「2025年度コード管理責任者・実務担当者会」を開催
製薬協コード・コンプライアンス推進委員会は 2025年9月17日、「2025年度コード管理責任者・実務担当者会」を、下記のプログラムに沿って開催しました。会員会社69社からコード管理責任者とコード実務担当者を中心に計199名が参加しました。以下、本会の概要を報告します。
会場の様子
「2025年度コード管理責任者・実務担当者会」プログラム
司会:製薬協 コード・コンプライアンス推進委員会 山野 俊之 実務委員
第1部 コード実務担当者対象 グループディスカッション
テーマ「適切な販売情報提供活動のための取り組み‐企業主催(共催)講演会の適切な運用‐」
第2部 コード管理責任者・実務担当者対象
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開会挨拶
製薬協 コード・コンプライアンス推進委員会 大内 香 委員長
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コード違反措置事例集について
同 溝口 裕章 実務委員
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製薬協コード改定について
同 若井 真人 実務委員長
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製薬協コード理解促進月間施策について
同 河合 兵衛 実務委員
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特別講演「販売情報提供活動調査事業」について
厚生労働省医薬局 監視指導・麻薬対策課 篠原 太一 主査
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謝辞
製薬協 石田 佳之 常務理事
第1部
グループディスカッション
各社のコード実務担当者を対象に、「適切な販売情報提供活動のための取り組み — 企業主催(共催)講演会の適切な運用 —」をテーマとして、8つのグループに分かれて意見交換が行われました。本意見交換では、講演会の適切な運用を効果的に担保することを目的に、役割依頼時の十分な説明、事前打ち合わせ、スライドレビューなどの工夫について議論が交わされました。
第2部
開会挨拶
製薬協 コード・コンプライアンス推進委員会 大内 香 委員長
製薬協コード・コンプライアンス推進委員会の大内香委員長より、第一声として「ここにお集まりの皆さんは各社におけるコンプライアンス体制の維持と推進の中心になる方々と思います。皆さんはコンプライアンスを義務と捉えられていると思いますが、やりがいをもって進めることでより大きな成果が得られると考えています」と訴え、「製薬企業がコンプライアンス体制を整備し、従業員の意識を高めることで、社会からの信頼を得ることができる。それは日本の医薬品の価値と信頼を高め、患者さんとそのご家族の安心につながり、患者中心の医療の実現に貢献するものと信じており、本日ご参集の皆さまと共に推進していきたい」と呼びかけ、本日の会議で同じ目的を有する仲間との情報交換および関係構築のための有意義な機会となることを期待するとして、挨拶の言葉としました。

コード違反措置事例について
製薬協 コード・コンプライアンス推進委員会 溝口 裕章 実務委員
コード・コンプライアンス推進委員会の溝口裕章実務委員より、 以下の点について説明がありました。
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製薬協における措置の考え方
「製薬協コード・オブ・プラクティス違反措置規程」において、「措置」とは、コード・コンプライアンス推進委員会が違反会社に対して自主的な改善を求めることをいうと定めています。つまり、製薬協としてコード違反を行った会社に制裁を科すものではなく、当該会社おける改善に向けた取り組みに主眼を置いたものであり、措置レベルの判定は、「当該違反行為が軽微か否か」と「当該違反行為が、審議段階で“停止され、かつ/または再発防止”のための対策が十分に取られているか」の2軸で行っていることの再確認を行いました。
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措置事例集について
置事例集の役割としてどのような場合にどのような措置の対象となるのかについて、会員会社にイメージしていただくための参考資料として作成していることを伝えたうえで、2024年度の本会議以降に新たに追加された措置事例2件が紹介されました。1件目は「医療関係者の同意を得ずに個人情報の目的外利用および第三者提供を行った事例」、2件目は「承認外使用の推奨および他社製品の誹謗・中傷が含まれた不適切講演会を行った事例」であり、改めて会員会社に注意喚起を行いました。
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「承認前の自社医薬品情報誤発信防止について」
2023年に通知を発出し、2024年に本会議にて再徹底をお願いした後も同様のケースが後を絶たないことから、業務委託先の過失が原因の場合も委託元企業は責任を逃れないことの再確認を行い、社内・社外の関係部署に対して必要なアクション(理解の徹底、点検等)を行うようリマインドしました。

製薬協コード改定について
製薬協 コード・コンプライアンス推進委員会 若井 真人 実務委員長
コード・コンプライアンス推進委員会の若井真人実務委員長より、2025年5月に改定した製薬協コード・オブ・プラクティス(以下、製薬協コード)について以下の説明がありました。
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改定のポイント
改定のポイントとして、「プロモーションの定義」を改定したことと「“MRの行動基準”を“プロモーション活動の基本”」に改定したことの2点を挙げました。「プロモーションの定義」は、国際製薬団体連合会(IFPMA)コード・オブ・プラクティス、販売情報提供活動ガイドラインと整合を図りつつ、販売促進を含めた幅広い活動と定義しました。“MRの行動基準”を“プロモーション活動の基本”」と改めたのは、プロモーションの定義に該当する活動を行うのは、MRだけでなく「会員会社の役員・従業員」であれば誰でもプロモーションの活動の担い手になりうることを明確にしました。
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自社コードへの反映について
2025年5月に改定され、10月施行の製薬協コードを各社の自社コードに反映し、周知徹底を図っていただくことを依頼するとともに、会員会社の改定製薬協コードの対応状況および疑問点を把握するためにコード・コンプアラインス推進委員会が実施するアンケートへの協力を要請しました。

