「第11回 アジア製薬団体連携会議」開催を受けて

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2022年04月06日
日本製薬工業協会
会長 岡田 安史

2022年4月5日に、「第11回アジア製薬団体連携会議;Asia Partnership Conference of Pharmaceutical Associations(APAC)」が開催されました。
第11回APACは、「革新的な医薬品をアジアの人々に速やかに届ける」というミッション実現に向け、「APAC次の10年に向けて、アジアの人々に価値あるイノベーションを届けるプラットフォームを構築する」ことを今回のテーマと定めて、製薬団体関係者のみならず日本を含むアジア各国/地域の規制当局関係者・アカデミアが参加視聴するWEB会議として開催されました。

本会議は、国際製薬団体連合会(IFPMA)理事長挨拶とPMDA藤原康弘理事長の基調講演に続いて「創薬連携」「規制・許認可」「添付文書の電子化(e-labeling)」「MQS」「aUHC」の合計5つのセッションを執り行い、最後にWHO-UHC親善大使である武見参議院議員の特別講演を頂戴して活発な議論や提言がなされました。
本年度の合意事項を別紙の通りとりまとめましたので、お知らせいたします。

日本製薬工業協会といたしましては、本合意事項に基づき、今後もアジアの製薬団体、政府機関、規制当局、アカデミア等と協力・連携し、様々な課題の解決により一層取り組んでまいります。

略語

IFPMA: International Federation of Pharmaceutical Manufacturers & Associations
PMDA: Pharmaceuticals and Medical Devices Agency 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
MQS: Manufacturing, Quality Control and Supply(製造、品質管理と供給)・・・APACの造語
aUHC: Asian-Universal Healthcare Coverage(アジアの国民皆医療保険制度)・・・APACの造語
WHO: World Health Organization(世界保健機関)

第11回 APAC合意事項骨子

創薬連携(Drug Discovery Alliances;DA)

APAC DA-EWGではアジアにおける創薬連携の推進を目標に、2つの施策、DSANAとANPDCに取り組んでいます。

  • DSANA: Drug Seeds Alliance Network in Asia

    アジアにおける創薬シーズの情報共有推進を目的とする取り組み

  • ANPDC: APAC Natural Product Drug Discovery Consortium

    天然物の創薬活用の推進と人材育成を目的とする取り組み

DSANAとANPDCが毎年進展していることから、今後の活動戦略をアップデートする予定です。RWDの活用やPrecision Medicineは製薬産業にとって非常に重要であることから、アジアにおける取り組みに関する情報を収集し、 新たな戦略に活かしてまいります。

本年のDA-EWGセッションでは、 RWDの活用やPrecision Medicineに関係する取り組みをリードされている演者に講演頂きました。世界人口の50%はアジアに住んでいることから、アジアにおける RWDの活用やPrecision Medicineの推進は極めて重要であるが、課題も存在します。 DA-EWGの活動を通じて、課題を明確にすると共に産業界がリードする取り組みによる課題解決を検討してまいります。

規制・許認可(Regulations and Approvals;RA)

規制・許認可チームは、10年先を見据えて新しく策定したコンセプトペーパーに基づき、活動を推進します。

  • 私たちは、人々の健康とベネフィットのために、緊急時だけでなく正常時においても、引き続きアジアの人々に新しいモダリティに基づいた革新的な医療製品を提供する取り組みを推進します。
  • 私たちは、パンデミックの経験で培った薬事的な機動性を引き続き追求し、新しいモダリティに基づく革新的な医療製品を提供するため、統合されたプロセスとアプローチの確率を提案します。

添付文書の電子化(e-labeling)

アジア製薬関連13団体並びにベトナムの関連団体の参画を得て、APAC e-labeling EWGを2021年7月に発足したことを報告しました。

アジア12エコノミーを対象としたe-labelingサーベイ結果を報告しました。

  • 9エコノミーで規制当局のウェブサイトから最新添付文書情報をPDFファイルとしてアクセス可能であったが、XMLのような構造化された形式を使用しているエコノミーは2エコノミーと少なく、またe-labeling情報を電子カルテ等他の電子データと相互運用しているエコノミーはなかった。
  • 製品へ同梱されている紙の添付文書は、ほとんどが医師向けの添付文書であり、紙の添付文書の同梱が必要のないエコノミーは2エコノミーであった。
  • APAC e-labeling EWGに参加しているすべてのエコノミーの製薬関連団体が、e-labelingの議論を始めている。

PAC e-labelingのロードマップについて合意しました。

  • アジア地域におけるe-labelingへの取り組みに関するポジションペーパーを2022年度に作成する。ポジションペーパーは5つのステップ

    (①最新の添付文書情報を電子的に提供、②バーコードなどを外箱に付し e-labelingとリンクすることにより、スマートフォンのアプリケーションなどを通した最新の添付文書情報の入手を容易にさせ、さらに、読みやすくすること、③製品への紙媒体添付文書の同梱廃止、④XMLなどを使用した構造化された電子的な添付文書を作成、⑤相互運用基準を取り入れ、最終的には、電子カルテや電子処方箋等とリンク、統合させ、デジタルヘルスの一部として活用)
    に焦点を当てて作成する。

  • e-labelingについて,規制当局とワークショップを開催し,実装に向けたビジョンを共有する。
  • 日本において、HL7FHIR標準に準拠した形式のe-labelingの利用について、パイロット試験を予定している。
  • 今後e-labelingサーベイを毎年実施し、アジア地域におけるe-labeling普及状況の推移を確認する。

製造、品質管理と供給(Manufacturing, Quality Control and Supply; MQS)

GMP査察に関するアンケート結果

  • アジアでのGMP査察状況についてアンケートを実施したところ、海外製造所におけるGMP査察実施/免除の判断基準、GMP査察書類の提出要求基準などに違いがあることが明らかになりました。
  • 今後更に調査を進め、PIC/SやMRA(相互承認協定)に基づいて効率的にGMP査察を実施するための課題検討の継続を確認しました。

承認後変更管理計画書(PACMP)のアジアでの活用促進

  • 新薬の早期提供を可能にするためにはアジアでのPACMP制度導入を進め、効率的な変更管理の実現が不可欠なことから、今回はPACMP制度の概要とメリット、並びに日本での状況を報告しました。
  • アジアでのPACMP活用促進に必要な取り組みについて、第12回APACで深堀します。

アジアのUniversal Healthcare Coverage(aUHC)の構築

aUHCタスクフォースは,APAC総会で,アジア各国でのUHC構築・維持に向けた取り組みについて考える場を提供することを目的としています。

COVID-19パンデミックにおけるアジア各国のUHCへの影響について、アジア各国の現状と課題を日本、台湾およびアジア開発銀行の立場でご講演いただきました。

パネルディスカッションでは、中長期的視野から考えたアジアのUHC構築に向けて「Resilience」と「Sustainability」をテーマに、アジア各国のUHC構築・維持を実現するための課題とこれからの対応について議論されました。

  • COVID-19パンデミックから得られた教訓として、各国の状況に応じた医療体制の維持・強化およびワクチン・医薬品の早期承認など、各国政府の有事に対する柔軟な対応の重要性を確認した。
  • アジア各国の持続可能なUHC構築に向け、製薬企業がアジア市場に対して継続的な投資を行い、革新的な医薬品のドラッグラグ解消を推進することが重要であり、今後APACで継続した議論が必要である。

お問い合わせ先

日本製薬工業協会 広報部

電話
03-3241-0374

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