トピックス 「欧州製薬団体連合会(EFPIA)との定期会合」を開催

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製薬協国際委員会の欧米部会では、欧米の政府・製薬団体と協調し国際的課題の解決を図る活動の一環として、欧州製薬団体連合会(EFPIA)、英国製薬工業協会(ABPI)、フランス製薬工業協会(LEEM)、ドイツ研究開発型製薬工業協会(vfa)との定期会合を毎年実施しております。今般、EFPIAとの定期会合が2022年5月31日にオンライン形式で開催されました。EFPIAとは年2回の定期会合を開催しており、2022年度1回目の開催となりました。当日は、双方合わせて30名近く参加し、活発な意見交換が行われました。会合の概要を以下の通り報告いたします。

会場の様子

Opening Remarks

製薬協 国際委員会 伊藤 達哉 委員長
Executive Director, International Affairs, EFPIA Koen Berden 氏                                 

冒頭に、製薬協国際委員会の伊藤達哉委員長とEFPIAのInternational AffairsのExecutive DirectorであるKoen Berden氏の挨拶がありました。伊藤委員長はロシアのウクライナ侵攻に触れて憂慮を示しつつも、多くの国で生活が「新型コロナウイルスとの戦争」から元の状態に戻りつつある現状に触れ、米国の第2代大統領ジョン・アダムズの「危機こそが実はチャンスである」という言葉を引用しながら、医薬品業界が直面する課題は機会に変えられるとしてEFPIAと製薬協のさらなる協力を呼びかけました。

続いてBerden氏からは、ウクライナ侵攻の影響の大きさに触れながら、ほかにも課題が山積する中、EFPIAと製薬協の対話と協力が継続されていることに謝意が示されました。また、EU(欧州連合)のPharmaceutical Strategyが改訂されている今、議論が行われることは非常にタイムリーだと述べ、次回は対面で開催したいとの抱負が語られました。

EU Pharmaceutical Strategy

EFPIA Alexandra Tamas 氏                                                   

このセッションでは、EU Pharmaceutical Strategyに関して、製薬業界への影響が大きいと見込まれる2つのイニシアチブ「一般薬事法改正」と「オーファン・小児医薬品規制改正」に注目し、それらの主な内容について説明がありました。これらは、ともに2022年末までの採択が予定されています。

また、これらの法改正およびPharmaceutical Strategy全体の目的の一つであるEUにおける医薬品アクセスの改善に関して、EFPIAとしての提案が共有されました。

WTO TRIPS waiver

製薬協 藤井 光夫 知的財産部長
EFPIA Koen Berden 氏                                                     

今回の定期会合は、第12回WTO(世界貿易機関)閣僚会議の直前のタイミングで行われました。そこで、このセッションでは、製薬協、EFPIA双方の重要課題として、WTO TRIPS Waiver(知的財産保護義務免除)に関してステークホルダーとどのように対話を行っているかを共有し、ワクチンや治療薬の公平なアクセスのための真に重要な課題に目を向けることの重要性について認識をともにしました。

その後、WTO閣僚会議では新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンに関してTRIPS Waiverが合意され、製薬協、EFPIAはともに声明を発表しています※1。

Activities for Honebuto and Pricing Issues in Japanese Market

製薬協 産業政策委員会 総合政策部会 アドボカシーグループ 高月 邦明 リーダー
製薬協 産業政策委員会 産業振興部会 草開 義隆 部会長
EFPIA Japan Leon Ochiai 氏                                                   

このセッションでは、製薬協側から、アドボカシーグループの活動と役割、「骨太の方針」に関する活動、2022年度薬価制度改革の概要について紹介があり、EFPIA Japanから、EFPIA Japanの活動領域と製薬3団体(EFPIA Japan、米国研究製薬工業協会(PhRMA)、製薬協)による「骨太の方針」と成長戦略への共同提案について紹介がありました。

ディスカッションでは、創薬イノベーションに対する日本政府の考え方や、イノベーションの実現に必要な要素、医療データの取り扱い、創薬エコシステムの構築とバイオベンチャーの育成について意見交換が行われ、製薬業界としての課題の共有と今後の連携について確認しました。

Discussion

製薬協 国際委員会 欧米部会 欧州グループ 八尋 勇治 リーダー
同 清永 文子 リーダー                                                       

このセッションでは、2021年の会合での協議に基づき、EFPIAと製薬協でアドボカシー活動における両者の協力について意見交換を実施しました。

EFPIAからは、2022年5月に日EU定期首脳協議(Japan-EU Summit)において発表された「日EUデジタルパートナーシップ」に関連した製薬業界からの貢献の可不可や、COVID-19やウクライナ情勢を踏まえたサプライチェーンの強化等について、両者で協議を開始するアイデア等が共有されました。製薬協からは、EFPIAからの提案に対し、今後、優先順位や具体的な進め方を、秋の次期会合に向けて両者で協議していくことを述べ、継続した取り組みを実施することを両者で確認しました。

終わりに

製薬協国際委員会の村上伸夫副委員長は、当日のディスカッションテーマであったEU Pharmaceutical Strategy、TRIPS Waiver、日本の骨太方針について、いずれも重要な問題であり、より良い世界を築くために、そして患者さんに対してイノベーションの提供を継続していくためにも、われわれはお互いにもっと協力し合う必要があると強調しました。さらに、今後、製薬協、EFPIA双方のコラボレーションの重要性がさらに増し、よりいっそう建設的で、実りの多いものになると信じており、今秋にはブリュッセルにて対面でディスカッションできる機会があることを大変楽しみにしている、と述べました。

また、EFPIAのKoen Berden氏は、われわれは困難な時代の中で生きており、これほどまでに問題が同時に大きくなったり、数が増えたりしたことはなかったと思うが、タイムリーにそれらにかかわるディスカッションができて大変感謝しており、EFPIAと製薬協の素晴らしいコラボレーションが今後も続くことを願っている、と締めくくりました。

オンライン会合の様子 オンライン会合の様子


(国際委員会 欧米部会 欧州グループ リーダー 八尋 勇治清永 文子

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