「2024年度コード管理責任者・実務担当者会」を開催

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製薬協コード・コンプライアンス推進委員会は2024年9月27日、「2024年度コード管理責任者・実務担当者会」を、表1のプログラムに沿ってウェブと対面のハイブリット形式で開催し、会員会社70社からコード管理責任者とコード実務担当者が参加しました。以下、本会の概要を報告します。

会場風景  

「2024年度コード管理責任者・実務担当者会」プログラム

司会 製薬協コード・コンプライアンス推進委員会 増田 直幸 実務委員
(1) 開会挨拶 同 平田 千佳 委員長
(2) 製薬協発出の通知・連絡について 同 松村 豪 実務委員長
(3) 製薬協コード理解促進月間施策について 同 篠永 和博 実務委員
(4) 特別講演「販売情報提供活動監視事業」について 厚生労働省医薬局 監視指導・麻薬対策課 広告指導官 大平 泰士 氏
(5) 謝辞 製薬協 石田 佳之 常務理事

開会挨拶

開会に先立ち、製薬協コード・コンプライアンス推進委員会の平田千佳委員長より、監視事業の仕組みとその目的について紹介した後、次のように挨拶を述べました。

監視事業制度を通じ、医薬品が適切に使用される環境を整備するという我々製薬会社の活動は、まさに国民の皆さん、患者さんの皆さんの公共の利益に資することになります。そして、この事業を正しく運営することで、制度に対する信頼、制度に参加する監督官庁、医療関係者、我々製薬会社といったさまざまなステークホルダーに対する信頼も高まります。

ただし、監視事業報告は年1回です。平素より医療関係者と、また、社内においても、コミュニケーションが常に行われ、指摘事例などが医療関係者とのコミュニケーションにおいて把握できる環境ができているか、社員からも声を出しやすい体制ができているか、そしてそれに対応する自社の仕組みができているかを今一度確認し、機能しているかを見直すよい機会であってほしいと思います。本日は会場参加とウェブ参加を組み合わせたハイブリッドでの開催ですので、同じ目的を有する仲間とのネットワークも築いていただきたいです。

製薬協発出の通知・連絡について

コード・コンプライアンス推進委員会の松村豪実務委員長より、2024年4月以降に発出した各種通知・連絡事項を中心に4点、説明がありました。

(1)「承認前の自社医薬品情報誤発信防止についての要請」

2023年に通知を発出した後も同様のケースが後を絶たないため、再度注意喚起したものであり、業務委託先の過失が原因の場合も委託元企業は責任を逃れないことから、社内・社外の関係部署に対して必要なアクション(理解の徹底、点検等)を行うようリマインドしました。

(2)「製薬協コードの遵守について」

本通知は令和5年度販売情報提供活動監視事業の報告書が公開されたことを受けて発出したものであり、会員会社に報告書の確認および販売情報提供活動ガイドラインの正しい理解を依頼するとともに、製薬協コードの遵守を求めました。
また、ガイドライン第1基本的考え方「2適用範囲等」、「3販売情報提供活動の原則」、第4その他「3未承認・適応外薬に関する情報提供」については、特に理解を深めてほしいこと、加えて、Q&A(その4)の理解を深め、医療現場へ適切な形で情報提供できるよう各社工夫をしてほしい旨を要請しました。

(3)「ウェブサイトヘのコンテンツ掲載に関する指針」改定について

指針4.3柱書と関連するQ&A3の修正とQ&A11(治験に関する情報を掲載する際の留意点)が追加されたことを報告しました。

(4)個人情報の適切な取り扱いについて

医療関係者向け会員オンライン情報サイトの認証サービス業者に、MRが医療関係者の個人情報を本人の同意を得ず、代理で登録を行った不適切な行為(2024年7月のコード・コンプライアンス推進委員会でも報告した事例)があったことから、同様の事例が発生しないよう社内で徹底するように注意喚起しました。

