「第5回 経済安全保障セミナー」を開催 経済安全保障と製薬業界

2025年12月15日に、製薬協産業政策委員会経済安全保障タスクフォース(経済安保 TF)主催による「第5回 経済安全保障セミナー」が、製薬協会員会社を対象にウェブ形式にて開催されました。当日は 117 名が参加し、第1部では、東京海上ディーアール株式会社ビジネスリスク本部主席研究員の川口貴久氏に「経済安全保障と製薬業界」をテーマにご講演いただきました。第2部では、経済安保TFメンバーによるパネルディスカッションを行いました。

開催の背景

経済安保TFは2021年10月に設置され、多岐にわたる経済安全保障の業界への影響等の考察を中心に活動を進めてきました。同TF内には、サプライチェーン、研究・開発、サイバーセキュリティの3つのサブチームが設置されており、関係省庁との意見交換、法令等へのパブリックコメント対応やセミナー開催による会員会社への情報提供等に取り組んできました。

現下の地政学リスクの高まり、関税や米中対立等、世界的に経済安全保障の重要性が増しているなか、製薬産業に対しても、多大な影響が懸念されており、このような状況を踏まえ「製薬業界と経済安全保障」「経済安全保障上の課題・リスク、ならびにそれら課題・リスクへの取組み、ベストプラクティス等の共有」をテーマに製薬協会員会社向けのセミナーを開催することに至りました。

開会挨拶

「第 5 回経済安全保障セミナー」開催にあたって

産業政策委員会 経済安保TF 吉田 力 リーダー

製薬産業をとりまく環境に対し、経済安全保障の観点からの考察が一層重要となり、米国の関税政策・MFN政策をはじめ、諸外国の動向を注視する必要が高まっています。また、創薬イノベーションエコシステムの強化も各国の重要施策となっており、日本でも国の成長戦略分野に合成生物学、バイオ、創薬・先端医療が選定されています。また、医薬品のサプライチェーンの強靭化も先進国共通の課題であり、日本では経済安全保障推進法に基づく抗菌薬の国産化が推進されているところです。本日のセミナーが会員会社の皆さまの活動の一助になれば幸いです。

第1部 講演

「経済安全保障と製薬業界」

東京海上ディーアール株式会社 ビジネスリスク本部 主席研究員 川口 貴久 氏

本日は「経済安全保障と製薬業界」について話題提供させていただきます。多くの日本企業で「経済安全保障」への関心が高まったのは2021年夏から秋にかけてで、この頃に製薬協様でも「経済安全保障タスクフォース」が設置されました。

「経済安全保障」の背景には、新型コロナウイルス感染症の流行に端を発する供給危機などさまざまありましたが、大きな要因は激化する米中対立でした。日本企業が米国と中国の事業の二者択一を迫られるのではないか、バリューチェーンやエコシステムを完全分離しなければならないのではないかとの懸念もありました。ところが、今日の「経済安全保障」リスクは米中対立のみならず、米国そのもの、第2次トランプ政権に起因する部分も大きいです。

そこで本日は、外部環境としての米国や日本の政策動向、これをふまえての業界リスク、企業におけるリスクマネジメントを紹介します。

2026年1月に政権発足1年を迎える第2次トランプ政権は、当初から行政命令(大統領令など)による政策転換を志向してきました。スライド(図1)は2024年米大統領選挙期間中のトランプ・バンス陣営の選挙公約とその達成度です。第一次政権と同様、第2次トランプ政権は選挙公約に忠実に、政策形成・政策転換を図っています。

たとえば、表右側の外国製品に一律課税する「普遍的基本関税」と相手国の対米輸入品関税と同様の追加関税を課す「トランプ相互貿易法」は、そのロジックや法的根拠の妥当性は別として、相互関税の基本部分と上乗せ部分という形で実現しています。業界を直撃している「最恵国(MFN)価格」は「the Best Price」という形で宣言されたものでした。

