トピックス 「2024年 世界NTDの日 第一回顧みられない熱帯病学生コンテストおよびオンラインイベント」を開催

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毎年1月30日は世界保健機関(WHO)が定めた「世界NTDの日」、顧みられない熱帯病(Neglected Tropical Diseases、NTDs)について考え、世界がつながる日です。製薬協は2024年世界NTDの日に協賛し、製薬協国際委員会NTDサブグループが「世界NTDの日・日本実行委員会」の一員として、2023年10月の企画段階から参画しました。本イベントは、世界NTDの日に向けて日本国内の関係者が連携をしながら、学生のアイデアを形にして、若い世代にNTDs制圧の重要性を訴えていく初めての挑戦でした。このイベントを通じて、NTDsについて理解や関心を高め、製薬企業のさまざまな取り組みを知るきっかけの一助となれば幸いです。

ウェビナーの様子 ウェビナーの様子

顧みられない熱帯病(Neglected Tropical Diseases、NTDs)について

NTDsは、熱帯・亜熱帯の地域を中心にまん延している寄生虫や細菌による21の熱帯感染症を中心とした貧困と密接に関連する疾患群の総称です。これまで先進国から主要な疾患と考えられてこなかったことから、「顧みられない熱帯病」と呼ばれています。世界の5人に1人、すなわち16億人以上の人々に影響を与えています。

NTDの日 第一回顧みられない熱帯病学生コンテスト

「第一回顧みられない熱帯病学生コンテスト」は、NTDsを3分以内の動画でわかりやすく伝えるA部門、NTDsの課題や私たちができることを合計1300字以内で提案するB部門を設定し、中学生から大学院生までを対象として、自由に作品を応募してもらうもので、学生ならではのユニークなアイデアが表現されました。初めての試みに製薬協も協賛し、日本製薬工業協会賞の選定基準を表す「いっしょに届けたい、くすりと想い」というメッセージに従い、NTDサブグループメンバーで協議しながら魅力的な応募作品の中から1作品を選定しました。

学生コンテスト最終審査(2024年1月27日)

35チーム(79名)の応募から1次選考を通過したA部門5作品、B部門6作品について現地とオンラインの併用で応募者から発表してもらい、最終選考を行いました。学生からの発表はYouTubeを活用して視聴者を引きつける工夫が秀逸なものから、手話を取り入れた発表や途上国の現地訪問の経験を活かした研究等、多岐にわたりました。

日本製薬工業協会賞に選出されたのは東京学芸大学附属国際中等教育学校の中学生による応募作品でした。2人の発表から、日本の高い医療技術で途上国の人材を育成し、保健・衛生や教育等の社会基盤の整備を支援するだけでなく、将来的には途上国のオーナーシップや友好な関係構築にもつながっていく可能性を感じました。

世界NTDの日オンラインイベント(2024年1月30日)

2024年1月30日のイベントは、NTDの日に際しての日本の関係者からのメッセージ、「第一回顧みられない熱帯病学生コンテスト」の授賞式、NTDs専門家からわかりやすくNTDsを学ぶ質問セッションの3部構成で、イベントが執り行われました。

2024年世界NTDの日ウェビナー動画はこちらからご覧ください。
JAGNTDウェブサイト https://jagntd.org/wntdd2024

製薬協の上野裕明会長によるメッセージ動画 製薬協の上野裕明会長によるメッセージ動画

若い世代が作るイベントに製薬協の上野裕明会長も共感し、イベントの冒頭に動画にてメッセージを発信しました。上野会長は、製薬企業としてNTDsへの取り組みを行う意義、その課題、また、国の基幹産業として将来の製薬産業を担う学生へのエール等を交えて、製薬企業のNTDsへの貢献を述べました。

上野会長の動画はこちらからご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=IK6j_eLq4Jc

学生コンテスト表彰式

最優秀賞(A・B部門)、U-18特別賞(A・B部門)、日本製薬工業協会賞、GHIT賞が発表され、受賞者からそれぞれコメントがありました。

日本製薬工業協会賞は、東京学芸大学附属国際中等教育学校3年生の、廣野慧香さん、宮嵜彩歌さんに贈られました。製薬協から審査員を務めたNTDサブグループの藤井泉委員からは、「日本の高い医療技術を活用した提案で、多くの可能性を感じるとともに、丁寧に調べ堂々と発表いただいたことに敬意を表する」との評価結果が伝えられました。受賞者を代表し、廣野さんからは「このコンテストに向けて調査をする中で、NTDsの中のデング熱という病気を知り、海外に住んでいたときにデング熱の恐ろしさがとても身近だったことを思い出した。そのころはなにもできなかったが、今回、自分たちで考えたことを発信したので、少しは貢献できたと思う。友人と一緒に作業していてとても楽しかった」というコメントがありました。

日本製薬工業協会賞受賞者の2人 日本製薬工業協会賞受賞者の2人

教えて! 國井先生

公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金CEOの國井修氏をモデレーターにNTDsを学ぶセッションでは、“製薬企業の取り組み”の質問に製薬協NTDサブグループの飛弾隆之委員が答えました。NTDsを制圧するために、世界の製薬企業が医薬品を無償提供していること、しかし、製薬企業は薬を工場から出荷しておしまいというわけではなく、薬を必要としている人々が住む低所得国の遠隔地にも薬を届け、対象となる人々に疾患啓発と薬を服用してもらう意義を理解してもらうため、現地の医療スタッフへの教育等も含め、世界中の多くのパートナーと協働しながら責任を果たしていることを、現地の様子等を交えながら説明しました。

最後に

世界NTDの日に向けて日本国内の関係者が連携をしながら、学生のアイデアを形にして、若い世代にNTDs制圧の重要性を訴えていく初めての挑戦は、成功裏に終わりました。通常、製薬協から学生世代への直接のアプローチは少ないですが、今回のLINEを使った学生コンテストの説明や応募等といった学生へのアプローチ法は、今後の感染症対策に関する若い世代への働きかけにも参考になります。製薬協へのご支援に感謝します。

今回のイベントについて、製薬協ウェブサイトでも概要を紹介しています。
https://www.jpma.or.jp/globalhealth/event/ntd_event.html

(国際委員会 グローバルヘルス部会 NTDサブグループ 飛弾 隆之藤井 泉

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