「くすりビジョナリー会議2025」への参画
ステークホルダーの輪を広げ、Co-creation(共創)に向けた議論を実施
2025年10月16日
日本製薬工業協会
日本製薬工業協会(以下、製薬協)は、2025年9月17日に開催された「くすりビジョナリー会議2025(以下、本会議)」に参画しましたので、お知らせします。
本会議は、医療やくすりに関する社会課題の解決を目的に、多様な立場の関係者が対話と協働を進める場として、一般社団法人全国がん患者団体連合会の発案により2024年に初めて開催されました。今年で2回目となる今回は、患者団体、医療機関、行政など9つの団体・組織に所属する11名が参加し、「情報提供のあり方(特に臨床試験情報)」および「医薬品研究開発への患者参画」をテーマに、昨年の議論を発展させながら活発な意見交換が行われました。
議論内容の抜粋
- 「jRCT」(臨床研究等提出・公開システム)の改修が進められ、治験情報へのアクセス改善が期待されるが、将来的には患者に合った治験情報の提供やAI検索機能などが求められている。
- 難病領域では「難病治験ウェブ」が公開されたが、認知度向上と検索機能の改善が課題である。
- 臨床試験情報へのアクセス改善に向け、jRCTに登録された治験情報の広告該当性について議論されている。
- 医薬品研究開発における患者参画の取り組みが広がりつつあり、正しく解りやすい情報発信やリテラシー向上とともに、社会全体で理解と支援を深めることが求められている。
- 医学・看護教育においても、くすりの開発や患者参画の重要性を学ぶ仕組みづくりが必要である。
会の最後には、昨年の共同メッセージを発展させ、「主体の明確化」と「社会への発信力の強化」の重要性を新たに盛り込み、参加者全員の賛同のもとで以下の共同メッセージが完成しました。

本会議では、立場の異なるステークホルダーが率直な意見を交わし、共創の可能性を実感する場となりました。製薬協では引き続き、患者さんやそのご家族が必要とする医薬品・治療等に関わる課題解決と、より暮らしやすい社会の実現を目指した取り組みを進めてまいります。
以下、実施後に参加者から寄せられたコメントをご紹介します。
参加者からのコメント
-
天野慎介氏 (一般社団法人 全国がん患者団体連合会 理事長)
臨床試験に関する情報提供については、臨床研究法の改正に伴う国会審議でも情報提供を進めることが確認されて大きく変わろうとしており、今こそこの会議のように患者や医療者、企業や行政が協働する必要があります。
-
安中健氏(厚生労働省 医政局医薬産業振興・医療情報企画課 課長)
患者参加の第一歩は、ニーズや悩みを誰かに伝えることから始まります。多くの方に加わっていただけるよう、「患者参加」といっても難しく考える必要はないですよということを、皆さんに発信していきたいと思います。
-
大黒宏司氏(一般社団法人 日本難病・疾病団体協議会 代表理事)
医療やくすりに関わる課題は山積していますが、皆さまとの率直な対話の中に未来の可能性が見えてきました。今後は、課題解決に向けて具体的な取り組みを継続して行っていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
-
大薗恵一氏(医誠会国際総合病院 難病医療推進センター センター長)
くすりの開発に関し、当事者(患者およびその家族)、医療関係者、製薬企業、規制当局などいろいろな立場の人が、お互いの立場を尊重しながら推進していくために、このような会議の果たす役割は大きいと感じました。
-
柏木明子氏(有機酸・脂肪酸代謝異常症の患者家族会ひだまりたんぽぽ 代表)
臨床試験情報へのアクセスやPPIの進展を感じる一方、患者間や国民全体への創薬・臨床試験情報の格差といった課題も示されました。患者会の立場から、同病の仲間のみならず一般の方へも有用な情報をわかりやすく届けられるよう、学び続けなければと思いました。
-
桜井なおみ氏(一般社団法人 全国がん患者団体連合会 副理事長)
デジタル技術の進展もあり、これから情報の流れは大きく変わっていきます。臨床試験情報も、望めば個別に届くプッシュ型になることで、私たちの医療環境がどう変わるのかという「ビジョン」を発信していく必要性を改めて感じました。
-
佐藤大作氏(厚生労働省 大臣官房審議官(医薬担当))
直接話をしてみて実感としてわかることも多かったです。想像しているだけでなく、対面での対話の機会はとても大事だと感じます。できない理由を考えるのではなく、何ができるかを一緒に考えよう、という気持ちにさせてくれます。
-
中村健一氏(国立がん研究センター中央病院 国際開発部門 部門長)
様々なステークホルダーの皆さんと本音でディスカッションでき、とても有意義な時間でした。より良い医薬品を生み出したいという願いは共通だと思いますので、同じゴールを目指す仲間として様々な場面での共創ができればと思います。
-
西村由希子氏(特定非営利活動法人 ASrid 理事長)(司会進行)
「対話すること」により、立場が違う方の考えが理解できるようになり、「続けること」により、さらに醸成された議論が展開される、というサイクルを感じた会議でした。有益なアクションに結びつけるべく、今後も率直な対話を続けていければと思います。
-
藤原康弘氏 (独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA) 理事長)
誰もが健やかに生きる世界の実現に向け、各ステークホルダーが自分ごととしてそれぞれの役割を果たすことが大事です。PMDAは、明日のあたりまえのため、今後も皆さまと協働し、患者・市民参画の推進に取り組んでまいります。
-
宮柱明日香氏(日本製薬工業協会 会長)
今回も多様なステークホルダーの皆さまと課題解決に向けた対話を重ね、視野を広げる貴重な機会を得られたことを嬉しく思います。PPIが当たり前に実現される社会に向けて「発信力」を高め、これからも皆さまと共創を続けてまいります。
以上
お問い合わせ先
日本製薬工業協会 広報部
- 電話
- 03-3241-0374