医薬品評価委員会 人×技術×未来 ~わたしたちが描く次世代のファーマコビジランス~ワークショップを開催
ファーマコビジランス部会
2026年4月
はじめに
2026年2月25日(水)、日本製薬工業協会 医薬品評価委員会 ファーマコビジランス(PV)部会の主催により、「人×技術×未来 ~わたしたちが描く次世代のファーマコビジランス~」ワークショップを日本橋ライフサイエンスビルディング(東京都中央区)にて対面形式で開催しました。本ワークショップは、PV部会で通常の医薬品安全性監視活動及びE2B(R3)に関する課題について検討している継続課題対応チーム2(KT-2)所属メンバーによって企画・運営されたもので、医薬品評価委員会加盟会社の安全性部門(特に副作用症例評価業務担当者)を主な対象として実施しました。
製薬企業における副作用等症例の収集・評価・報告業務(症例評価業務)は、規制要件への対応にとどまらず、医療現場や患者さんの安全を支える重要な社会的役割を担っています。一方で、近年のAI(Artificial Intelligence)や自動化技術の進展、医療DX(Digital Transformation)やRWD(Real World Data)/RWE(Real World Evidence)活用の広がりにより、症例評価業務を取り巻く環境は大きく変化しつつあります。こうした変化の中で、症例評価担当者が「人」「技術」「未来」の3つの観点から自らの業務と将来像を整理し、次世代のPV業務(特に症例評価業務)のあり方を主体的に考える機会を提供することを狙いとして、本ワークショップを企画しました。
当日は、35社52名の皆様にご参加いただきました。
ワークショップの概要(プログラム構成)
ワークショップ当日は、以下の流れで実施しました。
基調講演:AI・自動化技術の最新動向とPV業務での活用可能性
PwCコンサルティング合同会社 水野 光 氏
冒頭の基調講演では、PwCコンサルティング合同会社 水野氏より、「AI・自動化技術の最新動向とPV業務での活用可能性~学び続け、価値を生み出す人になるために~」をテーマに、AI・自動化技術の潮流や今後の可能性についてインプットをいただきました。
グループディスカッション:3起点(未来・技術・人)×三幕構成
講演後は、参加者が複数グループに分かれてディスカッションを実施しました。議論は「未来」「技術」「人」の3つの視点を起点として構成し、第一幕・第二幕で議論を深めた後、第三幕で個人ワークとして「キラキラ宣言(行動宣言)」へ落とし込む設計としました。
- 未来起点:10年後の医療・社会像からPVの価値を再考し、現在への橋渡しを議論
- 技術起点:AI・自動化の現状(使用状況/期待/不安)を共有し、役割分担や未来像を議論
- 人起点:成長経験の振り返りや、AI時代における「人が価値を生む領域」を議論
グループ発表(共有)
ディスカッション後は、各グループの成果を会場内で共有しました。代表グループからは、各グループのディスカッションで得られた視点を簡潔に発表いただき、参加者が今後のアクションを検討するうえでのヒントを得る機会となりました。さらに、発表を受けて、KT-2担当副部会長の西谷氏と守田氏からは、業界として将来生じ得る課題に対して、引き続き向き合い、取り組んでいく決意が示されました。
事後アンケート結果
ワークショップ終了後に実施した事後アンケート(アンケート期間:2026年2月26日~3月13日)では、以下の結果が得られました。
- アンケート回答数:38名
- 全体満足度:「満足」「非常に満足」計86.8%(33/38名)
- 最も評価が高かった項目:グループディスカッション(5点満点平均 4.21)
また、学び・気づきとしては、以下の論点が多く挙げられました。
- 「AIに任せる領域/人が担う領域」の再整理(最終判断・説明責任・意思決定は人に残る)
- 生成AI・自動化によるルーチン削減を通じ、本質的なPV業務(評価・戦略・品質担保等)へ注力する発想
- 品質・説明責任・ガバナンス(規制整備含む)が業界共通の壁であるという認識
- 未来の医療環境変化(データ流通、ウェアラブルデバイス等)を踏まえ、PV実務の前提自体が変化し得るという見立て
- 業界横断での協力(共通プラットフォーム/ベストプラクティス共有)の重要性
最後に
本ワークショップでは、「未来」「技術」「人」の3起点で多面的に議論するフレームのもと、参加者が自社・他社の現状を踏まえながら、AIと共創する次世代PV-PharmacovigilanceにおけるAI活用の可能性-の方向性を考え、さらに「キラキラ宣言」により具体的な行動へ落とし込む機会を提供できました。アンケート結果からも、全体満足度は高く、特にグループディスカッションが高く評価され、他社との情報共有・視点獲得が大きな価値として受け止められたことが確認されました。
今回得られた学びと示唆を踏まえ、今後も参加各社にとって実務に資する情報交換と、次世代PV人材の成長につながる場の提供を検討してまいります。
医薬品評価委員会 ファーマコビジランス部会 継続課題対応チーム2
ワークショップ企画メンバー:平泉、松本、小名木、吉原、玉井
ワークショップ運営メンバー:川上、小川、千原、藤塚、森、若林、中村、川口、西谷、守田