コード理解促進月間施策について
製薬協 コード・コンプライアンス推進委員会 河合 兵衛 実務委員
コード・コンプライアンス推進委員会の河合兵衛実務委員より、2025年11月に実施される「製薬協コード理解促進月間」(以下、理解促進月間)の施策について説明がありました。
2025年度のテーマは、6年ぶりに改定された製薬協コードを会員各社に浸透させ、遵守を促すことを目的に、「コード改定2025!— 私たちの新しいスタンダードです」と設定されたことが紹介されました。理解促進月間の施策を会員各社で展開するためのツールとして、ポスターと研修資料が用意されています。ポスターは、製薬企業の社員4名のイラストと理解促進月間のテーマを目立たせることを狙い、白の背景に描かれています。また、テーマ中の「私たち」とは、製薬協会員会社のすべての役員・従業員を指しており、彼らが新しいスタンダードである改定製薬協コードを遵守する強い決意を表現しています。研修資料については、これまで「Ⅰ‐1 コード・オブ・プラクティス」のみでしたが、今回の改定を反映して更新されたほか、新たに「Ⅰ‐2 医療用医薬品プロモーションコード」の研修資料も作成されたことが説明されました。最後に、これらのポスターおよび研修資料を有効に活用し、製薬協コードの認知向上を図っていただくよう、強く要請しました。

特別講演:「販売情報提供活動調査事業」について
厚生労働省 医薬局 監視指導・麻薬対策課 主査 篠原 太一 氏
篠原氏は、まず「医療用医薬品の販売情報提供活動調査事業」の経緯と概要について説明しました。続いて、「令和6年度 販売情報提供活動調査事業報告書」の結果概要について、「令和6年度には、延べ18件の医薬品に関する情報提供において、広告違反が疑われる事例が確認され、違反が疑われた項目は、『事実誤認の恐れのある表現を用いた』が最も多く、次いで、『エビデンスのない説明を行った』 『他社の製品を誹謗・中傷する表現を用いた』といった事例が多く見られました」と述べました。これらの掲載事例については、すでに対象企業に対して行政指導を実施しており、当該企業側は社内で事実関係を確認し、今後の対応策を検討したうえで、改善報告書を提出していることが報告されました。なお、指導内容によっては、報告書提出後にもフォローアップを行う場合があることが説明されました。
製薬企業、業界団体に求めることとして、以下の 5 点の要請がありました。

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有効性と安全性のバランスの取れた情報提供を行うこと
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MRへのさらなる教育を行うこと
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競争が激しい医薬品でこそ不適切事例が生じやすいことから、コンプライアンス遵守の徹底を行うこと
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医薬品リスク管理計画(RMP)に関する十分な情報提供を行うこと
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企業主催セミナー等は不適切な販売情報提供活動とならないよう、演者依頼時の丁寧な説明と十分な事前打ち合わせを実施すること
加えて、Q&A(その4)についても一部解説があり、最後に、「適正広告基準」「販売情報提供活動ガイドライン」「課徴金制度」を理解し、引き続き適正な販売情報提供活動をお願いしたい、と依頼しました。その後、事前に寄せられた質問に対して回答を行い、講演を締めくくりました。
謝辞
製薬協 石田 佳之 常務理事
製薬協の石田佳之常務理事は、コード管理責任者・コード実務担当者の本会への参加に対して謝意を表すとともに、特別講演演者の篠原氏への謝辞を述べました。
第1部のコード実務担当者を対象としたディスカッションテーマである「適切な販売情報提供活動のための取り組み‐企業主催(共催)講演会の適切な運用‐」に関連して、会員各社が医療関係者等に製薬企業主催・共催の講演会の座長・演者(以下、役割者)を依頼する際は、役割者のご負担を軽減するために、講演依頼時における認識のすり合わせしっかり行う、講演スライド作成時における不明点の照会をお受けする、時間的な余裕を持ったスライドの最終確認や修正をお願いする等の丁寧な説明と十分な意思疎通が重要であることを説明し、その実施を要請しました。

最後に「コンプライアンス遵守体制の確保には、“組織文化”、“社内制度”、“社員個人の技量”の三要素が欠けることなく整備され続ける必要がある」と訴え、コード管理責任者・実務担当者に対し、さらなる推進への期待を述べて会議を締めくくりました。
(コード・コンプライアンス推進委員会 実務委員 吉田 恵子、井上 真吾)