医薬品評価委員会 事例から学ぶ費用対効果評価の留意事項

データサイエンス部会

2023年3月

日本では2019年に薬価調整のために費用対効果評価制度が本格導入され,本格導入後の評価結果が保健医療経済評価研究センターから公開され始めています(2023年1月時点で9品目).海外に目を向けると,20年ほど前から英国NICE(National Institute for Health and Care Excellence)では日本とは異なるフレームワークではあるものの,同様の費用対効果評価が行われ,既に多くの評価事例が蓄積され,公開されています.

費用対効果評価は,企業の分析結果を公的分析機関がレビューすることによって評価の透明性,妥当性を担保することになりますが,分析条件の設定,疾患推移モデルの構築,モデルパラメータの推定,データの不確実性に対する対処方法などについて,公的分析機関から多岐にわたる指摘がなされています.NICE や日本の実際の費用対効果評価の先行事例から私たちが学ぶべきことは多いと考え,本報告書では網羅的ではないものの,それぞれのトピックについて典型的な論点を整理し,留意事項とその対応策について解説しました.

費用対効果評価は,医療資源の効率的配分の意思決定に資する情報を提供するために利用可能な情報を最大限活用しながら,合理的と思われる方法を適宜選択していく必要があります.そのため,費用対効果評価では正しい唯一の値が定まるものではないですが,実務担当者が先行事例の論点から留意事項を把握することは,適切な費用対効果評価を行う上で有益であると考えます.本報告書を参照いただくことで,適切な手法の選択や解析の実施の一助になれば幸いです.

日本製薬工業協会 医薬品評価委員会
データサイエンス部会 2022年度継続タスクフォース7

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