医薬品分野に関する追加関税(1962年通商拡大法232条調査に基づく産業分野別関税)については、2025年4月以降に少なくとも4回以上、トランプ大統領が「関税発動が間近」と発言してきましたが、今日まで延期されています。その大きな理由は、先発医薬品への追加関税とMFN価格が一体化し、政権が製薬各社とMFN価格交渉を重視しているためとされます。

図1.第2次トランプ政権の選挙公約と実現度

  • 本図および以降の図は、東京海上ディーアール株式会社の「地政学リスク・インテリジェンスサービス」に含まれる著作物です。これらの著作物の一部または全部の利用・複製等はお控え下さい。

こうしたトランプ政権の政策を反映したのが、2025年12月に公開された「国家安全保障戦略(NSS)」です。NSSは、その政権の安全保障をはじめとした対外政策に関する最上位文書とみて良いでしょう。メディア報道では、中国との競争等のさまざまな指摘がありますが、本文全体を読めば、「米国第一」が徹底された戦略であることが明らかです。トランプ政権が最重視する地域は「西半球」であり、「モンロー主義のトランプ系(Trump Corollary)」を主張・実行するとしています。

また、トランプ政権が、米国市場へのアクセスを政策ツールとして明示的に位置づけている点も示唆的です。「経済」を手段に、安全保障上の目的を実現するという考えがみてとれます。中国との競争についても、経済面が強調され、米国の対中貿易赤字、中国の不公正な貿易慣行・知財窃取等、中国の過剰生産能力を重視しています。

図2.第2次トランプ政権の「国家安全保障戦略」

第2次トランプ政権が課した対中追加関税は、ジュネーブ、ロンドン、ストックホルム、マドリット、クアラルンプールでの米中閣僚協議を経て、2025年10月のソウルでの米中首脳会談で暫定的な合意に達しました。全体としてみれば、2025年4月および10月の中国によるレアアース輸出規制によって米国が妥協し、結果的に米中は貿易・通商分野で(現時点では)協調している、と言えるでしょう。

トランプ大統領自身は関税、通商・貿易分野での対中ディールを志向・重視しているようにみえますが、政権全体や行政府、議会としては対中「競争」が進展していることも見逃せません。

たとえば、第2次トランプ政権では中国からの対米投資規制が強化され、バイデン政権期で具体化された機微な個人バルクデータの移転・取り扱い規制や情報通信技術・サービス(ICTS)のサプライチェーンの保護規制は継続しています。また業界に直接関係する分野では、成立間近の2026会計年度国防授権法(FY26 NDAA)案には、バイオセキュア法2.0が含まれます。これにより、製薬企業はバイオ受託開発 受託生産発分野で有力な特定中国企業との取引継続を再考せざるを得なくなります。

図3.米中の協調領域と競争領域

日本に目を向ければ、2022年5月、世界初となる包括的経済安全保障法制である「経済安保推進法」が成立しました。推進法の4本柱のうち、2つは産業界を支援するサプライチェーン強靭化や先端技術開発、残り2つは民間企業を規制・規律する基幹インフラのサイバーセキュリティ強化と機微な技術の特許非公開化です。

そして2026年は、2022年以降で最も大きな経済安全保障政策の進展が見込まれています。というのは、経済安保推進法の3年後見直しを踏まえて、年明けの通常国会で改正法案の提出が見込まれているためです。

業界にとって特に関係するのは、データセキュリティでしょう。現時点の公開情報に基づけば、これは、ゲノム・健康情報・個人識別情報といった機微な個人データやクラウドサービス等のITサプライチェーンのリスク管理を強化するものです。強化の観点の一つは、外国による所有・支配・影響(FOCI)の悪影響を極小化するというものです。先行する米国の政策は、中国やロシア等のFOCIリスクを念頭においています。

図4.日本の経済安全保障政策の論点

第2次トランプ政権や日本の状況をふまえると、業界は今後もいくつかの経済安全保障上の課題やリスクに対処していく必要があります。それは、サプライチェーン強靭化、関税(特に対米輸出追加関税)、輸出管理、研究インテグリティ・研究セキュリティを含む技術流出防止、バイオをはじめとした技術開発、越境投資規制(各国の対内投資規制、米国等の対中アウトバウンド投資規制)、データセキュリティと多岐に渡り、企業活動・事業活動全体に関わるものです。

