医薬品評価委員会 間接比較において母集団調整法は有用か? Matching Adjusted Indirect Comparison及びSimulated Treatment Comparison

データサイエンス部会

2022年1月

費用対効果評価を早くから導入している英国NICE(National Institute for Health and Care Excellence)では、現在までに、医療経済評価を行うための統計的手法等に関する21の技術的な手順書(Technical Support Document:TSD)を発行しています。これらの手順書は、2019年より費用対効果評価を正式に導入している本邦においても大変参考になる資料です。データサイエンス部会2021年度継続タスクフォース3では、NICEのTSDで取り扱っている主題を整理して、国内で費用対効果評価を実践する際に有用と思われる情報を提供する活動を行っています。本報告書では、TSD18「Methods for population-adjusted indirect comparisons in submissions to NICE」に焦点を当てて、企業が一般に直面する状況(自社の試験では個別患者データがあり、他社の試験では集団レベルあるいは群レベルのデータしか利用できない状況)で、試験間の効果修飾因子の分布の違いを調整して間接比較を実施するための手法[Matching Adjusted Indirect Comparison(MAIC)及びSimulated Treatment Comparison(STC)]について解説しています。本手法の内容とその理論的背景を解説するとともに、本手法のシミュレーション研究による性能評価や近年の適用事例の紹介、並びにRによる実装例を示しています。本手法は近年適用事例が増えており、本邦における本格導入後にも適用事例が認められているものの、非常に強い仮定が必要であることから、適用に際しては注意が必要です。以上より、間接比較を実施する際には、本報告書を参照いただくことで、適切な手法の選択や解析の実施の一助になれば幸いです。

日本製薬工業協会 医薬品評価委員会
データサイエンス部会 2021年度継続タスクフォース3

間接比較において母集団調整法は有用か?-Matching Adjusted Indirect Comparison及びSimulated Treatment Comparison-

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