企業が目指す医薬品候補物質の科学的・実務的要件
 ~Target Product Profile(TPP)の記載について~

アカデミアと企業間の相互理解促進のため、企業におけるTPPの具体的な内容や考え方を公開しています。

企業が目指す医薬品候補物質の科学的・実務的要件

TPPモデルフォーマット

医学の進歩は常に、基礎研究の発見から始まります。しかし、素晴らしい発見が患者さんの治療に届くまでには、長く複雑な道のりが必要です。この過程で、医薬品開発では一般的にTPP(Target Product Profile)という考え方が活用されており、目指すべき製品像を明確化する指針となっています。

TPPは医薬品研究開発において非常に重要なツールです。これにより解決すべき課題が明確になり、効果的なリスク管理が可能となり、開発継続の判断(Go/No Go)をデータに基づいて客観的に行えます。また、研究開発の進行に伴い、TPPを継続的に更新・精緻化(ブラッシュアップ)することで、目指すべき製品像がより明確かつ具体的になっていきます。

医薬品候補物質に求める要件について、アカデミアと企業の間には相互理解が十分でない部分があり、これが優れた基礎研究成果の実用化を妨げる一因となっています。企業では様々な分野の専門家チームがTPPを用いて研究開発目標を共有していますが、これまでTPPの具体的な内容や考え方が広く共有される機会は限られていました。「創薬」においては、このような開発ツールの相互理解が極めて重要です。

ここに示す資料は、製薬企業が医薬品の研究開発において実際に活用しているTPPの概要(各企業によってアレンジはあります)です。これが産学の共通言語として活用され、皆様の研究成果を「興味深い発見」から「患者に届く医薬品」へと橋渡しする一助となれば幸いです。患者さんの未来のため、次世代の革新的医薬品創出に向けて、共に歩んでいきましょう。

本資料では、製薬企業が作成する一般的なTPPの概要を示していますが、各企業でTPPでの目標レベルの設定には差があるため、目標レベルの協議・合意形成は不可欠です。
FDAなどもTPP作成に関するドラフトガイダンスを提示しておりますが、本資料は企業が医薬品の研究開発に必要な情報を纏めているため、内容が若干異なっていますので、ご注意ください。
また、本資料では、低分子医薬品や抗体医薬品等の「医薬品」を対象としており、遺伝子治療、細胞・再生医療などの再生医療等製品やワクチンは対象としていません。

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