産業政策委員会
重点課題
-
革新的新薬およびイノベーション創出の観点からの総合的な施策検討
-
イノベ-ションを適切に評価し、研究開発型製薬産業の成長に資する薬価制度の実現
-
ドラッグ・ラグ/ロス解消に向けた取り組みの推進
-
革新的新薬の創製を促進し、国際競争力強化につながる税制のさらなる充実と活用推進
-
関係各省や国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)等と連携した革新的新薬創出のための環境整備
-
医薬品の適正使用の推進に向けた取り組みの強化
-
感染症に関する取り組みの推進
-
経済安全保障に関する取り組みの推進
-
難病・希少疾患に関する取り組みの推進
-
産業政策、安全保障の観点を踏まえた戦略的なアドボカシー活動の推進
-
医薬品業界に係る輸出入、関税等、貿易に関する諸問題への対応(インターナショナル・トレード・コミッティ(ITC))
-
生物多様性条約におけるデジタル配列情報(DSI)等のアクセスと利益配分(ABS)の国際的な議論への対応(CBD-ABS TF)
取り組み内容
1. 革新的新薬およびイノベーション創出の観点からの総合的な施策検討
- 研究開発型製薬産業を取り巻く社会環境の変化や施策動向を把握・分析し、産業政策の要であるイノベーション推進方策、薬価制度、税制を中心に、革新的新薬やイノベーションの創出等により国民ニーズ・社会課題に応えていく観点から、総合的な検討を行い、提言・対応を行う。また、官民対話や常設委員会で対応できない課題、緊急事案等について的確に対応し、主張すべき内容、方向性等を整理する。
- 検討や対応にあたっては、関係団体と連携するとともに、医薬産業政策研究所(政策研)の研究・調査機能を活用する。
2. イノベ-ションを適切に評価し研究開発型製薬産業の成長に資する薬価制度の実現
- 「研究開発投資の循環的回収を可能とし、新薬が有する多様な価値が透明性高くかつ適切に評価される、魅力ある日本市場」と「国民皆保険の持続性」が予見性を持って両立され、患者さんの革新的新薬へのアクセス向上が実現することを基本方針とし、政策研や関係委員会の協力ならびに関係団体との連携のもと、2026年度薬価制度改革おyび費用対効果評価制度改革における、イノベーションの適切な評価の仕組みの構築・実現に向けて引き続き注力する。
- 研究開発型製薬産業の立場から、2024年度制度改革および2025年度薬価改定に関する分析・検証を推進し、製薬協 政策提言2025、ならびに骨太方針2024や創薬力の向上により国民に最新の医薬品を迅速に届けるための構想会議・中間とりまとめ・政策目標と工程表等も踏まえ、官民の議論に積極的に参画し、適時・的確に提言等を行う。2024年度制度改革で実現された、迅速導入加算の新設、小児用医薬品の評価の見直し、新薬創出等加算の品目要件の追加や「企業指標」の撤廃、市場拡大再算定の類似品の取り扱いの見直し等、革新的新薬の適切な評価に関する措置を中心に、薬事制度等の見直し動向も把握しつつ、ドラッグ・ラグ/ロス解消等の医薬品開発への影響等も含めた分析・評価に継続して取り組む。また、我が国の創薬力強化等の社会課題への対応、製薬産業を取り巻く環境変化や国際競争力の強化、薬価算定の透明性・納得性を高める観点も踏まえ検討を推進する。特に新規性・革新性の高い新薬の適切な評価が可能となる新たな仕組みに向けて具体案の検討・提言活動を展開する。
- 費用対効果評価について、2024年度制度改革に基づく運用や課題の検証、ならびに骨太方針2024における費用対効果評価に関する事項を踏まえ、行政・アカデミア等の関係者との連携を一層強化し、2026年度制度改革に向けて業界としての考え方や改善に向けた検討を行い、適時・的確な提言を発出する。特に現状は、革新的な新薬の薬価の引き下げに偏重した制度となっていることを課題とし、対象や価格調整範囲のあり方を含め、薬価制度における費用対効果評価の位置づけや活用方法を含めた考え方を整理し、イノベーションを阻害しない適切な制度とすべく、積極的な活動を推進する。
- 製薬産業のプレゼンス向上ならびに医薬品が有する多様な価値やその評価に関する議論の活性化・理解促進と社会実装に資するため、医薬品の価値や製薬産業の貢献に関する視覚化に取り組み、関係委員会・部会と連携のうえ、活動を展開する。
