医薬品評価委員会

重点課題

薬機法改正によるイノベーション促進と患者アクセスの迅速化

先駆的医薬品指定制度、条件付き承認制度が薬機法に明文化・施行されたことにより、医薬品評価委員会の目標である迅速な患者アクセスの推進が期待される。これらの制度の積極的な利活用に向けて各社の検討が必要である一方、相談体制の充実や審査体制の強化を働きかける。また、特定用途医薬品として小児用医薬品の開発を促進させる仕組みも法制化された。小児科学会や厚生労働省(厚労省)との連携による開発促進策、あるいは医薬品医療機器総合機構(PMDA)が主導する成人治験への青少年の組み入れに加え、小児開発を推進させる活動を行う。

RWD/RWEの活用による医薬品開発の効率化

近年、日本においてもRWD/RWEの利活用推進が図られているものの、医薬品開発におけるRWDの活用は十分とはいえない。クリニカル・イノベーション・ネットワーク(CIN)を中心とした疾患レジストリの構築や利活用体制の整備は進んでいるが、実際に医薬品の開発にCINレジストリが活用された例はまだない。PMDAにおいてはレジストリ相談枠が設置され、レジストリに関するガイドラインも整備され始めているが、医薬品評価委員会として、引き続きRWD/RWE利活用についての具体的提言・要請を提出し、ガイドラインにも反映されるように務める必要がある。RWDは、治験前の実施可能性検討、想定患者数の調査、製販後調査等には利用されているが、RWDを対照とした単群治験の実施、条件付き早期承認後の条件の精査、適応外使用の症例を集積しての適応拡大など、より広範な利活用の推進について、引き続き提言する必要がある。

遺伝子情報を用いた新規医療への挑戦

ガン領域では、遺伝子パネル検査、C-CATなどから得られる遺伝子情報に基づき、適応を持たないがん種に対しても理論的な有効性が示唆される医薬品や治験薬を患者申し出療養制度あるいは特定臨床研究の枠組みで処方する試みが進められている。医薬品評価委員会では、このような試験で得られるエビデンスを効能追加のためのPOCとして捕らえ、適応拡大につなげる方策を検討するとともに、マスタープロトコールの積極的活用による開発効率の向上等に取り組む。
2019年度より、本邦でも遺伝子情報を用いた新規治療薬が承認・薬価収載され、また新型コロナウイルス感染症関連では、2021年度にかけて遺伝子情報をもとに開発された新型ワクチンの大規模な接種が始められようとしている。遺伝子情報を用いた新規医療の動向を把握しつつ、これら革新的な医療で用いられる新規モダリティの適正かつ効率的な開発手法について、医薬品評価委員会でも検討を進める必要がある。

臨床研究法下の臨床試験の活性化

臨床研究法の見直し議論が開始されることを念頭におくと、企業治験の精緻化だけに留まらず、臨床研究法下で実施する特定臨床研究の活用促進に関する発信は業界にとっても重要であり、国内の臨床試験実施を活性化するための一翼をも担う必要がある。そのためには、現在実施されている医師主導臨床研究および企業からの提案に基づく共同臨床研究、それぞれに関する資金提供・役務提供についての考え方を整理するとともに課題点については医療機関からも理解を得るよう務める。あわせて、医療機関側の臨床試験遂行能力が向上するような取り組みを進めるべきであり、引き続き厚生科学審議会臨床研究部会にも参画し、臨床研究中核病院の機能向上、臨床研究の活性化、利益相反確認等の手続きの効率化など、医薬品評価委員会からの提言の場として有効利用していく。

ICHにおける調和ガイドライン作成、普及、ならびに課題解決

ICHにて、各専門分野での調和課題について戦略的な議論が推進されている点を踏まえ、各部会における包括的なガイドライン調和の方向性についての検討を強化する。また、近隣諸国をはじめとする新規加盟国・地域におけるICH実施にかかる議論やトレーニング等を介して、グローバル化されたICHの地域拡大に伴うガイドラインの通知発出・適正実施の支援を継続する。国内においては、GCP刷新にともなうICH E8(R1)ならびにE6(R3)の実施を念頭に、臨床試験・臨床研究への対応を継続検討するとともに、患者団体やアカデミアをはじめとする各ステークホルダーとの連携を強化し、Patient CentricityやEarly Engagementに基づいた活動を推進する。さらに、ICHガイドラインと国内現行規制との間に存在する課題の解決へ向けて取り組むとともに、2019年11月以降、国内でStep5に移行したガイドラインがない状況を踏まえ、E9(R1)、S5(R3)、S11の国内通知発出を促す。

アジア地域での臨床試験の活性化

東南アジア地域にて治験実施能力が高まることは、国際開発のさらなる効率化、患者リクルートの確保、患者アクセスの向上など、数多の効果が期待できる。厚労省が主導する治験環境整備に業界からも積極的に支援し、整備された環境を利用することで官民一体となった活動を展開する。

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