「第三回顧みられない熱帯病コンテスト」開催される

毎年1月30日は世界保健機関(WHO)が定めた「世界NTDの日」です。この日は、顧みられない熱帯病(Neglected Tropical Diseases、NTDs)について考え、世界がつながる日です。製薬協は2026年世界NTDの日に協賛し、国際委員会グローバルヘルス部会NTDサブグループが「世界NTDの日・日本実行委員会」の一員として、「世界NTDの日」のイベントの一つである「第三回顧みられない熱帯病コンテスト」に参画しました。このコンテストは、ユース世代にNTDsについて広く理解や関心を高めてもらうことを通して、NTDsを自分ごととして捉え、私たちにできることを考えることが目的です。このコンテストを通じて、NTDs制圧の重要性を理解し、製薬企業のさまざまな取り組みを知るきっかけの一助となれば幸いです。

顧みられない熱帯病(Neglected Tropical Diseases、NTDs)について

NTDsは、熱帯・亜熱帯の地域を中心にまん延している寄生虫や細菌による21の熱帯感染症を中心とした貧困と密接に関連する疾患群の総称です。これまで先進国から主要な疾患と考えられてこなかったことから、「顧みられない熱帯病」と呼ばれています。世界の5人に1人、すなわち14億人以上 の人々に影響を与えています。

第三回顧みられない熱帯病コンテスト

「第三回顧みられない熱帯病コンテスト」では、A部門「わかりやすく伝える部門 〜NTDsって知っている?〜」とB部門「NTDsのために行動する人を増やす部門 〜NTDsを制圧するために〜」の2部門が設けられ、高校生から大学院生までが自由に作品を応募しました。学生たちの柔軟性に富んでフレッシュなアイデアが多く表現されました。NTDサブグループは、選定基準を表す「いっしょに届けたい、くすりと想い」というメッセージに基づき、応募作品の中から1作品を日本製薬工業協会賞として選定しました。

コンテスト最終審査(2026年1月10日)

A部門には16作品、B部門には21作品の応募があり、「世界NTDの日・日本実行委員会」参加団体が一次審査を行いました。一次審査を通過したA部門6作品、B部門6作品については、現地あるいはオンラインでの発表と審査員との質疑応答を経て、最終審査が行われました。A部門では、21種類のNTDsを知る、広める、そして行動することについてまとめた3分間のショートビデオが集まり、コンテストでは応募したきっかけ、ショートビデオで伝えたい思いが紹介され、「顧みられない」熱帯感染症に取り組まなければならないという気持ちが伝わるものばかりでした。また、B部門では、日本でも発生・拡大しうるデング熱を題材にしてNTDsへの理解と行動を促す発表や、ワクチンや薬物治療だけでなく、生活環境の整備や差別・偏見をなくす取り組みなどの包括的アプローチの中で一人ひとりができることを提案する発表など、知る・理解することから行動するという難しいフェーズに切り込む作品が揃いました。

世界NTDの日オンラインイベント(2026年1月30日)

本イベントは、日本の関係者からのビデオメッセージ、第三回顧みられない熱帯病コンテストの表彰式、「次世代NTD 〜 AIとテクノロジーがもたらす変革」をテーマとしてプレゼンテーションおよびパネルディスカッションの3部構成で開催されました。

第三回顧みられない熱帯病コンテストの表彰式

最優秀賞(A・B部門)、U-18特別賞(A・B部門)、日本製薬工業協会賞、GHITパートナーシップ&イノベーション賞 が表彰され、受賞者からそれぞれコメントをいただきました。

日本製薬工業協会賞は、チーム名BIGMA(ビグマ)の「『「無知」で止まるな。「知る」へ進め。』-最初のドミノになることを願って-」に贈られました。この作品では、人間の行動変容プロセスに従い、無知による警告、「他人事」フィルターの指摘、そして動機喚起によって「知る・広める・支える」という具体的なアクションを提案しています。このポスターを見たひとりでも多くの方が実際にアクションを取っていただけると期待しています。

受賞者コメント

「この度は日本製薬工業協会賞をいただき、大変光栄です。ヘルスコミュニケーションの研究を通じて、無関心層にも健康情報を届け、行動変容につなげることを目指しています。本作品では行動科学・認知科学などの理論を活用し、社会に存在する『他人事』のフィルターを取り払って、人と医療をつなぐコミュニケーションや環境をデザインすることを提案しました。今回の受賞を励みに、研究成果の社会実装につながるアクションへ発展させていきます。ありがとうございました。」

表彰に際し、審査員を務めたNTDサブグループの神道美和委員は、 応募作品はいずれも質が高く、有意義な審査であったと述べたうえで、受賞作品は行動科学に基づく設計が特徴的で、納得性の高いアプローチであると評価しました。特に、QRコードからポータルサイトへ誘導し、「クリックする」という行動を起点にNTDsへの理解を深める導線は、自己決定によるコミットメントを強め、取り組みの継続につながり得る点で示唆に富むとして、「首がもげるほどうなずいた」とコメントしました。人の行動を科学的に分析したロジカルな提案であり、日本製薬工業協会賞にふさわしいという講評を行いました。

最後に

3回目となる今回のコンテストですが、年々学生の作品やアイデアがより高度で洗練されたものになっていると感じます。この活動を通じて、一人でも多くの方にNTDsについて知っていただけることを願っています。企画・運営を担った一般社団法人NTD Youthの会、製薬協と同じく構成団体として活動された公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund )、長崎大学熱帯医学研究所、日本顧みられない熱帯病アライアンス(JAGntd )、特定非営利活動法人SDGs・プロミス・ジャパン(SPJ)、特定非営利活動法人 Drugs for Neglected Diseases initiative(DNDi Japan)には深く感謝いたします。

(国際委員会 グローバルヘルス部会 神道 美和)

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