図5.業界にとっての経済安全保障リスク

最後に、経済安全保障を考慮したリスク管理態勢について言及します。

経済安全保障分野に限らず、企業のリスク管理態勢、業務執行サイドの「あるべき姿」は「三線」体制と呼ばれます。各職場や研究開発・生産・営業等の各機能部門によるリスク管理の「第1線」、人事労務・サイバーリスク等の個別リスクに専門的に対処し、第1線を支援・監督する「第2線」、全社的なリスク管理態勢を推進する「第2.5線」、これら全体に内部監査を通じて検証・改善を行う「第3線」です。

製薬業界では、リスク管理部門(2.5線)や政策渉外部門(2線)が中心となって、経済安全保障リスクに対処していることが多いように見受けられます。実際、本日のセミナー参加者の皆様の所属部門もこうした部署が大半を占めます。しかし、先ほど言及した経済安全保障リスクは、サプライチェーン強靭化にせよ、輸出管理にせよ、他の組織・部門(第1線、第2線)が対処してきたリスク・課題です。

その中で、経済安全保障主管部門の役割は何でしょうか。一つは、全社的な見地から、重要な経済安全保障リスクのモニタリングや対応の抜け漏れがないか、リソース配分や対応組織は適切かを評価することです。もう一つは、第1線や第2線ではフォローしにくい政策動向、たとえば、第2次トランプ政権の貿易・通商政策、高市政権の経済安全保障政策といったテーマを継続的にフォローし、経営層や第1線・第2線にインプットしていくことです。

図6.経済安全保障を考慮したリスク管理態勢

経済安全保障をめぐる国内外環境は大きな変化にあります。企業はこれを機会として、既存のリスク管理の体制・プロセスについて、経済安全保障の観点で再確認・見直しすべきでしょう。

質疑応答

講演後には、参加企業の皆さんから川口氏への活発な質問があり、以下の通り貴重なご意見をいただきました。

また回答は川口氏に加えて、同社の研究・開発サブチーム(ST)の中山信氏、中村輝郎氏からも示唆に富むコメントをいただきました。

第2部 パネルディスカッション

経済安保TFメンバーによるパネルディスカッションを行いました。

パネリスト:研究・開発サブチーム(ST)中山 信 氏、中村 輝郎 氏
      サプライチェーンST 土井 和哉 氏
      サイバーセキュリティST 前田 和孝 氏(データを巡る安全保障)

モデレータ:吉田TFリーダー

 

質問1:パネリスト各位の担当分野から見る経済安全保障上の課題やリスクは。

中山氏(研究開発ST)

  • デジタル活用に関するリスク管理が課題である。医薬品製造に関わる法規制等は担当が定まっているが、ソリューションとして扱っているデジタル分野に関する経済安全保障上のリスク・法規制の対応については知見のある人員が非常に限定的である。どのような法規制が存在するか、自社でどういった技術を扱っているか等の調査は必須となっており、自社でも対応の検討を開始している。

中村氏(研究開発ST)

  • 技術流出対策が重要である。経産省が2025年5月に技術流出対策ガイダンスを公開しており、外為法の規制だけでなく、人を介した流出、共同研究を介した流出等の経路が整理されている。国家戦略技術領域にバイオ・ヘルスケアが選定されているが、同領域ではオープンクローズ戦略が重要になるとみられ、これに対する説明責任も求められるのではないか。
  • 今後、重要技術戦略研究所が立ち上がり、経済安保上重要な技術が改めて選定される見込みである。それに関する研究開発を国のファンディングの下で行う場合、現在取りまとめられている「研究セキュリティの確保に関する取組のための手順書」への対応が必要であり、内容を確認すべきである。現状の規程には罰則等はないが、特定のプログラムに参加する場合は過去の所属研究機関や、研究費以外に得た支援、諸外国で懸念組織として扱われている企業との関係、外国の人材採用プログラムへの参加経歴の有無等を把握することが求められる。
  • 一方でゼロリスクを追求しこうした対応へコストを多大に費やせば、研究開発が滞るため、ルール形成に向けて業界として声を上げる必要もある。

