医薬品評価委員会
実施計画の概要
1. 2025年度の振り返りと2026年度実施計画の背景
2025年度活動
2025年度の医薬品評価委員会は、「革新的技術・方法や政策提言を通じて世の中をより良く変える集団になる」という委員会ビジョンのもと、活動の基本的考え方として掲げた「政策提言への重点化」、「活動の効率化」、「他委員会・外部ステークホルダーとの連携強化」を軸に、10の重点活動テーマに沿って活動を展開した。
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治験・臨床研究エコシステム確立の推進
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ICH-GL臨床研究/薬機法改正の規制対応
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DCTを含むDX・AI活用
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RWD/RWE活用
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ファーマコビジランスの最適化
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適合性調査の最適化
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ニューモダリティの取り組み
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アジア地域の環境整備と活性化
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患者市民参画(PPI/E: Patient and Public Involvement Engagement)活動
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国内情報の海外発信(成果物の英語化、公表目的なども整理)
特に2025年度は、ICH E6(R3)をはじめとするGCP Renovationの国内実装が現実的なフェーズに入り、日本における治験・臨床研究環境の抜本的な改善が推進される重要な年であったため、1)治験・臨床研究エコシステム確立の推進および2)ICH-GL臨床研究/薬機法改正の規制対応を最重要テーマと位置づけ、産官学が協働する枠組みの構築と具体的な制度改善に向けた推進活動を重点的に行った。治験・臨床研究エコシステムに関しては、PMDA、厚生労働省、アカデミア、業界他団体等と連携し、治験エコシステム推進事業等への参画を通じて、日本固有の非効率な治験慣行の是正、シングルIRB導入、治験関連書式の標準化、Fair Market Value(FMV)導入に向けた検討など、世界水準を意識した具体的な改善提案に取り組んだ。
また、ICH E6(R3)の理解と普及を目的に、行政・アカデミアと協力しながら講演、学会・研修会等での情報発信を行い、治験のみならず臨床試験全体を視野に入れた啓発活動を推進した。
DX・AI活用に関しては、DCT(分散型臨床試験)やeSource、R-SDV等を中心に、医療機関・関係団体との対話を通じて課題整理と解決策の検討を進めた。特に、国立大学病院臨床研究推進会議DXタスクとの合同協議や、SaMDに関する制度改善WGへの参画を通じ、業界としての立場から意見具申を行った。
RWD/RWE活用については、次世代医療基盤法をはじめとする制度動向を踏まえ、規制要件の整理、製薬企業における活用課題の可視化、国内外事例の情報発信を行った。また、動画や冊子の作成、メディア向け勉強会の開催等を通じて、医療情報二次利用に対する社会的理解の醸成にも取り組んだ。
ファーマコビジランス分野では、薬機法改正を見据えたRMP制度や安全性監視の在り方について、日薬連や規制当局と密に連携しながら制度設計議論に参画した。通常の安全性監視活動に関する指針の発信や、患者・医療従事者とのコミュニケーションの在り方に関する検討を通じ、実効性と信頼性の高い安全対策の推進に寄与した。
適合性調査の最適化では、PMDAとの情報共有・意見交換を通じて、リスクベースドアプローチを踏まえた適合性調査の効率化に取り組んだ。新薬・再審査・非臨床の各調査WGにおいて、調査運用や説明資料の改善、国際整合性向上に向けた検討を進めた。
ニューモダリティの取り組みでは、再生医療等製品について、バイオ医薬品委員会と連携し、RMP導入に関する整理や臨床開発に関する参考情報の発信を行った。
アジアにおいては、国際委員会アジア部会と協働し、関係機関との会合やシンポジウムを通じて、アジア地域における臨床研究・治験環境の課題整理とネットワーク構築を進めた。またATLAS、ARISEのアジア臨床試験ネットワークの説明会を実施し、会員企業への情報共有と参画促進を図った。
患者市民参画(PPI/E)活動では、治験情報提供の規制緩和やjRCTの改修に向け、患者団体や医療関係者と共に課題提起と提言を行った。これらの活動は、患者視点を医薬品開発や情報提供に反映させる具体的な一歩となり、会員企業への啓発に向けて一定の成果を上げた。
国内情報の海外発信については、ドラッグラグ・ドラッグロス問題を中心に、日本の規制改革や創薬環境改善の取り組みをDIA含む国際学会等で発信した。海外向け情報発信基盤の整備に向けた検討を進め、今後の継続的かつ戦略的な国際発信に向けた足がかりを築いた。
医薬品評価委員会 体制変更
2025年度は通常の活動に加え、2026年に向けた医薬品評価委員会の体制変更についても検討した。
検討の背景:医薬品評価委員会を取り巻く環境は、規制の高度化やデジタル技術の進展などにより急速に変化しており、これまで以上に迅速かつ柔軟な対応が求められていた。一方で、現行体制は6つの部会で90近いTFsがあり、活動/リソースの重複やサイロ化が生じやすく、委員会として注力すべき重要課題に十分集中できない状況が見られた。また、専門人材は存在するものの、その知見を継続的に育成・横断的に活用する仕組みが十分とは言えなかった。こうした課題を踏まえ、医薬品評価委員会がフォーカスすべきテーマに集中し、成果を継続的に創出できる体制と仕組みを、委員会自ら再構築する必要があるとの認識に至った。
体制変更の提案:従来の専門部会を発展的に解消し、委員会直下で成果創出を担う「タスクフォース(TF)」と、課題探索・人材育成・情報共有等を担う「専門チーム(ET)」に再編する。TFは目的・ゴール・期限・予算・リソースを明確にした重要課題に限定して設置し、委員会役員が直接関与することで迅速な意思決定と実行力を高める。一方、専門チームは4つの専門ユニットに整理し、専門性の蓄積や横断的な議論を通じて、将来の課題創出や新規TF提案の基盤となる役割を担う。
