2.治験の3つのステップ

少人数の健康成人→少人数の患者さん→多数の患者さん全ての試験結果をもとに「くすりの候補」が「くすり」になります

治験は、通常3つのステップ(相)を踏んで進められます。
3つのステップを終了したところで、くすりを開発している製薬企業がそれらのデータを全てまとめて厚生労働省にくすりとして認めてもらうよう申請します。
厚生労働省の厳正な審査をパスし、承認されることによって初めて「くすりの候補」が「くすり」となるのです。

(1)『第I相試験』(臨床薬理試験)

まず、少人数の健康成人において、ごく少量から少しずつ「くすりの候補」の投与量を増やしていき、安全性はどうかについて調べます。また、血液や尿などの中に存在する「くすりの候補」の量を測ることにより、どのくらいの速さで体内に吸収され、どのくらいの時間でどのように体外に排泄されるのかも調べます。

コラム「身体の変化は治験によるものかどうか」

身体に現れた変化が「くすりの候補」の副作用かどうかを見極めるため、プラセボ(有効成分が入っていない、見た目や味などの点で「くすりの候補」と区別がつかないもの)を同時に使って比較することもあります。「くすりの候補」の種類によっては、効果があると予想される患者さんから治験を始めるほうが適当なことがあり、この場合には効き目に付いても予備的に調べることができるのが普通です。

(2)『第II相試験』(探索的試験)

次は、「くすりの候補」が効果を示すと予想される比較的少人数の患者さんについて、病気の程度によってどのような効き目を発揮するのか(有効性)、副作用はどの程度か(安全性)、またどのような使い方(投与量・間隔・期間など)をしたらよいか、といったことを調べます。
効き目や使い方を調べるにあたっては、通常いくつかの投与量を用いて比較検討しますが、その際にプラセボ(※)を加えるのが一般的です。また現在使われている標準的なくすりがある場合には、それと比較することもあります。

(3) 『第III相試験』(検証的試験)

最後に、多数の患者さんについて、第Ⅱ相試験の結果から得られた「くすりの候補」の有効性、安全性、使い方を最終的に確認します。確認の方法は、現在使われている標準的なくすりがある場合にはそれとの比較、標準的なくすりがないときにはプラセボとの比較が中心になります。
これとは別に、長期間使用したときの安全性や安全性がどうかを調べることもあります。

コラム「偏りなく公平に治験するために」

比較試験は偏りなく公平に行われるべきで、治験に参加される患者さん等をどの処置に割り付けるかは、くじを引くような方法で決め(無作為化割り付け)、その上、治験を行う医師や患者さん等のいずれにも、どの処置が割り付けられているのかが分からないようにする方法(二重盲検法)が採られることも少なくありません。そして、どの処置も同時期に試験を行います。

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