- 医療保険制度をはじめ、医療や医薬品に関連する諸制度の動向について調査・分析し、患者さんの医薬品アクセス確保や国民皆保険制度の持続性確保の観点から業界としての考え方や必要な施策について検討し、関係者との協議や提言を推進する。
3. ドラッグ・ラグ/ロス解消に向けた取り組みの推進
- 製薬協の関連委員会や政策研におけるドラッグ・ラグ/ロス解消に係る取り組み内容と進捗状況の情報共有を進め、行政等と連携して諸課題の対応にあたる。
4. 革新的新薬の創製を促進し、国際競争力強化につながる税制のさらなる充実と活用推進
- 2024年度税制改正におけるイノベーション拠点税制の創設および研究開発税制の見直しによる影響を検証し、両税制が研究開発投資のインセンティブとして効果的に機能し、イノベーションを推進する制度となるよう、次回の改正要望へ備える。
- 特別試験研究費税額控除制度の会員会社による活用状況を検証し、積極的な活用を推進する。
- 研究開発税制およびイノベーション拠点税制が、会員会社の研究開発投資判断に与える影響について精査するとともに、イノベーションのさらなる促進や国内生産・製造体制の整備・強化に資する新たな税制についても検討を進める。
5. 関係各省やAMED等と連携した革新的新薬創出のための環境整備
- 第3期健康・医療戦略(2025年~2029年)の開始年であり、創薬力構想会議および策定された第3期健康・医療戦略、医療分野研究開発推進計画等で示された革新的新薬の創出を支援する施策等について、その実効性が確保され、製薬産業にとって真に有益なものとなるよう、関係各省、各種会議体等に対して適時的確に提言等を行う。また、製薬協 政策提言2025で提案した、「日本発革新的新薬の創製を目指した取り組み」「研究開発基盤の整備」「国民・患者さん中心の効率的な医療を実現する医療データ基盤構築と法制度整備」等を関係委員会との連携、および関係府省、AMED等への働きかけを通して推進する。
6. 医薬品の適正使用の推進に向けた取り組みの強化
- 政策提言に基づき、情報提供活動の適正化、ポリファーマシー・残薬等への対応、薬剤耐性(AMR)対応、高額薬剤の最適使用を始め、医薬品の適正使用を推進するための諸課題について、関係委員会と連携しつつ、医療関連団体や保険者団体等との協業による具体策の検討ならびに展開を推進する。
7. 感染症に関する取り組みの推進
- 感染症への取り組みや平時ならびに感染症発生時における課題に関し、関係各委員会との情報共有等の連携を図りつつ、治療薬・ワクチンの創出および安定的供給に必要な施策等の検討を進める。
8. 経済安全保障に関する取り組みの推進
- 米国では第二次トランプ政権が誕生し、米国第一主義の下、製造業の国内回帰を政策の柱に据えるなど、安全保障、交易面で国際情勢の先行きは不透明感を増している。ドイツ、フランス、日本では連立政権が難しい政権運営を求められ、各国とも内向きの商業政策にシフトしていることに加え、東アジアにおける地政学的リスクも高まっており、製薬業界にとってもサプライチェーンの強靭化、先端技術競争、サイバーセキュリティ対策など、経済安全保障面から世界動向を注視し必要なアクションを起こす必要が生じている。経済安全保障タスクフォースでは、関連情報の収集・分析に努めるとともに、業界としての方針策定が必要な事項については、適宜、方針を検討・調整・対応するとともに、会員会社への啓発活動を行う。
9. 難病・希少疾患に関する取り組みの推進
- 昨年度、未診断疾患イニシアチブ(IRUD)、日本希少疾患コンソーシアム(RDCJ)との協働による「医療従事者の困りごとに関する調査」(2024年11月)を作成し、医療従事者視点での希少疾患の治療や研究に関する5領域(1.基礎・応用研究、2.開発・治験、3.診断、4.治療・予後管理、5.疾患啓発)の課題抽出と解決策やアクションを整理した。今後は医療従事者調査の結果を踏まえた提言の作成を検討するとともに、これまでの調査で特定した課題解決に向け、患者団体、医療従事者、行政、アカデミアなど難病・希少疾患に関わるさまざまなステークホルダーと連携し活動を進める。
10. 産業政策、安全保障の観点を踏まえた戦略的なアドボカシー活動の推進
