035」の実現へ向けた取り組みを進めています。ここでは、同委員会の使命や課題、今後の取り組みについて大内香委員長に伺いました。

コンプライアンス推進により信頼性向上を図る
国内外情報のタイムリーな収集と発信

課題は「COPの浸透」と「コンプライアンス意識の強化」

私たちコード・コンプライアンス推進委員会の使命は、会員各社の行動が関連法令や「製薬協コード・オブ・プラクティス(COP)」といった自主基準に適合するよう、その管理・運営と周知を担うことです。国内外の規制や業界動向をタイムリーに把握し、必要な情報を速やかに共有する活動が、製薬産業に対する信頼の創出と維持を支え、ひいては患者さんの安全確保に直結すると信じています。

特に2019年の「医療用医薬品の販売情報提供ガイドライン」策定以降、情報提供活動の形態は大きく変化しています。従来の対面による情報提供に加え、ウェビナーやオンライン面談が普及し、担い手もMRからMSL、臨床開発担当者へと拡大しています。国際製薬団体連合会(IFPMA)コードの動向を踏まえ、製薬協はプロモーションに関わるすべての者を対象とする枠組みへと整理を進めました。従来の文言がMRに偏っていると受け取られがちだった点は、COPの改定により明確化されたと考えています。基本精神は変わらないものの、担い手の範囲が明示された意義は極めて大きいものです。

現時点で委員会が考える課題は、COPの浸透度です。理念は共有されていても、企業ごとに行動への落とし込みには差があり、結果としてコンプライアンス遵守の度合いにばらつきが生じている現状があります。研修や個別の対話を通じて、具体的な事例を示すなどしつつ、COPへの理解差を埋めていく取り組みが重要な課題です。

次に、プロモーション手法の変化による影響が考えられます。デバイスの違い自体がプロモーションの弱体化につながるわけではありません。しかし、新しい手法では思わぬ見落としが起きる可能性があります。こうした点でも、改定COPの浸透度を高める働きかけが不可欠です。

さらに、近年指摘される品質・コンプライアンス事案については、業界全体の信頼性に関わる重大な課題です。当委員会はこうした事象を隠さず開示し、迅速に是正する姿勢こそ健全性を支えると捉えています。予防的な取り組みを通じて、製薬協全体の信頼性を高め、維持しなければなりません。

予防重視の取り組みで築く製薬業界の信頼基盤

「製薬協 産業ビジョン2035」では、「倫理観と透明性を担保し、社会から信頼される産業となる」ことが第3の柱に掲げられています。当委員会はこのビジョン実現の中核を担う組織として、社会的信頼の醸成・維持に向けた具体的な取り組みの展開が急務です。

当面の最重要事項は改定したCOPの周知徹底が挙げられます。伝える側の認識によるものではなく、受け手である会員企業や医療関係者の理解に合わせたメッセージを伝えなければなりません。

また、例年、会員会社コード管理責任者・コード実務担当者を対象とした研修を実施しています。コンプライアンス関連では10月にコンプライアンス管理責任者・コンプライアンス実務担当者を対象としたカスハラ研修をおこなう予定です。研修に関しては、会員会社に対して必要と思われる研修について都度ヒアリングをおこなっています。

委員会活動を行っていくうえで、製薬会社の活動の実態把握と課題抽出も継続が必要です。会員会社への調査を通じて、現場における障害の要因を特定し、必要な情報を速やかに提供し支援を図ります。

さらに、「製薬協 産業ビジョン2035」が掲げる「健康・医療等の国民のリテラシー向上」への貢献として、外部連携と国際発信の強化にも取り組みます。IFPMA等の議論に積極的に参画し、IFPMAコード改定段階から日本の知見を反映するとともに、「日本における倫理的連携のためのコンセンサス・フレームワーク」参加団体の中心的役割を行う等の活動を実施しています。また、日本医師会等の関連団体との対話を深め、意見交換にも努めていきます。

委員会運営においては、多様な経歴を持つ人材が増加する中、新任者にも行動規範が等しく浸透するよう、教育と伴走支援の強化が不可欠です。

「火事を起こさない仕組み」の整備が最も確実で効率的なリスクマネジメントであり、患者さんの安心と社会的信頼の維持につながると考えます。こうした取り組みを通じて、製薬産業が真に「社会から信頼される産業」として認知される未来を目指して歩みを進めてまいります。

コード・コンプライアンス推進委員会の体制、活動は製薬協のホームページに掲載しています。是非サイトにアクセスしてみてください。

【コード・コンプライアンス推進委員会 サイト】
コード・コンプライアンス推進委員会 | 委員会からの情報発信 | 日本製薬工業協会

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