あわせて、文書管理や進捗管理などの運営機能を担う事務局、企画推進チームを強化し、ルールの簡素化と情報共有の徹底も進めることで、活動の透明性と生産性を高める。これにより、変化の激しい環境下においても、委員会として一体感を持ち、継続的に価値ある成果を生み出せる体制を目指す。
他方、製薬協において2025年7月に製薬協基盤強化の取り組みとして製薬協強化プロジェクトが発足し、2026年度中に一般社団法人の立ち上げが検討されている。2026年度には、この製薬協の基盤強化の取り組みも含めて医薬品評価委員会の体制変更を継続して検討する。
2. 医薬品評価委員会ビジョンと2026年度活動の基本的考え方
医薬品評価委員会のビジョンは、日本の医薬品開発環境を国際的に遜色のない水準に引き上げ、産官学が協働して革新的な創薬・臨床研究体制を構築することである。
2026年度は、新体制を早期に定着させ、委員会全体が同じ方向性を共有しながら、効率的かつ専門性の高い活動を推進することを基本方針とする。特に新たに立ち上げた専門チームは、それぞれの専門性を生かした議論の場とし、業界での知識の蓄積・ネットワーク構築、専門人材育成に貢献し、また各個社から収集した意見・要望を検討する仕組みとして機能させる。
2026年度活動は、製薬協2035産業ビジョン、政策提言2025、医薬品評価委員会ビジョン、ミッションに基づき、医薬品評価委員会が成すべき活動テーマ(TFs)にFocusする。
3. 活動方針と重点項目
2026年度は、委員会の活動テーマを5つの重点領域に整理し、各領域の課題に集中的に取り組む。
1)産官学が連携した臨床試験実施環境の改善(Co-Creation)
国内で効率的かつ質の高い臨床試験を実施できる環境の整備を目的に、GCP改正への対応、治験手続き書式の標準化、シングルIRBやFMVの実装、医療データ連携やAI活用などについて、産官学が連携して課題解決を推進する。
2)患者市民参画(PPI/E)活動 (Co-Creation)
治験・臨床研究・副作用情報を患者・市民に分かりやすく届けるとともに、患者の意見や経験を医薬品開発やエビデンス創出に反映する仕組みを構築し、会員企業におけるPPI/E活動の普及と高度化を図る。
3)医療DX活動:医療情報の利活用の推進と医療DX関連法(日本版EHDS)の制定
医療情報の二次利用促進や日本版EHDSに関する法制度整備に向け、政策提言や行政検討会へのインプットを行うとともに、RWD活用事例の共有やデータ基盤整備を通じて、医療DXの社会実装を後押しする。
4)非臨床:最新のテクノロジーに基づく非臨床評価の最適化
最新のDX技術や代替法を活用した非臨床評価手法の高度化を進め、動物使用数削減や信頼性保証(GLP等)の見直し、革新的医薬品に対応した非臨床評価の提言を行い、科学的かつ効率的な評価体系の構築を目指す。
5)医薬品安全性監視(Pharmacovigilance)の最適化および適正な医療情報の伝達
開発から市販後に至る医薬品安全性監視の効率化・高度化を図り、副作用報告やシグナル管理、RMP制度の実装・活用を推進するとともに、DXも活用しながら患者・医療従事者への適正な医療情報提供を強化する。
4. 運営方針(運営委員会、タスクフォース、専門ユニット/専門チーム等)
全運営委員がより深く積極的に委員会活動に参画することを運営方針の基本とする。議論・提言すべき事項を常に意識し、委員会内のタスクフォース、専門チームの役割や意向を尊重したうえで、定期的に開催する運営委員会の場で検討していく。その活動にあたっては、いつでも「世の中をより良く変えるアウトプットになっているか」を意識する。それにより、製薬企業活動に関する国民の理解の促進、ヘルスリテラシー向上にもつなげていく。また、製薬協内の他の委員会との連携を進めるとともに、対外的には行政当局を始め医薬品評価委員会に関連するフォーラム、学会、ICH等の活動にも協力し、レギュラトリーサイエンスを推進、発展させる。
2026年度より医薬品評価委員会では全タスクフォースを10のタスクフォースグループに分けて、それぞれ委員会の役員が直接担当する。各タスクフォースは関連する他のタスクフォース、専門チーム、他委員会や外部機関とも連携し、定められた目標に向けて活動する。
タスクフォース
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TF Group 1(非臨床)
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TF Group 2(臨床)
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TF Group 3(Pharmacovigilance & Communication:PV/C)
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TF Group 4(Data & Digital Innovation:D/DI)
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TF Group 5(GCP renovation)
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TF Group 6(医療情報データベース活用促進)
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TF Group 7(審査WG/調査WG)
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TF Group 8(日薬連WT)
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TF Group 9(Patient and Public Involvement & Engagement:PPI/E)
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TF Group 10(委員会運営)
専門チーム
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専門Unit 1(非臨床)
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専門Unit 2(臨床)
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専門Unit 3(Pharmacovigilance & Communication:PV/C)
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専門Unit 4(Data & Digital Innovation:D/DI)