土井氏(サプライチェーンST)

  • 原薬の海外依存と米国の関税リスクが2大リスクである。これらの対策には相反する部分がある。
  • 原薬の海外依存については、中国・インドに過度に依存している。品目にもよるが、厚労省が過去数度サプライチェーン調査を実施し、特に中国への依存度の高さを指摘してきた。欧州等のサプライヤーから製品を購入していても、元をたどれば中国に行きつくケースが多い。中国依存がもたらす問題とは、中国の政策変更(2019年の環境規制強化等)による供給停止、異物混入や火災爆発による供給停止等。当初は緩やかな環境規制や安い人的コストを理由に中国の原薬メーカーからの購入に依拠していたが、そのリスクが一気に顕在化している。とはいえ、人の生命・健康に直結する医薬品の特性上、原薬輸出の恣意的停止や価格引き上げを突如行うリスクは低いと考える。ただ、環境規制強化等を隠れ蓑とした供給の制約が起こる可能性は否定できない。対策としては国内回帰に加え、バイオ医薬品においては同志国連携等があり、低分子医薬品に関しても同じ動きが取れるのではないか。
  • 一方米国は米国内製造への回帰を奨励する方針を打ち出しており、米国を巻き込んだ同志国連携が難しくなっている。また、国産化を推進すればコストが上昇し、薬価が問題となる。国が買い上げるといった方針もまだ出ておらず、この点は引き続き課題である。

前田氏(サイバーセキュリティST)

  • 米中対立を背景に、米国は敵対国による米国人の大量な機微データや、米国政府の関連データへのアクセスを脅威として捉えている。バイデン政権は大統領令第14117号「懸念国による米国市民の大量の機微個人データ及び米国政府関連データへのアクセスの防止に関する大統領令」の発出で包括的なデータ移転規制を打ち出し、司法省に対しデータの移転を禁止・規制する規則を作るように指示した。この際の規制対象は中国、ロシア、イラン、ベネズエラ、キューバの企業や個人だった。

  • さらに2024年には類似する法制化の動きもあったため、その動向次第では製薬業界へも大きな影響があっただろう。法令の理解とリスク管理の両立が今後重要になると思われる。

質問2:課題・リスクへの取り組み、ベストプラクティス等の共有

中山氏(研究開発ST)

  • 普段は全社リスク管理に携わっている。これまでは、経済安全保障と製薬業界は、自動車、半導体等と違って直接的な影響を受けておらず、遠い位置関係だった。しかし、米国で第2次トランプ政権が発足したことで直接的な影響が生じた。この状況下で、社内での啓発・周知に課題があった。
  • 自部署では過去1年で経営層、各部門の部長等マネジメント層、一般従業員層に分けた啓発・周知活動を広く行ってきた。外為法、技術流出防止の観点がメインにはなるが、経済安全保障のリスクについてはコンプラ遵守だけではなく、日々の事業活動の中にいかにヒヤリハットがあるかを気づいてもらうことが重要になる。各レイヤーで経済安保リスクを考える、感度を上げることを重視した結果、自部署への相談が増えており、成果が出始めている。個別での説明を地道に進めている。

中村氏(研究開発ST)

