三大感染症、顧みられない熱帯病(Neglected Tropical Diseases, NTDs)とは

「顧みられない熱帯病(Neglected Tropical Diseases, NTDs)」は世界149の国と地域でみられ、10億人を超える人々の生活を脅かし、それら発展途上国に毎年数十億ドルもの損害を与えています(※1)。その患者さんの多くは、劣悪な衛生環境に居住し、感染した蚊や家畜に接触しやすい環境におかれた貧困層に集中しています。三大感染症であるHIV/エイズ、結核、マラリア、および顧みられない熱帯病などの感染症は、個人の経済的困窮を蔓延させるだけでなく、その国や地域全体の貧困の原因ともなっています。この貧困と感染症の負の連鎖を断ち切ることは、感染流行国の経済成長と世界情勢の安定化に必要です。持続可能な開発目標(SDGs)の目標3(ターゲット3.3)には、2030年までにこれらの感染症を根絶させることが掲げられています。
世界保健機関(WHO)は、より広範なステークホルダーとNTDの影響を受ける国々による持続可能な医療システムへの取り組みを促進するためのロードマップとして、the NTD road map 2021–2030を発表しました(※2)。

三大感染症とは

いまだに低・中所得国を中心に蔓延し、毎年250万人以上もの命を奪っているHIV/エイズ、結核、マラリアを三大感染症と言います。人類の脅威である三大感染症は、これまでの長年に亘る多くの国際支援の結果、感染拡大の勢いは低下してきております。一方、蔓延国での政情不安や対策に必要な経済負担の大きさ・資金不足などの社会的・経済的な課題に加え、脆弱な医療体制や薬剤に対する耐性問題、そしてCOVID19などの新しいパンデミックも影響し、対策の進捗が減速していると言われています。

顧みられない熱帯病(Neglected Tropical Diseases, NTDs)とは

顧みられない熱帯病熱帯・亜熱帯の地域を中心に蔓延している寄生虫や細菌による感染症は、これまで先進国から主要な疾患と考えられてこなかったことから、「顧みられない熱帯病(Neglected Tropical Diseases, NTDs)」と呼ばれています。WHOによると、デング熱、狂犬病、トラコーマ、ブルーリ潰瘍、トレポネーマ感染症、ハンセン病、シャーガス病、睡眠病、リーシュマニア症、嚢尾虫症、ギニア虫感染症、包虫症、食物媒介吸虫類感染症、リンパ系フィラリア症、河盲症、住血吸虫症、土壌伝播寄生虫症、マイセトーマ、疥癬症、蛇咬症、ノーマの21疾患がNTDsと定義されています。(※3)。

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