日米欧製薬3団体共同声明
2025年度(令和7年度)薬価中間年改定及び国家戦略に関する意見
2024年11月15日
日本製薬工業協会(JPMA)
米国研究製薬工業協会(PhRMA)
欧州製薬団体連合会(EFPIA Japan)
日本製薬工業協会(JPMA)、米国研究製薬工業協会(PhRMA)、欧州製薬団体連合会(EFPIA)は、日本で活動する世界有数の研究開発型の革新的医薬品企業を代表しています。私たちは、石破茂首相の新政権発足をお祝い申し上げるとともに、革新的新薬の研究開発・安定供給を通じて健康長寿社会の実現を目指す観点から、下記の通り意見を表明いたします。
記
私たちは、これまで、ほぼ10年の間、度重なる薬価算定ルールの変更や特許期間中の新薬の毎年薬価改定により、日本の創薬イノベーション・エコシステムの環境が競争上不利な立場に置かれていることについて懸念を表明してきました。日本は、今、引き続き研究開発投資が停滞し、ドラッグ・ロスの再来に直面しています。このような中、私たちは、2023年12月に決定された2024年度(令和6年度)の薬価制度改革を、これまで行われてきた政策のネガティブな流れを変える重要な一歩として歓迎しています。
しかしながら、国際的に競争力がある創薬イノベーション・エコシステムに転換していくためには、日本は改革の歩みを止めず、決して後退してはなりません。そこで私たちは、この目標を念頭に、本年後半に政府が行う決定において、以下の政策を優先すべきであると考えます。
意見1:中間年改定の廃止、制度改革の後退をやめる
2024年度(令和6年度)薬価制度改革により、新薬創出等加算の適用基準が改善され、今後上市される医薬品は特許期間中に薬価を維持できる可能性が高まりました。しかしながら、未だ革新的医薬品の約半数が毎年の薬価引き下げの対象となり得る状況が続いています。
このような状況にも関わらず、政府においては、中間年改定で適用されるルールの拡大(新薬創出等加算の累積額控除や市場拡大再算定など)や費用対効果評価の拡大が検討されています。このようなイノベーションを阻害する政策は、2024年度(令和6年度)薬価制度改革のポジティブな機運に逆行するものであり、決して行うべきではありません。その代わりにむしろ、日本は、イノベーションと患者さんへのアクセスを促す薬価制度の必要性を改めて再確認すべきときと考えます。
意見2:省庁横断的な組織のもと、新たな革新的医薬品産業に関する国家戦略の策定
適切な政策とプランがあれば、日本は、ドラッグ・ロスを防ぎ、創薬分野における世界のリーダーシップを取り戻し、経済成長を促進させる国内外の革新的医薬品産業の研究開発投資を呼び込む可能性があります。そのためには、創薬イノベーション・エコシステムを構成するすべての要素が確実に機能するように、大胆な国家戦略とイノベーションを促進する改革が必要です。
これを実現するためには、日本政府の強いリーダーシップと産業界との協力が必要です。このため、来年の官民協議会においては、省庁横断的な常設の組織のもと、国家戦略とKPIを策定し、また、国内外の革新医薬品企業との定期的かつ実りある議論を行う場を設置することを提言します。私たちは、共通の目標を達成するため、日本政府のパートナーとして貢献していく所存です。
以上
団体概要
日本製薬工業協会(JPMA)製薬協は、研究開発志向型の製薬企業70社(2024年10月1日現在)が加盟する任意団体です。1968年に設立された製薬協は、「患者参加型医療の実現」をモットーとして、医療用医薬品を対象とした画期的な新薬の開発を通じて、世界の医療に貢献してきました。
製薬協では、製薬産業に共通する諸問題の解決や医薬品に対する理解を深めるための活動、国際的な連携など多面的な事業を展開しています。また、特に政策策定と提言活動の強化、国際化への対応、広報体制の強化を通じて、製薬産業の健全な発展に取り組んでいます。
米国研究製薬工業協会(PhRMA)
PhRMAは、世界の主要な研究開発志向型革新的医薬品企業を代表する団体です。PhRMA加盟企業は、人々の生活を変革し、健康的な人生を送ることができる世界を創るために、革新的な医薬品の開発に注力しています。PhRMAは、患者さんが疾患の予防、治療、および治癒に必要な医療にアクセスし享受できる解決策を求めて活動しています。直近10年間で、PhRMA加盟企業は新たな治療・治癒の研究開発のために8,000億ドル以上を投資しました。
欧州製薬団体連合会(EFPIA Japan)
2002年4月に設立されたEFPIA Japan(https://efpia.jp/)には、日本で事業展開している欧州の研究開発志向の製薬企業23社が加盟しています。2023年の加盟各社の総売上高は、日本の製薬市場の売上の約28%を占めています。EFPIA Japanの使命は、“革新的な医薬品・ワクチンの早期導入を通じて、日本の医療と患者さんに貢献する”ことです。EFPIA Japanは日本の医療向上に向けて政策決定者との対話を強化することを目指しています。
参考
お問い合わせ先
日本製薬工業協会(JPMA) 広報部
- 電話
- 03-3241-0374
- お問合せフォーム
- https://www.jpma.or.jp/inquiry/
米国研究製薬工業協会(PhRMA) 広報事務局(株式会社パウエルテイト内)
- 電話
- 03-5427-7322
欧州製薬団体連合会(EFPIA Japan) 渉外・広報委員会 サノフィ株式会社 下野由絵
- 電話
- 090-2736-8171