  • 国内での経済安保推進法改正によるプラスの影響も想定される。特に重要技術に対する財政支援等。たとえば経済安全保障重要技術育成プログラム(K Program)では有事に備えた止血製剤製造技術の開発実証が、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)主導のもと30億円で実施。製薬企業や医薬品開発製造受託機関(CDMO)も参加している。今後K Programにおける新たな研究開発ビジョンが策定されるとのことで、そのタイミングに合わせ製薬企業がコミットすることは重要である。
  • また、製薬企業としては国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)やNEDOから財政支援を受けるケースが多いが、防衛省(防衛装備庁)からのファンディングも視野に入れることを提案したい。「安全保障技術研究推進制度」があるが、実際のスコープとしては先端的な技術を支援しつつ、将来的にデュアルユースに繋がる可能性があればよいとの位置づけである。応募した組織の約4割が民間企業(2025年度)だが、創薬・ライフサイエンス企業の採択は非常に少ない。同制度は使い勝手も改善されており、委託研究ではなく、応募のあった研究計画に補助金を公布する形式での支援が拡大している。また、日本版米国国防高等研究計画局(DARPA)とも呼ばれる防衛イノベーション科学技術研究所では革新的ブレークスルー研究を推進している。パンデミック、自然災害、事故対応等への高い汎用性が期待できる分野では特に、防衛省のファンディング活用が具体的に検討できるのではないか。

土井氏(サプライチェーンST)

  • 現時点では正解が見えず、ベストプラクティスもこれから明らかになるであろう分野だが、海外依存リスク低減のための原薬の国内製造回帰が挙げられる。特定重要物資の安定供給確保計画が認定された企業で、抗菌薬の製造設備が完成とのプレスリリースが実際に出ている。原薬の国内製造の経験が小さい企業もあると思われるが、その際、友好な関係にある国々とのサプライチェーン構築が考えられる。日印の経済安保イニシアティブではバイオ医薬品のSC強靭化が謳われている。meiji seika ファルマ社の海外企業との技術提携事例もあり、海外から原薬製造のノウハウを得ることが現実的かもしれない。ただし、日本の地政学上、有事の際の海上封鎖、港湾や空港が使えない等のケースを想定するとフレンドショアリング(同志国への製造移転)にもリスクがある。これらを踏まえると、やはり一定の国内回帰が進んでいくだろう。
  • 米国の関税対応にベストプラクティスはない。各社の米国での製造規模、販売規模の大きさ等によってどの程度米国での製造を強化するかが異なる。国内回帰、フレンドショアリング等特定の方策に一辺倒になることは好ましくなく、各医薬品の供給停止時の影響や、代替品の利用可能性等を総合的に考慮しながら個別に対応することになるのではないか。

前田氏(サイバーセキュリティST)

  • 2024年は米国の大統領令14117号に基づく機微な大規模個人データ移転等の規制が進んだ。本規制の最終規則案に対するパブコメ期間中に外務省、厚労省経由で製薬協にも照会があったが、業界の重要事項である臨床試験に関するデータは最終規則案でも適用対象外となったため、コメントは提出しなかった。米国製薬協や全米商工会議所からは、規則運用に関する詳細なコメントが提出された模様である。2024年12月に最終規則が発出され、2025年の4月に発効したが、臨床試験に関するデータの適用除外は維持された。多様な組織からコメントを出すことが有効である。

東京海上ディーアール 川口氏

  • 経済安全保障は業界として「競争」ではなく「協力」して対応すべき領域と考える。経済安全保障TFや製薬協会員会社での情報共有や協力を通じたリスクマネジメントやポジティブな結果に繋がるような働きかけが重要である。

閉会挨拶

吉田 力 TFリーダー

経済安保TFが発足した2021年当時は、米中デカップリングへの懸念から米中で経営を完全に分割するべきか、という懸念もありました。しかし、経済安全保障の領域は多岐にわたり、日本が世界で初めて包括的な経済安全保障法制を講じた後はEUにも類似の課題があると明らかになりました。その後日本でもサイバーセキュリティが一層重視されるようになり、さらに米国の関税問題も加わりました。経済安全保障の文脈なしに当業界の活動を展開することが難しくなっています。このように広範なテーマを含むが、各社で広く課題を知っていただくことが適切なリスク管理に繋がります。リスク管理の3線態勢のうち、第1線が一義的にはリスクに接する分野であり、こういった部署にリスクを知っていただくことが重要と考えます。

(産業政策委員会 経済安全保障タスクフォース)

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