コード理解促進月間施策について

コード・コンプライアンス推進委員会の篠永和博実務委員より、2024年度の製薬協コード理解促進月間の施策について説明が行われました。

はじめに、2024年度のテーマは、会員会社からアンケート等で高い評価を得たことから、今年も「誠実な行動で社会の期待に応えます」とし、サブテーマは、「コード遵守が築く信頼」と設定しました。

ポスターは、製薬協会員会社の従業員がさまざまな判断や行動の際に「製薬協コード」を遵守して、社会からの信頼獲得を目指す姿を、『コードブックを手にし、社会全体を想像させる街並みを背景に、社会の期待に応えるべく、その強い思いを馳せる製薬企業の社員』として表現しています。また、今回より、2次元コードから「製薬協コード」を参照できるようになっています。

続いて、ポスターの掲示および点検項目、ポスターの電子媒体について説明があり、点検項目の事例集と製薬協コード・オブ・プラクティス解説資料の紹介も行われました。

特別講演

「販売情報提供活動監視事業」について

厚生労働省 医薬局 監視指導・麻薬対策課 広告指導官 大平 泰士 氏

大平氏は、「医療用医薬品の販売情報提供活動監視事業」の経緯・概要を説明した後、「令和5年度 販売情報提供活動監視事業報告書」の結果概要として、「この事業では全体像は推計できないが、新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行し販売情報提供活動が活発になっても不適切事例が大きく増加することはなかった。一方、一般報告は認知度が上がったこともあり、3年連続で報告件数が増加している。対面とオンラインを併用する新たな販売情報提供活動のスタイルになってどのような変化になるか今後も注視していきたい」と述べました。

続いて、疑義報告事例では、主なものとして、「エビデンスのない説明」「有効性のみを強調」「他社製品の誹謗・中傷」が確認されていることから、そのポイントを解説しました。

掲載事例については、すでに対象企業に対し行政指導を実施しており、当該企業は社内で事実関係を確認し、今後どのような取り組みを行なうかを検討し改善報告書を提出してもらっていますが、指導内容によっては報告書提出後にもフォローアップを行う場合がある旨の説明がありました。

製薬企業、業界団体に求めることとして、以下の5点の要請がありました。

  1. 医療関係者のニーズに応え、ガイドラインの趣旨を正しく理解し、必要な情報について適時に適切な提供を行うこと
  2. MRへのさらなる教育行うこと(MR個人に自覚を持ってもらいたい)
  3. 競争が激しい医薬品でこそ不適切事例が生じやすく、コンプライアンスの徹底を行うこと
  4. 医薬品リスク管理計画(RMP)に関する情報提供を徹底すること
  5. 企業主催セミナー等は不適切な販売情報提供活動になり得る場合がある。企業は演者依頼時に丁寧な説明を行い、十分な事前打ち合わせを行うこと

Q&A(その4)についても一部解説があり、最後に、「適正広告基準」「販売情報提供活動ガイドライン」「課徴金制度」を理解し、引き続き適正な販売情報提供活動をお願いしたい、と依頼して講演を締めくくりました。

謝辞

製薬協の石田佳之常務理事は、コード管理責任者・コード実務担当者の本会への参加に対して謝意を表すとともに、特別講演演者の大平氏への謝辞を述べました。

今回の監視事業報告における指導事例は数的にはかなり減少していますが、医療関係者におけるガイドラインの認知度は3割程度と聞いています。本当に不適切とされる事例を把握できているのかというのは心配しているところです。一般報告については、感性の高い医療関係者からの報告が増加し環境が整ってきており、おのずと、これに対応すべく企業側もさらに情報提供の質を上げていく必要があります。これには企業が科学的に話すためのMRへのトレーニングも必要ですが、それだけにとどまらず、会社の仕組みとして、社内でどう動いて、医療関係者に価値を提供し、そして高く評価される好循環をもたらすか、その流れのスタートの起点にコード管理責任者・コード実務担当者の皆さんがなってくださることを願っています。

 

(コード・コンプライアンス推進委員会 実務委員 玉田 隆司)

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