「第12回 アジア製薬団体連携会議」開催を受けて
2023年04月19日
日本製薬工業協会
会長 岡田安史
2023年4月18日に、「第12回アジア製薬団体連携会議;Asia Partnership Conference of Pharmaceutical Associations (APAC)」が「革新的な医薬品をアジアの人々に速やかに届ける」というミッション実現に向け、”Deliver tenacious power for access to innovative medicine by reaffirming cooperation in Asia”を今回のテーマと定めて、製薬団体関係者のみならず日本を含むアジア各国/地域の規制当局関係者・アカデミアがコロナ禍でオンライン開催を余儀なくされた3年間を経て暫くぶりに東京会場に集まって開催されました。
本会議は、国際製薬団体連合会(IFPMA)理事長挨拶とPMDA藤原康弘理事長の基調講演に続いて「規制・許認可」「MQS」「添付文書の電子化(e-labeling)」「創薬連携」「aUHC」の合計5つのセッションを執り行い、活発な議論や提言がなされました。
本年度の合意事項を別紙の通りとりまとめましたので、お知らせいたします。
日本製薬工業協会といたしましては、本合意事項に基づき、今後もアジアの製薬団体、政府機関、規制当局、アカデミア等と協力・連携し、様々な課題の解決により一層取り組んでまいります。
(略語)
IFPMA: International Federation of Pharmaceutical Manufacturers & Associations
PMDA: Pharmaceuticals and Medical Devices Agency 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
MQS: Manufacturing, Quality Control and Supply(製造、品質管理と供給)・・・APACの造語
aUHC: Asian-Universal Healthcare Coverage(アジアの国民皆医療保険制度)・・・APACの造語
第12回 APAC合意事項骨子
規制・許認可(Regulations and Approvals;RA)
効率的な医薬品の申請・審査を促進するため、規制当局間において互いの審査結果を参考する信頼性の枠組みや、規制当局による薬事規制の機敏性が、アジアにおいて活用されていることが共有・確認されました。
アジアの人々に向けて革新的な医薬品の上市を促進するため、これらの運用はアジアの多くの規制当局においても広く採用されることが推奨されました。
製造、品質管理と供給(Manufacturing, Quality Control and Supply; MQS)
承認後変更計画書(PACMP)に関するアンケート結果
- APAC加盟団体にPACMPに関連するアンケートを実施した結果、承認後変更のカテゴリーが各国によって異なること、PACMPの導入検討の段階に違いがあること、PACMP利用にメリットがあることが分かりました。
PACMPのアジアでの利用促進
- APACのメリットとして、承認の予見性向上、タイムラインの短縮、変更カテゴリーの降下等が期待され、ICH Q12コンセプトの浸透を進めることで統一された品質の医薬品がグローバルに供給されます。
- まず、アジア各国での制度導入を推進し、多くの関係者がメリットを享受できるよう制度の拡大を図ることが重要であることが確認されました。
添付文書の電子化(e-labeling)
アジア諸国のe-labeling早期実装に向け、また統一性の取れたアプローチができるようAPAC e-labelingのポジションペーパーを作成し、合意されました。
- アジア地域におけるe-labelingを推し進めるにあたり、規制当局、医療従事者、患者、そして製薬企業の間での密接な連携が重要であることが再確認されました。
2022年11月に第1回APAC e-labeling規制当局ワークショップが開催され,e-labeling実装に向けたビジョンを共有しました。今後、第2回APAC e-labeling規制当局ワークショップを開催することが合意され、ポジションペーパーを活用し、デジタルヘルスに活用できる一歩進んだ国際標準規格(HL7FHIR)を用いたe-labelingについて議論してまいります。また、e-labelingの取り組みがサステナビリティの観点からも重要であることが確認されました。
- 第1回ワークショップでは、BPOM(インドネシア)、CDSCO(インド)、DAV(ベトナム)、HSA(シンガポール)、MFDS(韓国)、NPRA(マレーシア)、フィリピンFDA(フィリピン)、PMDA(日本)、台湾FDA(台湾)、タイFDA(タイ)の10規制当局から65名が参加しました。
国際標準規格であるHL7FHIR標準に準拠した形式のe-labelingの利用について、日本で立ち上げたコンソシウムによりパイロット試験を計画してまいります。
アジア地域の12エコノミーを対象としたe-labelingサーベイの結果を論文化したことを報告しました。
- e-labelingサーベイを実施し、過去2年間のアジア地域におけるe-labeling普及状況の推移を確認しました。今後もサーベイを継続してまいります。
創薬連携(Drug Discovery Alliances;DA)
APAC DA-EWGではアジアにおける創薬連携の推進を目標に、2つの施策、DSANAとANPDCに取り組んでいます。
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DSANA : Drug Seeds Alliance Network in Asia
アジアにおける創薬シーズの情報共有推進を目的とする取り組み
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ANPDC : APAC Natural Product Drug Discovery Consortium
天然物の創薬活用の推進と人材育成を目的とする取り組み
ANPDCは、約5年間の活動で、参加企業が其々、タイのアカデミアや研究機関と連携し、スクリーニング技術移譲を通じた若手人材育成とタイ天然資源のスクリーニングを行いました。2022年は、日本国内外の関係者によるANPDCカンファレンス(コンソーシアム全体ラップアップミーティング)を開催し、今までの活動を総括いたしました。今後はこの活動で得られた緊密な関係を活かせるような新たな戦略を考えてまいります。
本年のDA-EWGセッションでは、DSANAの活動を取り上げ、日本のアカデミアシーズの魅力やスタートアップ企業育成の難しさ、アジアから見た日本のアカデミアシーズとスタートアップ企業の魅力、さらには、これらを巻き込んだ大きな視点でのアジア連携についてご講演を頂きました。新薬創出において、スタートアップ企業の役割が大きくなっています。今後も、アカデミアシーズ、スタートアップ企業連携など、国内外での創薬連携についての課題抽出と解決方法を検討してまいります。
アジアのUniversal Health Coverage(aUHC)の構築
aUHCタスクフォースは、APAC総会で、アジア各国でのUHC構築・維持に向けた取り組みについて考える場を提供することを目的としています。
昨年度の当セッションでは、アジア各国のUHC構築・維持に向けた取り組みについて、ファイナンスの重要性が問題提起されました。今年度は、ファイナンスをテーマに、各国の現状と課題を日本、タイおよびシンガポールの立場でご講演いただきました。
パネルディスカッションでは、アジア各国の経済・社会状況が異なるため、「各国のUHCの定義」と「UHCを実現するためのファイナンス」をテーマに、UHCを実現するための各国の課題とこれからの対応について、主に次の点が議論されました。
- 各国におけるUHCの定義、UHCを実現するために公的保険が果たす役割、公的保険の適切な範囲について議論がされました。
- 目指すUHCと現状のギャップを埋めるために必要な対応についてファイナンスの観点から議論がされました。