- 製薬協政策提言等を踏まえつつ、骨太方針2025対応等の短期的課題、国民に対する製薬産業の理解促進等の中・長期的課題を見据えたコンテンツを策定し、関係委員会・部会と連携のうえ、戦略的なアドボカシー活動を推進する。
- 医療・医薬品分野における国の政策決定に影響を与えるステークホルダーに対する、各社トップ、役員クラス、実務レベルによる重層訪問体制を拡充し、ステークホルダーの医薬品産業政策に対する理解を深めるべく、計画的な訪問活動を継続・推進する。
- 2023年度に開始した研究公募事業について、第1回および第2回公募の採択テーマをフォローするとともに、第3回公募に向けた活動を展開する。こうした活動等を通じ、産業理解促進に資するアカデミア研究等を推進する。
- 国民啓発活動の一環として、薬学関係者や学識経験者等との関係強化を通じ、製薬産業・創薬を取り巻く環境等に関する薬剤師およびアカデミアの理解促進に向けた活動を推進する。
- 国民・患者さんの製薬産業に対する理解を深めるべく、広報委員会等との連携によりターゲット別の理解促進戦略を策定したうえで、幅広いメディアの活用により世論形成に向けた活動を推進する。
11. 医薬品業界に係る輸出入、関税等、貿易に関する諸問題への対応
1)第5次医薬品関税撤廃の早期実現
第5次関税撤廃作業は依然として停滞しているが、作業が再開された場合には、スムーズに再開できるように関係各省およびINTERCEPT等と連携ならびに国会提出用の関税撤廃リストの準備を行う。
2)薬機法および関連法令への対応:調査・情報収集活動・啓蒙活動の継続および他団体との連携・協力
今後とも薬機法令および関連法令の遵守および適切な運用を目指し、製薬協内関連委員会、関連業界・団体と密接に連携・協力して対応していく。
3)貿易諸問題への対応:研修会、講演会等の実施および各委員同士の情報交換
海外も含め製造業者への委受託も増加しており、それに伴う輸入および輸出の貿易拡大により発生する薬機法、関税法、化審法等の法令がらみの種々の問題に対応するため、研修や情報交換を通じ各委員の理解や見識を高め、業界としてのレベルアップを図っていく。
12. 生物多様性条約におけるデジタル配列情報(DSI)等のアクセスと利益配分(ABSの国際的な議論への対応
1)デジタル配列情報(DSI)のアクセスと利益配分(ABS)の国際的な議論への対応を推進
- 生物多様性条約・名古屋議定書に関わる国際的な諸課題について、国際機関、海外政府機関および社会に対して課題解決に向けた働きかけを推進する。
- そのために、IFPMA、海外製薬団体(米国研究製薬工業協会(PhRMA)、、欧州製薬団体連合会(EFPIA)など)、国際商業会議所(ICC)、他産業団体(一般財団法人バイオインダストリー協会(JBA)など)および国内関係省庁等と連携し、内外動向に関する情報収集、課題抽出、課題解決策の検討、解決に向けた行動を行う。
- 特に重要な課題としてDSIのABSに係る問題について、IFPMAおよび海外製薬団体等と連携して取り組む。
-
主な具体的活動は、以下である。
- 生物多様性条約・名古屋議定書、特にDSIのABSに関する国際的議論(COP16で大枠合意した多国間利益配分メカニズムなど)への対応
- IFPMAおよび国際商業会議所(ICC)のへの参画
- 海外製薬団体(PhRMA、EFPIAなど)および他産業団体(JBAなど)との協働
- 関係省庁との連携
- CBD等における日本政府、IFPMAおよび国際商業会議所の活動のサポート
- 課題解決に向けた調査・研究
2)世界保健機構(WHO)病原体共有の仕組みに関する議論への対応を推進
- WHOパンデミック条約等の病原体共有の仕組みに関わる国際的な諸課題について、国際機関、海外政府機関および社会に対して課題解決に向けた働きかけを推進する。
- そのために、IFPMA、海外製薬団体(PhRMA、EFPIAなど)および国内関係省庁等と連携し、内外動向に関する情報収集、課題抽出、課題解決策の検討、解決に向けた行動を行う。
-
主な具体的活動は、以下である。
- WHOパンデミック条約等の病原体共有の仕組みに関する国際的議論への対応
- IFPMAのへの参画
- 海外製薬団体(PhRMA、EFPIAなど)との協働
- 関係省庁との連携
- WHO等における日本政府およびIFPMAの活動のサポート
- 課題解決に向けた調査・研究